異世界のんびり散歩旅

第二章 東の辺境伯領

散歩の百五十九話 超人の仲間入り？

　宿は四部屋空いていて、僕達はその内の一部屋を借りる事に。
　宿は一部屋に二つの二段ベッドがあるので、余裕を持って寝る事ができます。

「今日はシュンと寝る！」
「ホルンもお兄ちゃんと寝るよ！」
「じゃあ、シロはスーお姉ちゃんと寝る！」
「君たち、ベッドが余っているけど」
「「「いや！」」」

　せっかくベッドが余っているのに、シロ達が僕達と一緒に寝ると言っているのだ。
　
「くすくす、シュンさん仕方ないですよ」
「はあ、諦めるか」

　スーも仕方ないと苦笑しているので、結局僕は諦める事にした。
　早速、他の冒険者と共に村の近くの森に入ります。

「あ、イノシシがいたよ！」
「集団でお出迎えですか」
「こちらを敵と認識した様だな」

　森の中に進んでいくと、ブチイノシシの集団を発見しました。
　ブチイノシシは、僕達の事を敵と認識した様だぞ。

「ブチイノシシは普通のイノシシよりも小さいけど、好戦的でとてもすばしっこいです」
「だからこそ、素人には荷が重い相手なんだろうな」
「シロやアオの様にスピードもあって一撃で仕留める技量があればいいのですが、僕達は念の為に突進を魔法障壁で受け止めてトドメを刺します」
「よし、先ずはやってみるか。都合良く突っ込んできたぞ」
「「「ブヒー！」」」

　剣士のお姉さんと話していると、ブチイノシシが集団で突っ込んできました。
　僕は、魔法障壁でブチイノシシの突進を受け止めてから確実にトドメを刺します。

「ブヒー！」
「ふん」
「「「カッコいい！」」」

　ゴリラ獣人の格闘家は、なんとブチイノシシの突進を真正面から受け止めていました。
　聖魔法も使っていないのに、とんでもないパワーだなあ。
　シロとアオにフランとホルンも、ゴリラ獣人に賛辞を送っていました。
　しかし、ある意味目立っていたのはこの人でしょう。

「ブヒー！」
「えい！」

　ゴキン！

「おお、お姉ちゃんがイノシシをぶっ飛ばした！」
「「すごーい」」

　実行委員長の娘さんが、メイスを手にして突っ込んできたブチイノシシを文字通りぶっ飛ばしています。
　うーん、ブチイノシシの頭部が他人にはお見せできない程ぐちゃぐちゃになっているぞ。

「単体でイノシシに攻撃をできるシロちゃんやアオに格闘家の兄ちゃんとあんたを除けば、イノシシにはコンビネーションを使った方が良いな」
「あの、なんで商会の看板娘である私が、超人達の仲間入りをしているの？」
「あの頭部がぐちゃぐちゃのイノシシを見ろ！　あんなのは、あんたじゃなきゃできないよ」
「本当に正しくおっちゃんの血を引いているなあ」
「うう……」

　一戦終えて皆で感想を言い合っているけど、僕も実行委員長の娘さんの超人達の仲間入りに疑問はありません。
　僕だって中々一撃でブチイノシシを仕留められないのに、実行委員長の娘さんは結局全て一撃で仕留めているからなあ。
　項垂れている実行委員長の娘さんを連れて、次のブチイノシシを探しに行きます。