836 / 938
第三十章 入園前準備
九百九十五話 迷惑な保護者
しおりを挟む
体育館に入ると、なぜかリズの席に人が集まっていました。
「あのね、ここは間違いやすいから気をつけた方が良いんだよ」
「わあ、ありがとう!」
「聞いて良かった」
どうも、リズが周りの人に勉強を教えているみたいです。
サンディや他の面々も勉強を教えているけど、人に教えるのって自分が理解していないと駄目だから意外と勉強になるんだよね。
一方、王女様スタイルのエレノアのところには主に貴族の子どもたちが勉強を聞きに来ていた。
一般の人が聞きに行くには、ちょっとハードルが高いかもって思われているみたいです。
ただ、エレノアに自己アピールしているのもいるけど、そこは近衛騎士が間に入ってやんわりと断っていた。
今自己アピールしなくても良いから、良い成績を取ってから自己アピールしないと。
そして、別件で別のところで揉めていた。
「これから筆記試験を開始しますので、保護者の方は別室に移動して下さい」
「何で私が別室に移動しないといけないのよ! これは横暴だわ!」
なんというか、勘違いを起こしているご夫人がいるけど、見た感じ貴族の教育ママって感じだなあ。
だったら、自分が学園生の時にどうやって受験したか覚えているはずだけど。
係の人が説明しても、自分の主張をするだけで全く話を聞かない。
仕方ないと、僕はスラちゃんとプリンとともにその人のもとに向かった。
その時だった。
「私は、学園担当のアレクサンダー様の知り合いなのです。アレクサンダー様に言いつけますよ」
受験生以外の係の人や体育館に入ってきた生徒会と先生までもが、その夫人と僕のことを交互に見ていた。
もちろん僕はあの夫人を知らないので、スラちゃんとプリンとともに知らないと首をふるふると振るっていた。
すると、更にこの夫人の発言がヒートアップする事に。
「ちょっと、そこの学園生何を見ているのかしら!」
夫人は、僕の方を向いて野次馬するなと絶叫していました。
頭に血が登ってヒートアップしている上に、僕のことを知らないという発言を自らしてしまったのだ。
はぁ、ってため息をつきながら、ジンさんとルーカスお兄様が僕の前に出てきました。
「おいおい、あんたが学園生って言ったのがアレクサンダー副宰相だぞ。言いつけてやるって言った相手が、ずーっとあんたのことを見ていたぞ」
「はっ? えっ?」
「そもそも、私の母親でもある王妃も筆記試験時は別室に行ったのだが。王妃も行ったことを、あなたは破るのですね」
「はっ? えっ?」
夫人は、ジンさん、ルーカスお兄様、そして僕のことを何度も見ていました。
そして、段々と表情が青くなっていきます。
今更ながら、自分が馬鹿なことをしたんだと理解したみたいですね。
でも、残念ながら色々と遅かった。
兵が、その夫人の周囲をガッチリと囲んだのだ。
「どうぞこちらに」
「特別な別室にご案内いたしますので」
「えっ、あっ、はい……」
夫人は、観念したのかすんなりと兵の誘導に従った。
残念ながら、僕の名前も出しちゃったので事情聴取を受けないとならない。
もちろん、速攻で各所に連絡もいきます。
謝ってももう遅いってことになっちゃいました。
この場にアリア様がいれば、素直に別室に行ったのかもしれない。
後の保護者は、素直に別室に移動してくれました。
「はあ、俺たちの時にも馬鹿な親がいたなあ。私をこの場に残せってな」
「あの時は、私のお母様がニコリと真顔で話をしたわね。上の立場の人がいれば従わざるを得ないけど、今日はたまたま上位貴族の保護者が少ないんだよね」
ジンさんとレイナさんが懐かしそうに話をしていたけど、あんな感じの保護者は毎年現れるそうです。
ルーカスお兄様もやれやれといった感じだけど、とにかくこれで準備完了です。
生徒会の面々は実技試験の手伝いをするとのことなので、挨拶をしてから体育館から退場します。
僕たちは、体育館の前の方に移動しました。
すると、エレノアがルーカスお兄様に話しかけました。
「あっ、ルーカスお兄ちゃん、もう試験始まる?」
「もうすぐだよ。参考書しまった方が良いね」
「はーい」
僕たちから見れば何気ない兄妹のやり取りだけど、他の人から見れば王太子殿下と王女殿下の会話です。
これを合図に、受験生は一斉に席について参考書をしまいました。
どうもさっきの僕たちと夫人のやり取りが聞こえたのか、ちょっと緊張感漂う雰囲気ですね。
「あのね、ここは間違いやすいから気をつけた方が良いんだよ」
「わあ、ありがとう!」
「聞いて良かった」
どうも、リズが周りの人に勉強を教えているみたいです。
サンディや他の面々も勉強を教えているけど、人に教えるのって自分が理解していないと駄目だから意外と勉強になるんだよね。
一方、王女様スタイルのエレノアのところには主に貴族の子どもたちが勉強を聞きに来ていた。
一般の人が聞きに行くには、ちょっとハードルが高いかもって思われているみたいです。
ただ、エレノアに自己アピールしているのもいるけど、そこは近衛騎士が間に入ってやんわりと断っていた。
今自己アピールしなくても良いから、良い成績を取ってから自己アピールしないと。
そして、別件で別のところで揉めていた。
「これから筆記試験を開始しますので、保護者の方は別室に移動して下さい」
「何で私が別室に移動しないといけないのよ! これは横暴だわ!」
なんというか、勘違いを起こしているご夫人がいるけど、見た感じ貴族の教育ママって感じだなあ。
だったら、自分が学園生の時にどうやって受験したか覚えているはずだけど。
係の人が説明しても、自分の主張をするだけで全く話を聞かない。
仕方ないと、僕はスラちゃんとプリンとともにその人のもとに向かった。
その時だった。
「私は、学園担当のアレクサンダー様の知り合いなのです。アレクサンダー様に言いつけますよ」
受験生以外の係の人や体育館に入ってきた生徒会と先生までもが、その夫人と僕のことを交互に見ていた。
もちろん僕はあの夫人を知らないので、スラちゃんとプリンとともに知らないと首をふるふると振るっていた。
すると、更にこの夫人の発言がヒートアップする事に。
「ちょっと、そこの学園生何を見ているのかしら!」
夫人は、僕の方を向いて野次馬するなと絶叫していました。
頭に血が登ってヒートアップしている上に、僕のことを知らないという発言を自らしてしまったのだ。
はぁ、ってため息をつきながら、ジンさんとルーカスお兄様が僕の前に出てきました。
「おいおい、あんたが学園生って言ったのがアレクサンダー副宰相だぞ。言いつけてやるって言った相手が、ずーっとあんたのことを見ていたぞ」
「はっ? えっ?」
「そもそも、私の母親でもある王妃も筆記試験時は別室に行ったのだが。王妃も行ったことを、あなたは破るのですね」
「はっ? えっ?」
夫人は、ジンさん、ルーカスお兄様、そして僕のことを何度も見ていました。
そして、段々と表情が青くなっていきます。
今更ながら、自分が馬鹿なことをしたんだと理解したみたいですね。
でも、残念ながら色々と遅かった。
兵が、その夫人の周囲をガッチリと囲んだのだ。
「どうぞこちらに」
「特別な別室にご案内いたしますので」
「えっ、あっ、はい……」
夫人は、観念したのかすんなりと兵の誘導に従った。
残念ながら、僕の名前も出しちゃったので事情聴取を受けないとならない。
もちろん、速攻で各所に連絡もいきます。
謝ってももう遅いってことになっちゃいました。
この場にアリア様がいれば、素直に別室に行ったのかもしれない。
後の保護者は、素直に別室に移動してくれました。
「はあ、俺たちの時にも馬鹿な親がいたなあ。私をこの場に残せってな」
「あの時は、私のお母様がニコリと真顔で話をしたわね。上の立場の人がいれば従わざるを得ないけど、今日はたまたま上位貴族の保護者が少ないんだよね」
ジンさんとレイナさんが懐かしそうに話をしていたけど、あんな感じの保護者は毎年現れるそうです。
ルーカスお兄様もやれやれといった感じだけど、とにかくこれで準備完了です。
生徒会の面々は実技試験の手伝いをするとのことなので、挨拶をしてから体育館から退場します。
僕たちは、体育館の前の方に移動しました。
すると、エレノアがルーカスお兄様に話しかけました。
「あっ、ルーカスお兄ちゃん、もう試験始まる?」
「もうすぐだよ。参考書しまった方が良いね」
「はーい」
僕たちから見れば何気ない兄妹のやり取りだけど、他の人から見れば王太子殿下と王女殿下の会話です。
これを合図に、受験生は一斉に席について参考書をしまいました。
どうもさっきの僕たちと夫人のやり取りが聞こえたのか、ちょっと緊張感漂う雰囲気ですね。
676
お気に入りに追加
8,880
あなたにおすすめの小説

我が家に子犬がやって来た!
もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。
アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。
だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。
この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。
※全102話で完結済。
★『小説家になろう』でも読めます★

公爵家三男に転生しましたが・・・
キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが…
色々と本当に色々とありまして・・・
転生しました。
前世は女性でしたが異世界では男!
記憶持ち葛藤をご覧下さい。
作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。

悪役令嬢、資産運用で学園を掌握する 〜王太子?興味ない、私は経済で無双する〜
言諮 アイ
ファンタジー
異世界貴族社会の名門・ローデリア学園。そこに通う公爵令嬢リリアーナは、婚約者である王太子エドワルドから一方的に婚約破棄を宣言される。理由は「平民の聖女をいじめた悪役だから」?——はっ、笑わせないで。
しかし、リリアーナには王太子も知らない"切り札"があった。
それは、前世の知識を活かした「資産運用」。株式、事業投資、不動産売買……全てを駆使し、わずか数日で貴族社会の経済を掌握する。
「王太子?聖女?その程度の茶番に構っている暇はないわ。私は"資産"でこの学園を支配するのだから。」
破滅フラグ?なら経済で粉砕するだけ。
気づけば、学園も貴族もすべてが彼女の手中に——。
「お前は……一体何者だ?」と動揺する王太子に、リリアーナは微笑む。
「私はただの投資家よ。負けたくないなら……資本主義のルールを学びなさい。」
学園を舞台に繰り広げられる異世界経済バトルロマンス!
"悪役令嬢"、ここに爆誕!
小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします
藤なごみ
ファンタジー
※2024年10月下旬に、第2巻刊行予定です
2024年6月中旬に第一巻が発売されます
2024年6月16日出荷、19日販売となります
発売に伴い、題名を「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、元気いっぱいに無自覚チートで街の人を笑顔にします~」→「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします~」
中世ヨーロッパに似ているようで少し違う世界。
数少ないですが魔法使いがが存在し、様々な魔導具も生産され、人々の生活を支えています。
また、未開発の土地も多く、数多くの冒険者が活動しています
この世界のとある地域では、シェルフィード王国とタターランド帝国という二つの国が争いを続けています
戦争を行る理由は様ながら長年戦争をしては停戦を繰り返していて、今は辛うじて平和な時が訪れています
そんな世界の田舎で、男の子は産まれました
男の子の両親は浪費家で、親の資産を一気に食いつぶしてしまい、あろうことかお金を得るために両親は行商人に幼い男の子を売ってしまいました
男の子は行商人に連れていかれながら街道を進んでいくが、ここで行商人一行が盗賊に襲われます
そして盗賊により行商人一行が殺害される中、男の子にも命の危険が迫ります
絶体絶命の中、男の子の中に眠っていた力が目覚めて……
この物語は、男の子が各地を旅しながら自分というものを探すものです
各地で出会う人との繋がりを通じて、男の子は少しずつ成長していきます
そして、自分の中にある魔法の力と向かいながら、色々な事を覚えていきます
カクヨム様と小説家になろう様にも投稿しております
勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。
八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。
パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。
攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。
ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。
一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。
これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。
※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。
※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。
※表紙はAIイラストを使用。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~
雪月夜狐
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
他作品の詳細はこちら:
『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。