転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

藤なごみ

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第三十章 入園前準備

九百九十六話 試験説明

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 そんな中、僕たちが受験生の前に並ぶとざわざわが一気に静まり返った。
 それでは最初に挨拶を行いましょう。
 先生が前に出て、話をしてくれます。

「皆さん、おはようございます」
「「「おはようございます」」」
「これから、王立学園の入園試験を開始いたします。きっと緊張すると思いますが、緊張も力に変えて普段の勉学の成果を十分に発揮しましょう」

 緊張するのは当たり前で、リズはともかくとしてエレノアやサンディも表情が少し硬かった。
 個人的には、この場面でニコニコしていて緊張しないリズが凄いと思うよ。
 前にいると分かるけど、背筋を伸ばして聞いている人もいれば、余裕しゃくしゃくって表情のものもいる。

「本日の試験の流れを説明します、この後筆記試験を一時間行います。その後、外の運動場に移動し実技試験を行います。試験結果は一ヶ月後に学園にて張り出しを行いますが、遠地の方には結果を書面にて通知いたします」

 この辺りは、試験の申込書にも書いてあることだし、何も問題ありません。
 再試験になった人もいるし、その辺りの配慮も行われます。
 そして、問題なければこの後筆記試験なのですが、先に注意点を説明しましょう。

「この後試験が行われますが、不正がないように複数のもので巡回を行います。今年は人数も多いですので、副宰相でもあるクロスロード子爵様も巡回に参加して頂きます」

 ジンさんが一歩前に出ると、受験生が少し騒めいていた。
 受付にいた人だよねというものと、まさか救国の勇者様がいるのかというものです。
 ジンさんの二つ名もとっても有名だから、知っている人も多いのでしょうね。
 兵もたくさん巡回するし、この状況でカンニングをしようとする人はある意味肝が座っています。

「実技試験には、生徒会の面々も参加して頂きます。全員優秀な生徒ですので、思いっきり頑張って下さい」

 今度は、ルーカスお兄様たちが一歩前に出た。
 とても優秀な面々だし、きちんと採点するために練習もしていました。
 もちろん、先生も一緒についています。

「では、最後に学園担当の副宰相でもあるアレクサンダー様からの話がございます」

 僕が説明をしている先生の隣に移動すると、またもやざわめきが起きた。
 受付をしている先輩だと思っていた人と、僕が副宰相だということ、そして実は大したことはないだろうと余裕を持っている人など反応は様々です。

「おはようございます、アレクサンダーです。本日入園試験が行われますが、私も皆さんと同じ新入生になる予定です。ですが、既に王国官僚試験に合格しているため本日は監督側に回ることになりました」

 最初の挨拶で、またもやどよめきが起きました。
 自分たちと同じ新入生予定だということ、入園試験ではなく官僚試験に合格していること、入園試験を受けなくてずるいという反応など、またもや様々です。
 いつも大人ばっかりの相手をしているので、反応が初々しくてほっこりしちゃいます。

「問題作成する側も行いましたが、その際過去二十年分の問題を解きました。問題を作る側も、それだけの苦労をかけているということです。不正を行うととても悲しくなります。皆さんの頑張った成果が発揮されることを期待します」

 二十年分の問題を解いたと言ったら、またもやざわめきが起きました。
 凄いという反応と、そんなもの嘘だろうという反応です。
 実際にはもっと過去のものも解いているけど、今の時代に合わない問題もあったんだよね。
 あとリズよ、お兄ちゃんならそのくらい余裕でしょうみたいな表情をしないの。
 隣に座っているエレノアも、うんうんと頷かないの。

「それでは、これから筆記試験の準備を行います。机の上は、番号の書いた紙と筆記用具以外しまって下さい」

 先生の合図によって、一斉に受験生が動き出した。
 それとともに、生徒会のメンバーも一部の先生とともに体育館から出ていきます。
 兵も何人もスタンバイし、一部は舞台上に上がって全体を見回しています。
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