転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

藤なごみ

文字の大きさ
上 下
666 / 935
第二十七章 ちびっ子たちの冒険者デビュー

八百二十五話 午後も頑張ります

しおりを挟む
 午後になると、商会の動きも活発になって市場も再開し始めた。
 配給も、午後便が各地へ向かっています。
 後は、徴収し過ぎた分の税金の計算をして住民に返還すれば大体の対応が終わります。
 僕は食堂に移動して、少し遅めの昼食を食べます。

「あっ、お兄ちゃんお帰り。先に食べているよ!」

 食堂では、リズ達も廃村から戻ってきて昼食を食べていた。
 昨日調べきれなかった各家の調査も無事に終えたみたいで、満足そうにお肉を頬張っていた。
 とはいえ闇ギルドの拠点になっていたので、軍による廃村の封鎖は当面続くそうです。
 他の廃村でも同じことが起きていないか、王城経由で各地の領主に連絡がいったそうです。
 因みに辺境伯領には廃村はないけど廃屋はあるので、そういう所を重点的に巡回しているそうです。
 そして、炊き出しをしていたエマさんとオリビアさん、それにサギー伯爵も食堂にやってきました。

「はあ、疲れたよ。でも、炊き出しは明日も行わないと駄目だね」
「そうだね。物資が回ってきたけど、もう少し頑張らないといけませんね」
「私も良い意見が聞けました。この後、レポートに纏めます」

 どうやら炊き出しは、明日も行う事で確定みたいですね。
 サギー伯爵が纏めた情報は、後ほど代官に渡されるそうです。
 更には、自領のサギー伯爵領の改革にも使うという。
 こうやって自ら改革を進めるのはとても良い事だと思います。

「エマお姉ちゃん、オリビアお姉ちゃん、この後はリズもお手伝いするよ!」
「そうね、リズちゃんには治療を手伝って貰おうかしら」
「そろそろ小さい子がお昼寝の時間だから、交代させてもいいわね」
「「「頑張るよ!」」」

 今日はミカエルとブリットも朝から頑張っているので、お昼寝させてあげないと。
 僕も書類整理とか終わったので、昼食を食べたら炊き出しのところに向かいます。

「あっ、お兄ちゃんだ!」
「お兄ちゃん!」

 僕が治療班のところに顔を出すと、ちょうど手が空いたミカエルとブリットが僕に抱きついてきた。
 僕も二人を抱きしめて頭をなでなでしてあげます。
 今日も沢山の人を治療したみたいですね。

「ミカエルもブリットも、そろそろみんなとお昼寝だよ。ちょうど人もいなくなったからね」
「「はーい」」

 ミカエルとブリットも流石に少し疲れているみたいなので、レイカちゃん達と一緒に王城に送ります。
 既にリズとエレノアが治療ブースにいるし、炊き出しのところにもサンディとイヨがいる。
 スラちゃんも治療ブースにいるし、重症者にも対応できます。

「じゃあ、みんなの護衛を頼んだよ」
「「「キュー」」」
「ガウ」

 マジカルラット部隊はクマと一緒に遊んでいて、僕が声をかけると手をあげていた。
 ネズミとクマが一緒に遊んでいるのも凄いけど、とっても強いし捕食の心配もなさそうです。
 僕は屋敷前から応接室に戻りました。

「おお、アレク君お帰り。こっちはサギー伯爵が纏めた情報を精査しているよ」
「中々優秀な子で、私も一安心よ」
「うむ、儂もそう感じた。若いのに大したものじゃ、あのババアの孫とは思えんぞ」
「そんな、恐縮です」

 サギー伯爵を辺境伯様、ティナおばあさま、ニース侯爵が囲んでいたけど、サギー伯爵が出した政策をみんなが高く評価していた。
 僕も見せて貰ったけど、とても良い政策だと思います。
 これから代官を交えて打ち合わせだそうです。

「じゃあ、僕は王城に行ってきますね。まだ書類が溜まっているので」
「ええ、気を付けてね。こちらは任せて貰って大丈夫よ」

 こうして、僕はみんなに見送られながら王城の宰相執務室に向かいました。
 すると、午前中に引き続いて宰相の姿がありません。
 うーん、どこに行ったんだろうか?

「ローリーさん、宰相はどこに行きましたか?」
「あの、お孫様の寝顔を見に行くと言っておりました……」

 うん、確かに宰相の孫のレイカちゃんがエドちゃんルカちゃんの寝室でみんなでお昼寝中です。
 それをわざわざ見に行くなんて。
 もしかしたら、昨日もレイカちゃんの寝顔を見に行ったのかもしれません。
 なら、元気もりもりで帰ってくるはずなので、僕はその間に書類整理を沢山行いました。
 そして三十分後。

「はあ、いつ見ても孫の寝顔は良い物だな。って、なんだこれは!」

 満面の笑みで宰相が執務室に帰ってきたけど、自分の机の上に置かれた大量の書類を見て思わず絶叫してしまいました。
 もちろん、書類を置いたのは僕です。
 他の職員も、宰相の絶叫を見てくすくすとしています。

「あっ、宰相お帰りなさい。きっとレイカちゃんの寝顔を見て元気回復したと思ったので、沢山書類を用意しました」
「おふっ、げ、元気が抜けていく……」

 宰相は、若干演技っぽい事をしながら席に着きました。
 その間にも、僕は溜まった書類整理を進めます。
 こうして、夕方前までに僕は溜まった書類を片づけてほくほくでした。
 宰相も何だかんだいって、僕の提出した書類を全部処理するんだから、やる気を出すと凄いよね。
しおりを挟む
感想 237

あなたにおすすめの小説

勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。

八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。 パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。 攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。 ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。 一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。 これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。 ※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。 ※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。 ※表紙はAIイラストを使用。

悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!

えながゆうき
ファンタジー
 妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!  剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!

公爵家三男に転生しましたが・・・

キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが… 色々と本当に色々とありまして・・・ 転生しました。 前世は女性でしたが異世界では男! 記憶持ち葛藤をご覧下さい。 作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。

我が家に子犬がやって来た!

もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。 アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。 だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。 この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。 ※全102話で完結済。 ★『小説家になろう』でも読めます★

追放された薬師でしたが、特に気にもしていません 

志位斗 茂家波
ファンタジー
ある日、自身が所属していた冒険者パーティを追い出された薬師のメディ。 まぁ、どうでもいいので特に気にもせずに、会うつもりもないので別の国へ向かってしまった。 だが、密かに彼女を大事にしていた人たちの逆鱗に触れてしまったようであった‥‥‥ たまにやりたくなる短編。 ちょっと連載作品 「拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~」に登場している方が登場したりしますが、どうぞ読んでみてください。

せっかく転生したのに得たスキルは「料理」と「空間厨房」。どちらも外れだそうですが、私は今も生きています。

リーゼロッタ
ファンタジー
享年、30歳。どこにでもいるしがないOLのミライは、学校の成績も平凡、社内成績も平凡。 そんな彼女は、予告なしに突っ込んできた車によって死亡。 そして予告なしに転生。 ついた先は、料理レベルが低すぎるルネイモンド大陸にある「光の森」。 そしてやって来た謎の獣人によってわけの分からん事を言われ、、、 赤い鳥を仲間にし、、、 冒険系ゲームの世界につきもののスキルは外れだった!? スキルが何でも料理に没頭します! 超・謎の世界観とイタリア語由来の名前・品名が特徴です。 合成語多いかも 話の単位は「食」 3月18日 投稿(一食目、二食目) 3月19日 え?なんかこっちのほうが24h.ポイントが多い、、、まあ嬉しいです!

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。