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第二十四章 お兄ちゃんの官僚としての忙しい日々

六百七十八話 お兄ちゃんは仕事の鬼?

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 ジンさん達は、軍と教会の調査隊と共にクエスト男爵領へ向かいました。
 数日は調査待ちになりますね。
 という事で、僕は普通にお仕事をします。

 ペラペラ、カリカリ、ペラペラ、カリカリ。

「宰相、これにサインをお願いします」
「うむ。ふう、もうアレク君のサインでも良いだろう。それくらい、アレク君は仕事を覚えておるぞ」

 宰相が何かを言っているのを無視して、僕は宰相に書類を渡しました。
 数日間各地の対応で王城にいなかったので、書類が沢山溜まっています。
 残念ながら、余計なお喋りをする暇もありません。
 僕達は目の前にある書類と、激しい格闘をしないといけないんです。

 カリカリ、ペラペラ、カリカリ、ペラペラ。

「宰相、これもお願いします」

 どーん。

「アレク君、そろそろ休憩にしないかい?」
「じゃあ、この書類の山にサインをしたら休憩にしましょう」
「アレク君も、中々に鬼だな」
「「「くすくす」」」

 ルーシーお姉様や職員にも笑われたけど、こればっかりは仕方ありません。
 三十分かけて書類を整理して、休憩に入ります。

「ピーちゃん、ご飯ですよ」
「ピーピー」

 ルーシーお姉様はバスケットを開けて、早速サンダーホークの雛に餌を与えていました。
 雛も、かなりの勢いで細かくした肉を食べています。
 雛もルーシーお姉様にだいぶ慣れたみたいで、もう完全に親だと思っていますね。

「はあ、紅茶が美味い……」

 宰相は書類整理で疲れたみたいで、紅茶を飲みながらまったりとしていました。
 お菓子も、遠慮なくバリバリと食べていますね。
 僕も紅茶を飲んでマッタリとしています。

「これで、ようやく一段落ですね」
「何もこんなに急がなくても良かったと思うが……」
「クエスト男爵領で何かあったらまた仕事が止まりますから、今のうちにできる事は進めておいた方が良いですよ」

 極めて正論を言ったつもりだったけど、ルーシーお姉様と宰相は苦笑していました。

「弟くんは、本当に真面目ね」
「そうだのう」

 いやいや、僕は目の前に書類が溜まっているのが性格的に駄目なんですよ。
 二人とも、そこは分かって下さいな。

「「「へあ……」」」
「ほらほら、昼食をしっかりと食べたら午後も礼儀作法の勉強よ」
「「「ふわーい」」」

 昼食を食べに食堂に行くと、テーブルに突っ伏しているリズ達の姿があった。
 アイビー様の礼儀作法の勉強はスパルタらしく、午前中だけで完全に疲れちゃったみたいですね。

「アレク君の方はどうだったの?」
「弟くんが、宰相を疲れさせていたわ。溜まっていた仕事を一気にやったのよ」
「それはアレク君らしいわね」

 ティナおばあさまがルーシーお姉様に午前中の状況を聞いていたけど、僕は至って普通に仕事をしただけですよ。

「午後は、私も宰相の執務室に行く予定だよ。殆ど仕事はないみたいだけどね」

 ルーカスお兄様は午前中は陛下と共に来賓対応をしていたけど、午後は宰相の執務室にくるんだ。
 となると、ますます宰相がサインしないとならない書類が増えちゃうね。

「僕は、午後は各部署をまわって書類を置いてきます」
「アレク君が真面目に仕事をするから、色々な所でも真面目にやらないとって空気になっているみたいよ」
「間違いなく、一番真面目な空気なのは宰相の所だよね」

 ティナおばあさまとルーシーお姉様が何か言っていたけど、僕は普通にしているだけなんだよね。
 という事で、午後も頑張ってお仕事しましょう。

「あれ? 宰相はどうしたんですか?」
「閣僚会議があるので、そちらに行かれました」

 そして張り切って宰相の執務室に行ったら、肝心の宰相が会議で不在でした。
 こればっかりはしょうがないかなと思いながら、僕はお仕事を始めました。
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