転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

藤なごみ

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第二十四章 お兄ちゃんの官僚としての忙しい日々

六百五十三話 総代を巡るひと悶着

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 辺りが騒然とする中、バード伯爵家の息子はずかずかとエマさんの方に歩いていきました。

「何で女が代表なんだ! バード伯爵家の嫡男たる、この私を卒園生代表にしろ! お前は引っ込め!」

 何故にそこまで自信満々なのか全くわからないけど、エマさんの事を指さしてあーだこーだ言っています。

「引っ込め! ウザいんだよ!」
「何でお前が代表なんだ!」
「落第寸前のくせして!」

 卒園生は、ほぼ全員がエマさんの味方でバード伯爵家の息子の味方はいません。
 そして、席を立って颯爽と動いた人がいました。

「貴方なんかに、エマちゃんの総代を邪魔させないわ」

 シュン、バシッ!

「なっ、これは、くそ!」

 オリビアさんが風魔法を上手く使って、叫んでいたバード伯爵の息子を拘束しました。

「くそ、俺を離しやがれ!」
「はいはい、御託は良いから退場しましょうね」
「卒園生代表挨拶を潰そうとするなんて、前代未聞ね」
「がっ、話せ! 俺を離しやがれ!」

 直ぐに駆けつけたルリアンさんとナンシーさんが、他の兵と共にバード伯爵の息子を縄で拘束していました。
 バード伯爵家の息子は、あっという間に体育館から退場して行きます。

「離せ、離しやがれ! 俺はバード伯爵家の当主だぞ」
「バード伯爵夫人の私に無礼ですわ」
「はあ、すーげー頭痛いな」
「こんなのが伯爵なんだなんて……」
「煩いから、さっさと出しますわよ」

 保護者席でも、ジンさん達が丸々と太った夫妻を体育館から退場させている最中でした。
 親も親なら、子も子って事ですね。
 煩い連中が体育館から強制的に連れ出された所で体育館内も落ち着き、エマさんの卒園生代表挨拶が始まりました。

「私達はこの学園で学んだ多くの事を糧にし、新しい世界へと旅立って行きます。友情を大切にし、王国をより良いものにする為に、これからも自己研鑽を続けていきます。お互いに手を取り合い、支えていく事が重要だと私は思います。驕ることなく謙虚に、感謝を大切にして日々を過ごしてまいります。卒園生総代、エマ・ホーエンハイム」

 パチパチパチ。

 エマさんの素晴らしい総代挨拶に、会場中から大きな拍手が沸き起こりました。
 演説の内容がバード伯爵家の息子への皮肉にもなっていたけど、とっても大切な事だと思います。
 席に戻ったエマさんの事を、オリビアさんが良くやったねってニコリとしながら褒めていました。
 こうして、卒園式は何事もなかったかの様に綺麗に締めくくられました。
 学園生と保護者が体育館から移動した後に、僕達は体育館から学園の応接室に移動しました。

「エマさんの演説、凄い良かったですね」
「そうね。何か叫んでいた人がいたけど、関係ないくらい良かったわ」

 僕の感想に、ルーシーお姉様も同意します。
 リズとスラちゃんとプリンも、同意する様に頷いていました。

「いやあ、久々に大馬鹿を見たな。あまりの馬鹿ぶりに、逆に清々しいぜ」
「貴族主義でもないのに、アホな貴族って出てくるんだね」
「どうして、次から次へと馬鹿なのが出てくるんだろうか?」

 ジンさん達はというと、大暴れしたバード伯爵一家に対する不満を漏らしていました。
 因みに、バード伯爵家の息子は卒業証書を貰っているので卒園扱いになるそうだけど、別室に隔離されて目茶苦茶怒られているそうです。
 バード伯爵夫妻は、強制的に屋敷に帰らされたとの事です。

「卒園式で強制退席になるのって、初めてじゃないんですか?」
「それがね、過去にもいるのよ。しかも、総代に不満を持つという理由も一緒なのよ」

 レイナさん曰く、レイナさんの二つ上の代でも似たような事があったそうです。
 その時も、騒いだ人が先生によってつまみ出されたそうです。
 貴族のプライドって、本当に面倒くさいですね。
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