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第二十二章 新たな魔獣

五百三十一話 疑惑の領地

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 そしてルシアさんとククリさんが家に滞在するので、部屋の準備をジュリさんと侍従のお姉さんにお願いしました。
 といっても開いている客室は沢山あるしいつも綺麗にしているので、二部屋を選んで貰うだけです。

「じゃあ、私はこの部屋にする!」
「では、私はこちらの部屋にしますね」

 直ぐに二人の部屋も決まりました。
 お互いに隣り合わせの部屋ですが、ルシアさんの隣の部屋が王妃様の部屋なのは黙っておきましょう。
 荷物もそれぞれのマジックバッグとポッキーのアイテムボックスに入っているので、追加で買い足す必要もありません。
 歓迎会は夕食時にする事にしたので、それまではゆっくりしてもらう事になりました。

「じゃあ、行ってくるね」
「「「いってらっしゃーい」」」

 僕は軍務卿とティナおばあさまを王城に送るついでに、ジンさんと一緒に王城で会議を行う事になりました。
 リズ達はお留守番なので、ミカエル達と一緒にルシアさん達と遊ぶそうです。

「意外な所から魔獣化の薬の情報が出てきたな。ただ、不良冒険者を上手く使って運び屋にさせていたのは可能性としてあったな」

 陛下も、しまったと渋い表情をしていた。
 結果論になっちゃうけど、確かに闇ギルドが不良冒険者を使ったのは予見できたかもしれない。
 でも、もうそれは仕方ない事なので、今後の対策を話し合う事になりました。

「現在冒険者ギルドでは、行動履歴が怪しい者をリストアップしております。既に捕縛した二名の冒険者の尋問を続けており、どのような経緯で薬を入手したかの分析を進めております」

 確か王妃様が、気絶していない方の冒険者を尋問しているんだよね。
 何か良い成果が出るかと思ったら、息を切らせた兵が会議室に入ってきました。

「はあはあはあ、ほ、報告いたします。尋問した冒険者の供述から、ナイツ子爵領から各領地へ薬が運ばれている可能性がある事が分かりました」
「ナイツ子爵領か、国の端にある場所だな。確かナイツ子爵は貴族主義だったが、闇ギルドと繋がっていたとは」

 報告を受けた陛下が、顎を触りながらぶつぶつと話していました。
 ナイツ子爵領は国の北側にあって、僕達のいるホーエンハイム辺境伯領とは反対側になる。
 問題は、どうやって現地に行くかになります。

「うーむ、サーゲロイド辺境伯に一度行って、そこからナイツ子爵領に向かった方が良いだろう。直接軍用船で乗り込むと、襲撃される恐れがあるな」
「サーゲロイド辺境伯からナイツ子爵領までは、馬で五日の距離になります。今のスラちゃんは人一人なら長距離転移でも連れていけるな。そうすれば、アレク君を現地に連れて行ってゲートで一気に人を運ぶ事もできます」

 あれ?
 今、陛下と軍務卿がナイツ子爵領へ行く方法を話し合っていたけど、スラちゃんが一人だけだけど人を連れていける様になったのは聞いていないよ。
 プリンはスラちゃんと一緒に転移してどこかに行っている事があるけど、まさかそこまでパワーアップしたとは。
 僕の横では、スラちゃんが任せろって感じでフルフルと震えていました。
 準備があるので、明日朝サーゲロイド辺境伯領に向かう事になりました。

「ああ、調査に長けたメンバーを使うが、アレク達の従魔も借りる事になるだろう。先ずは秘密裏に行動しないとならないからな」

 という事で、スラちゃんだけでなくプリンやマジカルラットの子ども達も一部作戦に参加する事になりました。
 何とかこれで、闇ギルド対応が上手く行って欲しいですね。
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