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第十七章 教皇国編

三百五十九話 今日は皆でお泊り決定

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 ちょいちょい。
 ちょいちょい。

 うん?
 何だなんだ?
 誰かが、寝ている僕のほっぺをつんつんとしているぞ。
 うーん、少し眠いけど起きてみるか。

「あ、にーにおきた!」
 
 目覚めると、ミカエルの顔のドアップがあった。
 うん、目覚めでいきなり人の顔のアップはきついから止めておこうね。
 ベッドから体を起こすと、ベッドの周りには皇都の孤児院から避難してきた子ども達が僕とリズの寝ているベッドを囲んでいた。
 因みにリズは、スラちゃんとプリンと共にまだ夢の中だった。
 窓の外を見ると、陽が高く上っていた。
 そろそろお昼頃かな?

「ミカエル、どうして僕の事を起こしたの?」
「ごはん!」

 どうやら昼食の時間になったので、ミカエルは孤児院の子ども達と共に僕の事を起こした様だ。
 ミカエルは元気よく両手をあげて、僕に向かって答えていた。

「ごはん!」

 そして、何故か寝ていたリズとスラちゃんとプリンも、ミカエルのごはんの一言で飛び起きた。

「ねーね、おきた!」

 ミカエルはリズが飛び起きて喜んでいるが、僕にとってはリズとスラちゃんとプリンが食いしん坊である事が証明されただけだった。

「いっぱい魔法を使ったから、お腹がぺこぺこ!」

 リズとスラちゃんとプリンは余程お腹が空いているのか、パンとスープをあっという間にたいらげた。
 僕もお腹はぺこぺこだったけど、流石に落ち着いて食べます。

「でも、そんな大変な事があったのですね。大教会の中を破壊する程の被害とは」
「まあ、魔獣化したアホスタイル枢機卿はそんなに強くなかったので、対応自体は難しくなかったですけどね」
「リズは魔法一発しかやっていないんだよ」

 昼食後に孤児院のシスターと話をしているけど、戦闘時間も短かったしこちらには全く被害がなかった。
 ジンさんの剣が聖剣になったくらいだよね。

「しかし、ジンの剣が聖剣になるとはね。面白い事もあるもんだね」
「二つ名もますます大きくなるだろうし、教皇国でのジンの様子を見てみたいもんだね」

 そして僕が屋敷に戻っていると聞いて、レイナさんとカミラさんも屋敷に来ています。
 ジンさんの活躍を聞いているけど、二人ともびっくりはしていない様だ。
 昼食も食べ終えたので、僕はリズと孤児院のシスターとサンディを連れて教皇国に戻ります。

「にーに、いってらー」

 ミカエルは、孤児院の子ども達と庭で遊ぶようだ。
 レイナさんとカミラさんも子ども達の様子を見てくれているので、おまかせしよう。

「あら、もう帰ってきたの?」
「はい、昼食も食べてきました」

 皆を連れて大教会に戻ると、殆ど後始末が終わっていた。
 たまたまなのか、庭にいたティナおばあさまと遭遇する事ができた。
 大教会内は一般の人は立ち入り禁止になっているのだが、僕もいるという事でサンディと孤児院のシスターに現場を見てもらう事になった。

「うわあ、教会の中がそこら中穴だらけですね」
「こんなに教会が壊れる程の激しい戦いがあったのですね」

 瓦礫は殆ど運び出されたのだが、かえってボコボコに空いた穴の大きさがよく分かる。
 あのアホスタイル枢機卿だったものは、僕が思ったよりも派手に暴れたみたいだ。
 祭壇の近くに進むと、床が四角に切り取られている場所があった。
 これって、もしかして……

「ティナおばあさま、ジンさんの剣が刺さっていた床をそっくり切り取ったんですね」
「聖剣の生まれた場所という事で、教皇国の博物館に飾られるらしいわよ。ジンはサインを書いたり証言の為に話をしたりと、結構大変そうだったわ」

 ふふふと他人事の様に笑うティナおばあさまを見ると、面倒ごとを全てジンさんに押し付けた様だ。
 
「後ね、迎賓館の施設にも破損が見られるそうよ。兵が無理矢理ドアを開けたり暴れたりしたから、ドアとかが壊れてしまった様ね」
「兵も強引に侵入したんですね。これでは宿泊は無理ですね」
「医療施設に入院していたシスターももう大丈夫の様だし、今日はシェジェク伯爵とクレイモアさんも屋敷で宿泊ね」

 流石に海外からの来賓を鍵の無い部屋に泊めさせる訳にはならないので、今日は全員僕の屋敷にご招待。
 念の為に、辺境伯様にも僕の屋敷にシェジェク伯爵とクレイモアさんが泊まるという情報を共有しておいた。
 と、ここでだいぶ疲れた様子のジンさんにカレン様とルーカスお兄様とアイビー様が大教会の中にやってきた。
 うん、ジンさんはだいぶヘロヘロになっているぞ。

「ティナ様、逃げるなんて酷いですよ……」
「聖剣はジンの話なのだから、ジンが対応するのは当たり前よ」
「あの、私も巻き込まれたんですけど」

 ぼそっとルーカスお兄様も愚痴を溢していたのを見ると、どうもジンさん以外にカレン様とルーカスお兄様とアイビー様も色々と話を聞かれまくった様だ。
 この辺の面倒くさい事を切り抜けるうまさは、圧倒的にティナおばあさまの方が上だった様だ。
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