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第十三章 貴族主義派の不正
二百十二話 保護された幼女
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僕が食堂に近づくと、食堂の中から賑やかな声が聞こえてきた。
「あ、お兄ちゃん」
「お兄ちゃん?」
「そうなの。リズのお兄ちゃんなの」
食堂に入ると、昨日保護したプラチナブロンドの髪の少女にリズとスラちゃんが話しかけていた。
少女は首を傾げて僕の事を見ていた。
うーん、やっぱり小さめだし言葉も少したどたどしいなあ。
キチンとした生育環境を与えられていなかったのだろう。
「初めまして、アレクです」
「えっと、ミリアです」
「ミリアか。リズが食事の邪魔をしてごめんね」
「大丈夫、お話久々だから楽しいの」
「ほらね、リズは邪魔していないの!」
リズにスラちゃんよ、胸を張って威張らないの。
実際にミリアの食事の手を止めているのだから。
しかし、誰かと話をするのが久々か。
本当に辛い境遇で育ったんだな。
ミリアにはゆっくりと食事を食べてもらい、小さい頃のリズの服に着替えて貰った。
髪を少し切りそろえて、おさげの様にツーテールに纏める。
「おお、可愛くなったね。流石はお兄ちゃん!」
「毎日リズの寝癖を直しているからな。これでオッケーだ」
うん、改めて見ると髪色が綺麗だから、大人しめの美少女って感じだな。
ミリアは着飾った自分に少し慣れない様で、ちょっともじもじしていた。
「よし、じゃあ王城に行ってくるよ。リズもスラちゃんも、捜索のお手伝いよろしくね」
「行ってらっしゃい!」
僕はリズとスラちゃんにお手伝いをお願いして、ミリアと共に王城に向かった。
王城に着くと、直ぐに応接室に通された。
中にはティナおばあちゃんと同じくらいの年齢と思われる夫妻がいた。
この国は早くに子どもを産むから、祖父母といえども若々しいなあ。
そして、もう一人貴族の服を着た若い女性がいた。
この子が、捕縛された嫡男の嫁なんだろう。
スラちゃんとプリンも攻撃しなかったらしいし、事情聴取の後に直ぐに釈放されて王城内で保護されていたという。
女性はミリアを見るなり、駆け出して抱きしめていた。
「ミリアちゃん!」
「お姉ちゃん!」
どうやら二人の間には、確かな信頼があった様だ。
お互いの無事を確かめる様に、キツく抱きしめていた。
その様子を、女性の両親が涙ながらに喜んでいた。
「改めて殿下に自己紹介を。私はクロール男爵です。この度は、娘シェーンをそしてミリアを救って頂きありがとうございます」
「ミリアは娘が嫁ぐ時についていった侍従の子なんです。娘にとっては幼馴染で、姉妹当然に育ちました」
ミリアと女性が鑑定の為に席を外している間、僕は女性の両親から話を聞く事になった。
リズを連れてこなくて良かった。
結構重い内容の話になりそうだ。
「娘は一度妊娠したらしいのですが、流産してしまったらしいです。その後はどうしても子どもが出来ないでいました」
「そして娘が子どもが出来なことに憤慨した嫡男は、娘の代わりといって侍従を暴行しその結果ミリアが産まれました」
「なんと酷い事を……」
「娘にとっては大切な幼馴染だとしても、嫡男にとってはどうでも良いですからね」
「しかも産後の病気で侍従が亡くなってしまいました。私は娘を嫁がせた事をとても後悔しています。べストール侯爵の圧力さえ無ければ……」
夫妻は共に涙を流していた。
娘と幼馴染に起きた悲劇、そしてまたもやべストール侯爵の関与が発覚。
余りの惨劇に、部屋に待機していた侍従ももらい泣きをしていた。
「こうして何とか平穏を取り戻すことができ、殿下には感謝します」
「いや、国はもっと不正を早く見抜かなければならなかった。その点は反省しなければならないです」
「アレクのいう通りだな。この度の一件は、直轄地で起きたのだ。国の責任も大きい」
夫妻との会話に、突然応接室に入ってきた陛下が答えた。
この様子だと、廊下で僕達の話を聞いていてタイミングを伺っていた様だ。
シェーンさんとミリアも中に入ってきた。
勉強の為にと、ルーカスお兄様も同席する事になった。
「後ほど正式に通達するが、べストール男爵家の現在の当主は強制交代とし嫡男は廃嫡とする。ミリアはシェーンの養子となり、正式にべストール男爵家当主になる。後見人がクロール男爵だな」
「という事は、ミリアが正式にべストール男爵家の血を引く事が分かったんですね」
「アレクが鑑定してくれたし、ミリアの母親の出所も分かった。侍従だったが、元はクロール男爵の出身なので血筋も申し分ない」
クロール男爵夫妻が調査に協力的だったので、すんなりと色々な事が分かったらしい。
代理当主かと思ったけど、正式に当主が決まって一安心だ。
「お姉ちゃん、養子ってなあに?」
「これからはね、お姉ちゃんがミリアちゃんのお母さんになるのよ」
「そうなんだ! ミリア嬉しいな!」
二人の間の関係も良好だし、これからの事は問題なさそうだ。
ここでルーカスお兄様が陛下に質問をしていた。
「お父様、ミリアが成長していく分の養育費はどうなりますか?」
「没収した財産から、シェーンの財産とミリアの養育費を差し引いて返す方向だ」
「そうですか。それは良かったです。最近色々な事を見ていたので、少し気になったので」
「そういう事が気になるという事は、それだけルーカスが成長したという事だ。残されたものの事を考えるのも、上に立つ者の仕事だぞ」
「はい、精進します」
バザール領の件もあったし、ミリアが受けていた虐待の事も聞いている。
ルーカスお兄様も少しずつ成長していっているんだな。
「あ、お兄ちゃん」
「お兄ちゃん?」
「そうなの。リズのお兄ちゃんなの」
食堂に入ると、昨日保護したプラチナブロンドの髪の少女にリズとスラちゃんが話しかけていた。
少女は首を傾げて僕の事を見ていた。
うーん、やっぱり小さめだし言葉も少したどたどしいなあ。
キチンとした生育環境を与えられていなかったのだろう。
「初めまして、アレクです」
「えっと、ミリアです」
「ミリアか。リズが食事の邪魔をしてごめんね」
「大丈夫、お話久々だから楽しいの」
「ほらね、リズは邪魔していないの!」
リズにスラちゃんよ、胸を張って威張らないの。
実際にミリアの食事の手を止めているのだから。
しかし、誰かと話をするのが久々か。
本当に辛い境遇で育ったんだな。
ミリアにはゆっくりと食事を食べてもらい、小さい頃のリズの服に着替えて貰った。
髪を少し切りそろえて、おさげの様にツーテールに纏める。
「おお、可愛くなったね。流石はお兄ちゃん!」
「毎日リズの寝癖を直しているからな。これでオッケーだ」
うん、改めて見ると髪色が綺麗だから、大人しめの美少女って感じだな。
ミリアは着飾った自分に少し慣れない様で、ちょっともじもじしていた。
「よし、じゃあ王城に行ってくるよ。リズもスラちゃんも、捜索のお手伝いよろしくね」
「行ってらっしゃい!」
僕はリズとスラちゃんにお手伝いをお願いして、ミリアと共に王城に向かった。
王城に着くと、直ぐに応接室に通された。
中にはティナおばあちゃんと同じくらいの年齢と思われる夫妻がいた。
この国は早くに子どもを産むから、祖父母といえども若々しいなあ。
そして、もう一人貴族の服を着た若い女性がいた。
この子が、捕縛された嫡男の嫁なんだろう。
スラちゃんとプリンも攻撃しなかったらしいし、事情聴取の後に直ぐに釈放されて王城内で保護されていたという。
女性はミリアを見るなり、駆け出して抱きしめていた。
「ミリアちゃん!」
「お姉ちゃん!」
どうやら二人の間には、確かな信頼があった様だ。
お互いの無事を確かめる様に、キツく抱きしめていた。
その様子を、女性の両親が涙ながらに喜んでいた。
「改めて殿下に自己紹介を。私はクロール男爵です。この度は、娘シェーンをそしてミリアを救って頂きありがとうございます」
「ミリアは娘が嫁ぐ時についていった侍従の子なんです。娘にとっては幼馴染で、姉妹当然に育ちました」
ミリアと女性が鑑定の為に席を外している間、僕は女性の両親から話を聞く事になった。
リズを連れてこなくて良かった。
結構重い内容の話になりそうだ。
「娘は一度妊娠したらしいのですが、流産してしまったらしいです。その後はどうしても子どもが出来ないでいました」
「そして娘が子どもが出来なことに憤慨した嫡男は、娘の代わりといって侍従を暴行しその結果ミリアが産まれました」
「なんと酷い事を……」
「娘にとっては大切な幼馴染だとしても、嫡男にとってはどうでも良いですからね」
「しかも産後の病気で侍従が亡くなってしまいました。私は娘を嫁がせた事をとても後悔しています。べストール侯爵の圧力さえ無ければ……」
夫妻は共に涙を流していた。
娘と幼馴染に起きた悲劇、そしてまたもやべストール侯爵の関与が発覚。
余りの惨劇に、部屋に待機していた侍従ももらい泣きをしていた。
「こうして何とか平穏を取り戻すことができ、殿下には感謝します」
「いや、国はもっと不正を早く見抜かなければならなかった。その点は反省しなければならないです」
「アレクのいう通りだな。この度の一件は、直轄地で起きたのだ。国の責任も大きい」
夫妻との会話に、突然応接室に入ってきた陛下が答えた。
この様子だと、廊下で僕達の話を聞いていてタイミングを伺っていた様だ。
シェーンさんとミリアも中に入ってきた。
勉強の為にと、ルーカスお兄様も同席する事になった。
「後ほど正式に通達するが、べストール男爵家の現在の当主は強制交代とし嫡男は廃嫡とする。ミリアはシェーンの養子となり、正式にべストール男爵家当主になる。後見人がクロール男爵だな」
「という事は、ミリアが正式にべストール男爵家の血を引く事が分かったんですね」
「アレクが鑑定してくれたし、ミリアの母親の出所も分かった。侍従だったが、元はクロール男爵の出身なので血筋も申し分ない」
クロール男爵夫妻が調査に協力的だったので、すんなりと色々な事が分かったらしい。
代理当主かと思ったけど、正式に当主が決まって一安心だ。
「お姉ちゃん、養子ってなあに?」
「これからはね、お姉ちゃんがミリアちゃんのお母さんになるのよ」
「そうなんだ! ミリア嬉しいな!」
二人の間の関係も良好だし、これからの事は問題なさそうだ。
ここでルーカスお兄様が陛下に質問をしていた。
「お父様、ミリアが成長していく分の養育費はどうなりますか?」
「没収した財産から、シェーンの財産とミリアの養育費を差し引いて返す方向だ」
「そうですか。それは良かったです。最近色々な事を見ていたので、少し気になったので」
「そういう事が気になるという事は、それだけルーカスが成長したという事だ。残されたものの事を考えるのも、上に立つ者の仕事だぞ」
「はい、精進します」
バザール領の件もあったし、ミリアが受けていた虐待の事も聞いている。
ルーカスお兄様も少しずつ成長していっているんだな。
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