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89話「疾走」
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「はぁ……はぁ……今のところ、こちらの思惑通りに事がするんでいるようですけど……」
呪いの詳細が分かるのは、思いの外早かった。杉村や梓が残した証拠は決定的なものであり、それだけの質の証拠が見つかれば、梓の知識と杏香のリサーチ能力を以てすれば、犯人を数人に絞り込むのは容易な事であった。
「いつ……仕掛けてくるです……?」
梓の警戒心が強まる。呪いは恐らく起動式のもの。つまり、犯人が任意のタイミングで呪いを発動できるということだ。ただ、それは逆に、犯人を絞る手掛かりにもなった。呪いを発動させるには、少なくとも、呪いを発動する場所を、自分の目で見る必要があるからだ。無論、犯人が呪いを仕掛けてある現場を見ていない状態でも発動自体は可能だが……これまでの殺人の精度から、犯人が直接呪う対象を見てないというのは考えにくい。
「正直、賭けでしたけど……犯人が乗ってくれて良かったです」
犯人は、やはり、この学校の誰かであることは間違いなさそうだった。なので、梓は、そこに更にもう一押しを加えるため、杏香と協力して、こちらから攻める方法を取ることにした。
その方法は、全ての教室に顔を出すという方法だ。犯人に確実に顔が知られている梓が教室に顔を出せば、犯人は何らかのアクションを起こすはずだと考えたからだ。
そして……梓の読み通り、犯人はアクションを起こした。
「空来羽雪さん……そろそろスタミナが切れてくる頃ですね……」
梓が空来の様子を注意深く見つつ、僅かに距離を詰めていく。
空来は目に見えて披露困憊している様子だ。呼吸は激しく、体もふらついている。もう何分も走っていられないだろうことが、明らかに分かる。
「さて、これからが、いよいよ本番ですね……」
梓の体は強張り、梓の心は背にかついだ弓を、無性に意識するようになる。このために、今まで犠牲者を横目に見ながら、練習を積んだのだ。もしも、これで失敗したなら、梓は胸糞の悪い思いをし、梓の助けられなかった何にんもの犠牲者の死も無駄になってしまうだろう。そして、これからも犠牲者は増えるばかりになるだろう。
「ここで決着を……」
犯人が追い詰められる時、犯人は必ず、あの怪物を呼ぶだろう。梓はその怪物を、無傷で倒さなければならない。この破魔の矢ならば、それが出来る筈だが……実際に怪物を相手にするのは初めてだ。ぶっつけ本番、果たして上手くいくかどうか……。
「梓、予定通りね」
横道から走って梓に追いついたのは杏香だ。
「杏香さん、空来さん、頼みます!」
「おっけ、任せといて! 最後の詰め、頼むわ!」
「はい! ここまで来て、しくじらないですよ!」
梓が地面を踏みしめる。ザザザ……という地面と足が摩擦する音が、大袈裟に辺りに響く。急遽、走るのをやめ、無理矢理に体をその場にとどまらせようとしつつ、体を後ろ向きに翻す。その動作を無理にでもしたおかげで、梓の体は三歩か四歩分くらい地面を滑り、急停止することになった。
前を見据える梓の目に入ったのは、まず、瑞輝の姿だ。瑞輝が梓の後ろを走っていたのは、梓にも想像出来た。教室を出る時に、横目で瑞輝が追いかけてくるのが見えたからだ。瑞輝は、あと数秒ほどで、立ち止まった梓に追いつく距離だろう。しかし、その後ろから、誰が追いかけてくるのかは分からない。
梓が首を捻り、ちらりと後を見る。後ろには、逃げる空来を杏香が追っている様子が見えるが、二人の姿はどんどんと小さくなっていく。二人の姿が見えなくなるまで、そうはかからないだろう。
「……」
梓が前に視線を戻すと、丁度、瑞輝が追いついてきたところだった。
「あ……あれ? どうしたんです、梓さん?」
瑞輝は悠が止まったことに驚いたが、全力疾走している勢いを急に止められるわけもなく、梓を三、四歩くらい追い越して、ようやく足を止めた。
瑞輝はゼエゼエと肩で息をしている。後ろから誰も来なければ、瑞輝が連続殺人の犯人だという可能性はあるが……。
「瑞輝さん……追いかけてこなくてもよかったのに……大変だったでしょ」
梓は、瑞輝の様子から、瑞輝が犯人ではないと、まず、瑞輝を除外し、ポケットのハンカチを汗だくの瑞輝に渡した。
「あ……ありがとう。でも、梓さんも汗、酷くかいてるから……」
「そうですか? ……あ!」
瑞輝を犯人候補から除外した梓は、瑞輝の更に後ろから追いかけてくる誰かが存在することを期待するしかなかったが……現れた。それも、二人だ。
「あ、あれ……? 駿一君と冬城さん……?」
追いついた二人を見て、瑞輝が怪訝な顔つきをした。梓はそんな瑞輝の反応を、二人が普段、こういった行動をしない人なのだと分析した。
「よお瑞輝。お前も熱くなる時があるんじゃないか。少し見直したぜ」
冬城が瑞輝に微笑みかける。冬城も息が切れているが、他の三人よりも体力には余裕がありそうな呼吸の仕方をしている。
「なんか、結構な人数、集まっちゃいましたね……」
梓が苦笑する。
「何だ、お前ら空来を追いかけてたんじゃなかったのかよ?」
「俺もそう思ったが……てか、そもそも何で俺がこんなことしてんだ……」
新たに梓に追いついた二人が、思い思いの言葉を発する。
「僕も、何で急に空来さんを追いかけるのをやめたのか聞きたいです。もしかして、空来さんが犯人なんじゃないかって気がして……だから咄嗟に追いかけてきたんですけど……あ、これ、もう、汗、結構引いたから」
「あ、どうも。……でも、そう考えるのは当然ですよね、私にとっても空来羽雪さんは犯人の候補でしたから」
そう言いながら、梓は瑞輝からハンカチを受けとり、腰のポケットに入れようとした。
「……っ!」
梓は腰のポケットに完全に手を入れる前に、それをやめ、後ろへと跳び退いた。ハンカチは袴のポケットに入らず、ひらりと地面に落ちる。
梓は着地すると、もう一歩、大きく後ろへと跳躍しながら後ろに背負った弓を手に持ち、同じく後ろに背負った矢を引き抜いて、前方に構え、弓を弾き絞った。
呪いの詳細が分かるのは、思いの外早かった。杉村や梓が残した証拠は決定的なものであり、それだけの質の証拠が見つかれば、梓の知識と杏香のリサーチ能力を以てすれば、犯人を数人に絞り込むのは容易な事であった。
「いつ……仕掛けてくるです……?」
梓の警戒心が強まる。呪いは恐らく起動式のもの。つまり、犯人が任意のタイミングで呪いを発動できるということだ。ただ、それは逆に、犯人を絞る手掛かりにもなった。呪いを発動させるには、少なくとも、呪いを発動する場所を、自分の目で見る必要があるからだ。無論、犯人が呪いを仕掛けてある現場を見ていない状態でも発動自体は可能だが……これまでの殺人の精度から、犯人が直接呪う対象を見てないというのは考えにくい。
「正直、賭けでしたけど……犯人が乗ってくれて良かったです」
犯人は、やはり、この学校の誰かであることは間違いなさそうだった。なので、梓は、そこに更にもう一押しを加えるため、杏香と協力して、こちらから攻める方法を取ることにした。
その方法は、全ての教室に顔を出すという方法だ。犯人に確実に顔が知られている梓が教室に顔を出せば、犯人は何らかのアクションを起こすはずだと考えたからだ。
そして……梓の読み通り、犯人はアクションを起こした。
「空来羽雪さん……そろそろスタミナが切れてくる頃ですね……」
梓が空来の様子を注意深く見つつ、僅かに距離を詰めていく。
空来は目に見えて披露困憊している様子だ。呼吸は激しく、体もふらついている。もう何分も走っていられないだろうことが、明らかに分かる。
「さて、これからが、いよいよ本番ですね……」
梓の体は強張り、梓の心は背にかついだ弓を、無性に意識するようになる。このために、今まで犠牲者を横目に見ながら、練習を積んだのだ。もしも、これで失敗したなら、梓は胸糞の悪い思いをし、梓の助けられなかった何にんもの犠牲者の死も無駄になってしまうだろう。そして、これからも犠牲者は増えるばかりになるだろう。
「ここで決着を……」
犯人が追い詰められる時、犯人は必ず、あの怪物を呼ぶだろう。梓はその怪物を、無傷で倒さなければならない。この破魔の矢ならば、それが出来る筈だが……実際に怪物を相手にするのは初めてだ。ぶっつけ本番、果たして上手くいくかどうか……。
「梓、予定通りね」
横道から走って梓に追いついたのは杏香だ。
「杏香さん、空来さん、頼みます!」
「おっけ、任せといて! 最後の詰め、頼むわ!」
「はい! ここまで来て、しくじらないですよ!」
梓が地面を踏みしめる。ザザザ……という地面と足が摩擦する音が、大袈裟に辺りに響く。急遽、走るのをやめ、無理矢理に体をその場にとどまらせようとしつつ、体を後ろ向きに翻す。その動作を無理にでもしたおかげで、梓の体は三歩か四歩分くらい地面を滑り、急停止することになった。
前を見据える梓の目に入ったのは、まず、瑞輝の姿だ。瑞輝が梓の後ろを走っていたのは、梓にも想像出来た。教室を出る時に、横目で瑞輝が追いかけてくるのが見えたからだ。瑞輝は、あと数秒ほどで、立ち止まった梓に追いつく距離だろう。しかし、その後ろから、誰が追いかけてくるのかは分からない。
梓が首を捻り、ちらりと後を見る。後ろには、逃げる空来を杏香が追っている様子が見えるが、二人の姿はどんどんと小さくなっていく。二人の姿が見えなくなるまで、そうはかからないだろう。
「……」
梓が前に視線を戻すと、丁度、瑞輝が追いついてきたところだった。
「あ……あれ? どうしたんです、梓さん?」
瑞輝は悠が止まったことに驚いたが、全力疾走している勢いを急に止められるわけもなく、梓を三、四歩くらい追い越して、ようやく足を止めた。
瑞輝はゼエゼエと肩で息をしている。後ろから誰も来なければ、瑞輝が連続殺人の犯人だという可能性はあるが……。
「瑞輝さん……追いかけてこなくてもよかったのに……大変だったでしょ」
梓は、瑞輝の様子から、瑞輝が犯人ではないと、まず、瑞輝を除外し、ポケットのハンカチを汗だくの瑞輝に渡した。
「あ……ありがとう。でも、梓さんも汗、酷くかいてるから……」
「そうですか? ……あ!」
瑞輝を犯人候補から除外した梓は、瑞輝の更に後ろから追いかけてくる誰かが存在することを期待するしかなかったが……現れた。それも、二人だ。
「あ、あれ……? 駿一君と冬城さん……?」
追いついた二人を見て、瑞輝が怪訝な顔つきをした。梓はそんな瑞輝の反応を、二人が普段、こういった行動をしない人なのだと分析した。
「よお瑞輝。お前も熱くなる時があるんじゃないか。少し見直したぜ」
冬城が瑞輝に微笑みかける。冬城も息が切れているが、他の三人よりも体力には余裕がありそうな呼吸の仕方をしている。
「なんか、結構な人数、集まっちゃいましたね……」
梓が苦笑する。
「何だ、お前ら空来を追いかけてたんじゃなかったのかよ?」
「俺もそう思ったが……てか、そもそも何で俺がこんなことしてんだ……」
新たに梓に追いついた二人が、思い思いの言葉を発する。
「僕も、何で急に空来さんを追いかけるのをやめたのか聞きたいです。もしかして、空来さんが犯人なんじゃないかって気がして……だから咄嗟に追いかけてきたんですけど……あ、これ、もう、汗、結構引いたから」
「あ、どうも。……でも、そう考えるのは当然ですよね、私にとっても空来羽雪さんは犯人の候補でしたから」
そう言いながら、梓は瑞輝からハンカチを受けとり、腰のポケットに入れようとした。
「……っ!」
梓は腰のポケットに完全に手を入れる前に、それをやめ、後ろへと跳び退いた。ハンカチは袴のポケットに入らず、ひらりと地面に落ちる。
梓は着地すると、もう一歩、大きく後ろへと跳躍しながら後ろに背負った弓を手に持ち、同じく後ろに背負った矢を引き抜いて、前方に構え、弓を弾き絞った。
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※2020年3月21日、カクヨム様にて連載開始。
あらすじ
2020年。世界には776冊の『異本』と呼ばれる特別な本があった。それは、読む者に作用し、在る場所に異変をもたらし、世界を揺るがすほどのものさえ存在した。
その『異本』を全て集めることを目的とする男がいた。男はその蒐集の途中、一人の少女と出会う。少女が『異本』の一冊を持っていたからだ。
だが、突然の襲撃で少女の持つ『異本』は焼失してしまう。
男は集めるべき『異本』の消失に落胆するが、失われた『異本』は少女の中に遺っていると知る。
こうして男と少女は出会い、ともに旅をすることになった。
これは、世界中を旅して、『異本』を集め、誰かへ捧げる物語だ。
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