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第八篇第四章 許されざる疑念
予想だにしない援軍
しおりを挟むエマを退けたと確信したポアラは達成感と
疲労、痛み、忘れ掛けていたマイナスの部分
が突如として身体を蝕んだ事で背中から地面
へふらりと倒れ込んで行く。
もう受け身を取る元気すら無かったポアラに
とっては背中から全身に奔るであろう痛みは
甘んじて受け入れるしか無いモノ。
そう考えて居たのだがポアラの身体は一人の
男性の腕に依って優しく抱え込まれた。
其の男性は緩りと片膝を着くと片腕でポアラ
の後頭部を支えながら心配そうに顔を覗き
込んで口を開いた。
「ポアラ…生きていてくれて良かった…!」
「シャーレっ…」
ポアラは助けに現れたシャーレの腕の中で
ふと左に目を向けると其処にはシェリーと
レザノフ、シグマの姿があった。
だが、其処にロードの姿は無い。
「…ッ!!ねぇっ…シャーレ…みんなっ!ロード…ロードはッ!?」
痛む身体を何とも思わない様な叫び声を上げ
ロードの生死を問うポアラの声に全員が俯き
気味に辛苦の表情を浮かべる。
「……見失ってしまった…」
「そ、そんな…」
絶望に暮れるポアラの前に両膝を着いて慌て
気味にシェリーが一つの釈明をする。
「はわわわわわっ…お待ちくださいっポアラ様っ…確実な安否確認ができていなくてこんな表情をしてしまいましたが…おそらくロード様は無事なんですっ!」
「えっ?えっ?…どういうことっ?なんでわかるのっ?シェリーちゃんっ…!」
「実は…私達はあの方と合流しこちらへと戻ってきたんです…!」
シェリーが目を向けた方向から緩りと歩みを
進めて来たのはポアラも知る白髪の男。
だが、何故此処に彼が居るのかポアラには
全くと言って良い程、理解は及ばなかった。
「…えっ?貴方は…森の街のピースハウスで会ったっ…」
「ええ。お久しぶりです。ポアラさん…ロード君は先程…時の街の端の下流で私の協力者が確保致しましたので…ご心配無く…」
ロードの無事を伝えたのは森の街の孤児村
ピースハウスで出逢った男、ザックだった。
ザックは自身の協力者がロードの身柄を確保
したと伝えると安堵の表情を見せたシャーレ
達に対してとある話を始める。
「……ですが、此の川の下流はもうほぼほぼ時の街では無く…火の街なんです…何の因果か火の街はロード君の産まれた故郷…彼が暮らしていた家も近い…着替えがてら其方へと向かわせてあげたいのです…」
ロードの生まれ故郷火の街メルフレア。
急流を降り下流へと辿り着いたロードは其の
街の入り口まで辿り着いていた。
エマから話されたロードに対するとある疑惑
の話からポアラ達も彼に聞きたい事が山の様
に溢れ返った此の時の街の出来事は緩りと
エンディングを迎えて行く。
ザックの協力者に救われたロードは生まれた
故郷で何を想うのか、シャーレ達はロードが
向かう故郷へ想いを馳せる。
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