RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第七篇第四章 進展と進化

両者が抱く恋心

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反乱軍からの唐突な招待状を受けたシェリー
と其れを聞いていたロードとシグマは、正直
此の流れに絶大な不安と疑念を重ねていた。

そして言葉も無く流れた其の時間を切断した
のはシグマが徐に発した言葉だった。



「……ちょ。タコ頭…ツラ貸せや…」



シグマからの誘いにロードは困惑した表情を
見せた物のいつものふざけ切った物言いとは
隔絶された雰囲気を醸し出すシグマの言葉に
拒否する選択肢は取る事は出来なかった。

ほんの少し離れた位置で背中を向けるシグマ
の元へ行くのにロードはシェリーに手を上げ
合図をしてから小走りで向かう。



「……どうかしたか?」


「単刀直入に訊くで?タコ頭…」



振り返ったシグマがロードとの距離を一気に
詰めると片手で相手の肩を掴んで口を開くと
余りにも直球な質問が投げ掛けられる。



「……お前…姫様に惚れとんのか…?」


「……っな…は、はあッ…!?」



一応は小声で言い放ったシグマだったが質問
の対象者であるロードは大きな声を上げる。



「ドアホ…声がデカいわ…姫様に聞こえたら呼び出した理由無いやろがッ…」


「…お、おう…。わりぃ…で…なんだよ…いきなり…」


「そのままの意味や…。恋の騎士ナイトなんてけったいな呼ばれ方しとったやんけ…」


「そ、それはアイツ等が勝手にだな…」


「……じゃあ違うんやな…?男やったらハッキリ言葉にするもんやぞ…!」



シグマの言葉にロードは考え事をする様に
ほんの少し黙り込むと真面目な表情を浮かべ
シグマに向かって話を切り出して行く。



「……惚れてる。最初から気にはなってたけど段々と自分の感情にも整理がついた…」


「……そうかい…。なら納得や…」



意を決したロードの言葉に何やら溜息を吐き
言葉を絞り出したシグマが俯いて見せる。



「…納得…?」


「お前とワイがなんでこないにも相性が悪いんか…っちゅうこっちゃ…」


「……まさか…オメェ…」


「せやで。ガキの頃からやから…もう十年ぐらいな片想い中や…ワイがそないな立場にあらへん事は百も承知でなあ…。せやから…姫様はワイが護るんや…姫様にとって何かしらでワイが一番でおれる様にな…」



シグマの言葉を訊いたロードは呆気に取られ
口をあんぐりと開けて驚きを隠せない。



「……なんでこないな事に…はよ気付けへんかったんやろか…どおりで心のどっかで気に入らんワケや…」


「……俺も…話してくれた今ならそう思う…」



お互いにとっての想い人であるシェリー。

シェリーがプレジアで出逢ったロードとの仲
の良さはシグマにとって嫉妬する域にあって
バルモアでの時間を踏まえて距離感の近さを
シェリーとシグマから感じていたロードにも
あった全く同じ感情。

だから、男として負けたくない。

お互いがそう最初から直感で感じていた。
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