288 / 729
第七篇第四章 進展と進化
ライバル
しおりを挟む「……せやけど、このままお互いがいがみ合っとったら姫様が疲れてしまうさかい…一つ提案があるんやが…」
「……なんだよ…?」
「……こっからはワイ等はライバルや…。表向きには出さんが…姫様からどっちがホントの意味で必要とされとるかっちゅうな…!」
「……ライバル……」
不思議とロードの表情が緩んで行く。
ロードは幼い頃に両親と別れて其処から十八
となる歳までランスと共に暮らしていた。
名乗れない名前がある様にロードは昔から
余り人との関わりを断絶する日々を送って
来た事は本人が自覚している事実。
其の中でシャーレと出逢い初めての仲間で
あり同性の友人が出来たのが最近の事。
そして、其処から直ぐにポアラという女性の
友人が出来、仲間三人で旅を始めた。
更には様々な出逢いがあった中でシェリーと
出逢い初めて恋という感情を知る事になる。
レザノフという信頼も尊敬も出来る大人との
出逢いでこんな風になりたいと憧れも抱く。
自分から繋がる事を選択してからはトントン
拍子の内に輪が広がり今となっては無かった
時の事を考えられない程へとなっていた。
そして、此処に来てライバルと呼んでくれる
新たな出逢いという贈り物が届いたのだ。
青臭い事かもしれないが男にとって其の言葉
は一言で言い表せない何かを掻き立たせる。
更に誰かには負けたくないという感情を抱く
事で人は更に一歩其の先へと歩を進めて行く
生物なのは紛れも無い事だろう。
ロードが持つ未だ語れないバックグラウンド
から察するにシグマの放つ“ライバル”という
言葉は彼にとって物凄く嬉しいモノだった。
「なに黙っとんねん…ワイがライバルじゃあ不服や言うんや無いやろな…?」
「……んな事ねぇよ…。嬉しかっただけだ…あんまり直球なんでビックリはしたがな…」
「せやろせやろ。直球なんがワイの良いとこやねんで?覚えとけや…」
「……ああ。覚えといてやる…」
すると、シグマが右拳を前に突き出す。
そして、緩りと口を開いた。
「ほんなら…改めてよろしく頼むで。ワイは負けてやったりせえへんで?そない甘くはないっちゅう事も覚えとき…“ロード”…!」
初めてシグマがロードの名前を呼んだ。
其の事にロードは何だか身震いが止まらず
緩り緩りと手のひらを握って握り拳を作る。
「…ニャロウ…言ってくれんじゃねぇか。俺だって負けねぇよ…オメェもそれは覚えとけ…シグマ…!」
二人は身体と身体の真ん中で拳同士をグッと
ぶつけ合い互いの顔を見合って笑顔を浮かべ
ると二人が放っていた気を張り合った様な
陰険なムードは綺麗に拭い去られて行った。
言葉は聞こえて来ないが何やら良いムードを
察したかの様にシェリーは少し遠目から二人
の表情を見遣ると手のひらを口に当てて幸せ
そうな笑みを浮かべていたのだった。
50
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
【R-18】クリしつけ
蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。
隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました
ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら……
という、とんでもないお話を書きました。
ぜひ読んでください。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる