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第六篇第三章 ジェノスハーバー攻防戦
蝶が舞う闘技場
しおりを挟む「か弱い女性相手に思い切り刀を振るうのは男としてどうでありんすか…?そんなに怖い顔せずよしなに…」
「…ニャロウ…ッ…そんな余裕…今は無ェよ…!」
ロードは刀から真紅の斬撃を飛ばして余裕の
消えないライアに攻撃を飛ばすが振るわれた
鉄扇から生み出された鎌鼬に渾身の斬撃は
いとも容易く掻き消されてしまう。
だが、ロードは其れに対しては動揺を見せず
地面を蹴ると真紅の炎を纏い刀を振るう。
真上から来るロードの攻撃に対しライアは
自身の身体をひらりと回転させ其の動きの儘
に下段から空中に向けて鉄扇を振るうと鎌鼬
の比ではない烈風でロードを吹き飛ばす。
背中からモロに地面に落ちたロードは痛みを
堪えながら立ち上がるとライアは微笑みを
浮かべて空に流れる空気を感じ取る。
「妾達の元に向かってくる波動の強き者を感じるでありんす…。御遊びは此れ迄じゃ…標的抹殺の遂行を最優先としようかの…」
膝で身体を支えるロードの目の前でライアの
疾風のギフトと波動の力が急激に増大を始め
闘技場に突風を巻き起こす。
「疾風覚醒…“舞踊艶蝶”…!」
覚醒したライアの額から二本の触角が現れ
背中には赤と桃の二色が混ざり合う蝶の羽が
艶やかに靡き髪に蝶々をモチーフとした
アクセサリーが煌めく様に取り付けられる。
くるぶし迄を確りと覆っていた着物の背中側
の裾が地面に多い被さる様に伸びると艶やか
な蝶々の模様が目を引く形となる。
「どいつもこいつも…息する様に覚醒して来やがって…ニャロウが…!」
対するロードは何とか立ち上がるも其の場に
流れるライアの威圧感に圧倒される心が不安
を掻き立たせるが逃げる選択肢は無い。
震える身体と零れ落ちる汗を自覚しながらも
持てる全てのチカラを握る刀に込めて行く。
熱量は更に進化の一途を辿る。
だが、ライアの余裕は未だ揺らぐ事は無い。
「妾とのチカラの差を測れぬとは…愚かな青年じゃの…眠るといいでありんす…!」
ライアの背の蝶の羽がはためくと共にロード
の視界にも赤と桃の二色の鱗粉が映る。
ライアの覚醒が生み出す鱗粉は相手の眠気を
誘う効果があり其の鱗粉を吸い込んだロード
は眠る迄は行かずとも溜め込んだチカラの
集中力に支障をきたす事となった。
「こんな時に…眠れる訳が無ェだろ…ッ!!舐めんじゃ無ェ…ッ!!!!」
ロードが下段から振り上げた刀から炎の斬撃
が地を這う様に低くライアを襲うがライアは
ふわりと羽をはためかせ宙に舞うと鉄扇を
下から緩やかに上へと振るい上げた。
其の攻撃と共にロードの足元から烈風が空に
向かって急速に巻き起こる。
「…ニャロウ…ッ…!!」
ロードの身体はポアラと同じ様に無惨にも
切り裂かれ自身の血で染まる石の地面へと
うつ伏せにゆらりと倒れて行った。
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