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第五編第二章 立ち上がる若き新芽
勇気を以て開く道
しおりを挟む「なあ、ロード君」
「何だよ…また訳わかんねぇ煽りで混乱させようってか?」
「違う違う…ロード君は“覚醒”ってギフトのステージを目の当たりにしたんだよな」
ふとしたU・Jの問い掛けにロードは砂の街
コルドデザートにあるセバラ砂漠を進んだ先
に辿り着いたマムナック遺跡での出来事を頭
の中でなぞる様に思い返して居た。
裏帝軍のスネイクとランスとの激突。
覚醒というステージに進んだ二人が放った
息も上手く出来ない程の重くのしかかって
来る様な異様な威圧感は忘れる事は無い。
「覚醒のステージに足を踏み入れたヤツとそうでないヤツが戦って…そうでないヤツが単体で勝つ確率はほぼほぼ、ゼロだ」
U・Jの言葉は三人に現実を思い知らせる。
三人のギフトのチカラを結集しても一撃すら
与えられないU・Jが其処に至っている確率
は非常に高く、冗談ではなく勝つ事は無い。
其れを身体と頭が段々と理解をしてしまう。
「覚醒というステージは其れ程迄に桁違いの強さがあると言う事か…」
「一歩ずつ進んで来たけどまた壁に当たっちゃうのか…アタシ達もそこに至れるのかな?」
シャーレとポアラは不安な思いを吐露する。
「……めんどくせぇ事だが…鍛錬を積み上げる事でしか其処には行けねぇんだ…だが。覚えとけ覚醒ってステージに達してる人間達とお前等は出逢い、やり合って来た…。ソイツ等とお前等の差は経験だけだぞ」
茶化す様に水を差してばっかりの発言だった
U・Jの言葉にしては慰め、諭す様にも聞く
事の出来る言葉にシャーレとポアラは笑顔と
鍛錬に臨むヤル気を取り戻して行く。
だが、ロードだけは違った。
ロードの表情は既に希望に満ち溢れたまま
不安を映し出す様な素振りは見せなかった。
「めんどくせぇだろうに、良く喋るじゃねぇか。U・J…とどのつまりよ、もっと強くなれば解決する話だよな、ソレ…!」
ロードの表情には笑顔が浮かべられる。
「…どんな痛み、悲しみ…絶望が行く手を阻もうとしやがっても…持ち前の勇気のチカラで真っ直ぐ進む…道は必ずこの自分で開くんだって…覚悟決めてんだ俺は…!」
「…なんににも縛られないのがお前の強さってワケだ…そりゃそんなのと居たらお前等も妙にヤル気が湧いてくるって訳だな…」
「ええ。多少は困難に打ち当たるだろうとは思って居たが、予想の遥か上を行く。だがどうにも手を引ける様な雰囲気は無いのさ」
「うん…。反乱軍に革命軍の争いに首を突っ込もうなんて正気の沙汰じゃ無いけど…。そのロードの真っ直ぐさにアタシも成長させて貰ってるの」
ロードが口にした覚悟はシャーレと
ポアラに図らずも伝播して行く事となる。
言葉に乗せられる覚悟の力は、誰しもが手に
入れられる物では無いが、ロードには其の
言葉で周りを惹きつける力さえも備わる。
U・Jは何かを思案する様に天を仰いだ。
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