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第二編第一章 辻斬り事件
光の街 セイントピア
しおりを挟むサバネの予想より二日の山道の旅を終えて
ロード達は光の街セイントピアの入り口へ
辿り着くと、其処には豊かな田畑が広々と
三人の視界に映り込んで来た。
農業が盛んな街として有名で此処で採れる
野菜や果物はプレジアの中で愛されている。
「着いたッ!」
「なんか暖かいね、ここ。あたし眠くなってきそう」
「天候も晴れやか、長閑な風景にピッタリだね」
「そんな事より飯屋だ。腹減った」
ロードの腹の音を号令の様に田畑の道を
進んで行くと木製の看板を発見する。
走って看板の文字を読みこんだロードが
二人に手を振って合図する。
どうやらお目当ての飯屋を発見した様だ。
三人が踏み込んだその飯屋は多少
ボロい見た目の店内だったが店主に
通されたテーブルに座った三人は
腹の減り的にそんな事は何一つ口にしない。
運ばれてきた料理をガツガツと平らげて
行く三人の他に店内には黒い外套を着た
男が一人カウンターに座っている。
店主は厨房に置いた椅子に腰掛けて
新聞を読み漁っている。
するとその後から一人の口髭の老人が
店へとやってくるなりカウンターに座る。
「親父さん、どうも。いつものね」
「あいよ」
鍋に手を掛けた店主に口髭の老人が
そういえば、と言った風に続ける。
「親父さん、聞いたかい?本町の方でまた、被害者だとよ」
「ああ、例の辻斬りの。物騒なもんだ、本当よ」
「また殺されたのは反政府の人間だって話じゃねぇか」
「五人も消しといて、捕まらないんだ。相当な手練れなんだろ」
昨今、光の街セイントピアのニュース
と言えば、此の辻斬り事件らしい。
反政府を謳う人間が既に五人、闇世の中
人知れず消されており、犯人はまだ
逃走中だと連日此の話題で持ち切り。
ロード達も此の事件を二人の会話から
耳にすると、ポアラが身体を身震いさせる。
「本当、物騒ね」
「まあ相手は反政府らしい。私達には関係ないよ」
「そうだな。つか腹一杯だ、美味かったなあ」
満腹となったロード達は、最後の茶を啜り
店主に声を掛けると店を後にする。
すると、先へ進もうとしたロードとポアラを
シャーレが無言で静止するとシャーレは
二人を連れて看板横に身を隠す。
「いきなり何だ、シャーレ」
「ちょ、やめてよ。スケベ」
訳のわからない二人は、シャーレに
問いただすが、シャーレは口に指を当てて
静かに、と合図する。
すると、店から一人の男が出て来る。
カウンターに座っていた黒い外套の男だ。
其の外套の男は道に出ると何やら左右を
キョロキョロと見渡している。
其れを見たシャーレが其の外套の男の
前に姿を見せて口を開く。
「店内ではどうも。何やらチラチラと此方へ視線を向けていた様だが、私達に何か用か?」
「え、視線なんて感じた?」
「てか、アイツ誰だ?」
視線を感じ取らなかったポアラに
そもそも外套の男にすら気付いていない
ロードの言葉にシャーレは少し呆れていた。
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