RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第二編第一章 辻斬り事件

不気味さ漂う外套の男

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シャーレの言葉にロードとポアラも
其の外套の男の不審さに気がつく。

此の暖かな陽射しの中で如何にも暑そうな
外套を纏っており、口元以外が見えない。

しかも其の外套の男からはどうしても
嫌な不気味さを感じてしまう。



「さあ、答えてくれ。何故私達を見ていた?」



間合いを保ったままシャーレが外套の男に
声を飛ばして問い掛ける。



「フフフ…一つ間違いがある…」


「間違い…って?」



静かに発せられた外套の男の冷笑混じりの
声に、ポアラが背筋を凍らせながら問う。



「私が見ていたのは…君達じゃあない。其処の…フフフ…赤髪の君だよ…」


「俺、だと?どういう意味だ」


「其の儘の意味さ。…辻斬り事件もまた君が来た事で進展を迎える…」



外套の男の話からは話の本質が全く
見えて来ない為、三人は言葉に詰まる。

其の外套の男が放つ不審さ、不気味な
威圧感を感じる三人には息すら
詰まりそうな重苦しい雰囲気である。



「わ、訳がわからねぇ。ニャロウ…しっかり説明しやがれ!」



言葉を振り絞ったロードに対して
外套の男はまた冷たく冷笑を浮かべる。



「荒れそうだ…フフフ…私はこれで失礼させて頂く…」



外套の男がそう言い終えた途端に
一陣の風が突風となって吹き荒ぶ。

其の風に因って外套が捲れ上がり
不気味さ漂う其の男の姿を三人は
其の目で確認する。

腰に据えられた一本の刀。

細く蛇の様に不気味な眼。

青藍色ともいう青基調の団服に
黒の細いパンツスーツ。

そして何より目立つのは毛先が
ロードと同じ赤色である事。

其の外套の男を外套を正すとロード達に
緩りと背を向けて、其の場を離れる。



「待て!何の説明にもなってねぇぞ…ニャロウがッ!」



ロードの言葉は届かず、外套の男は
一気に地面を蹴って姿を消した。



「な、なんだったの?あの人…」


「ええ。とてつもない不気味な雰囲気だった…まるで。喉元に刃でも突き立てられているかの様な…」


「…ああ。でも意味がわからねぇ。俺が来たから荒れるって何だよ…辻斬りなんかしてねーぞ…俺は」



ロード達も息を整える様に、光の街の
本町へと向かうべく、歩を進める。

其の三人の背中を眺める一人の男。

其れはロード達が立ち寄った店主であった。

店主は表の声にでも反応して出てきた
様だったが、今になって何度も手に持った
新聞記事を目を丸くして覗き込む。

すると、慌てた様に店内へ駆け込んで
電話に手を掛けるのだった。



一方、ロード達は謎の外套の男、そして
光の街セイントピアで巻き起こる目下の
大事件、辻斬り事件について思案する。

外套の男の発言の真意。

それが解らず三人はモヤモヤした
頭の中を整理出来ぬまま、本町へと
足を踏み入れるのだった。
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