RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第一篇第二章 拳術道場の女

不穏な来訪者

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手合わせを終えたロードとポアラは
シャーレの元に緩りと歩み寄る。

其処でポアラがきょろきょろと周りを
確認する様に首を動かす。



「あれ?マーシャルさんは?」


「其れが焦った様子で道場の入り口の門に走って行ったのだ」



シャーレの説明を受けて、何やら
ポアラも血相を変えて其処に走り出す。



「ってオイ!ポアラ」


「何事だ?追ってみようロード」



二人は視線を合わせて示し合わせると
ポアラの後を走って追う事にした。

すると、二人の視線の先でポアラは
入り口の門を除く様に物陰に隠れていた。



「何やってんだよポアラ」


「しっ!静かにしてあたしの後ろに隠れてッ」



ポアラに小声で諌められ、意味も解らず
二人はポアラの背に隠れて門に目を向ける。
其処にはマーシャルの他にゼブラ柄の
コートを羽織った吊り目の男が居た。



「誰だ?アイツ」


「友達には見えないな」


「バカ言わないでよ。アイツはガスリーって言って、此処らへんの土地の利権書目当てに市民を脅してるチンピラよ」


「救えねぇ野郎ってのは解った」



ポアラの話を聞いて、ロードが
眉間に皺を寄せて物陰から其の男を睨む。



「このカントの町長と宜しくやってんのか、アイツはどんどん幅を利かせる様になってて、ここ最近良く道場にも顔出してる」


「長屋町でもそうだったが。自分の事しか考えて居ない奴が多いな」



シャーレも溜息を吐きながら、マーシャルの
前に立つガスリーに視線を向ける。



「だからよ、マーシャルさん。皆此の町のルールに則って商売してんだ…ルールぐらい守りましょうや?良い大人なんだから」


「脅し、恫喝、人質。本当に此れ等が町長の決めたルールに許されている事なのか?ガスリー」


「わたわた五月蝿ェんだテメェは。人が静かに訊いててやりゃ調子扱きやがって。はん…楽しいか?マーシャルさん。戦争孤児みてェなガキを囲って生活支援したりしながら、偽善者ぶるのはよう?」


「偽善では無い。俺が唯望んだ事をしている迄だ」



呆れた様に顔を手のひらで覆って
見上げる様にして声を出して笑った
ガスリーは馬鹿にした様な面で舌を出す。



「何処までも、頭の中がお花畑なこって。もっと痛い目に合いたいと捉えるぞ?マーシャル…」



ガスリーの放った言葉に拳を握り締めた
ポアラが唇を噛みながら飛び出す。

二人の静止も止める事は叶わず
其れに気付いたマーシャルも止めようと
両手を広げるが、ポアラは一気に跳躍して
マーシャルをも飛び越えた。



「……は?」



怒りの表情のまま空中を駆けたポアラが
ガスリーの真上に達すると右腕を引く。

其れに気付いたガスリーだったが
咄嗟の事で動けないまま刻一刻と迫る
ポアラを口を開けて見つめるしか無かった。



「これ以上、あたしの恩人に手ぇ出すなァァ!!!!」



ポアラの怒りの一撃がガスリーの顔面に
綺麗にヒットした。
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