RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第一篇第二章 拳術道場の女

再度拳術道場へ

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「どおりで…。手合わせの時からニヤニヤしながらブツブツ何か言ってると思ってたわ…」



鼻血を止めて席に戻ってきたシャーレを
前にしてポアラが呆れた様に話す。



「済まぬ。どうにも想いが留まるところを知らなくてな」


「それだけ開き直れりゃ、ある意味才能だな」



真顔を貫き通すシャーレの言葉に
ロードは感心すら覚え始めて居た。



「まあ、でもよ。女に攻撃出来ないシャーレじゃ手合わせになんねぇからよ。明日は俺と勝負な?ポアラ」


「あー…攻めて来なかったのはそれが理由か。オッケ、ちゃんと身体治しておいでよ?」



ロードはポアラとハイタッチをすると
団子屋を後にし、市場町の中へと入り
宿屋で一晩を越す事に。

急ぐ旅でも無いと言うロードと、ポアラに
また会えると喜ぶシャーレの二人では
此の決定は決まって居た事だろう。

そして緩りと暖かい布団で一晩を越す二人。




ーーー新しい朝を迎える。



「よっしゃ!ポアラのやつ、ぶっ飛ばしてやるぞッ!」


「ポアラさんに怪我をさせたら私が君をぶっ飛ばすぞ、ロード」


「ししし、手合わせレベルだよ。意気込みだ、今のはただの」



笑顔を見せながら二人は、また時を見て
マーシャルの拳術道場に顔を出す。

今日も相変わらず門下生達が稽古に
精を出していた。



「おお、来たな。二人とも、今日はロード君がポアラの相手らしいね。ポアラも気合十分だよ?」



マーシャルに出迎えられた二人は
マーシャルが視線を送った先で人一倍の
熱気で稽古に打ち込むポアラを見つける。



「やはり、素敵だ…。ポアラさん」


「ポアラ!来たぜ?」


「…待ってたよ。ロード」



昨日とは逆で縁側に座り込むシャーレの
目の前で準備運動を始めるロード。

そして、庭の中央に進んだ先で二人は
膝を突き合わせて対面する。



「其れでは、いざ尋常に。始めッッッ!!」



マーシャルの合図と同時にお互い一気に
前に出た二人は、激しくぶつかり合う。

ポアラの掌底を片手で弾いたロードは
胸元の胴着を掴むと投げの体勢に入る。

だが、投げられたポアラは身軽に空中で
体勢を立て直し、着地と同時に地面を蹴る。

正面から掌底を食らわせると思い込ませ
直前で足で身体の勢いを止めると横に
スウェイした上での回し蹴りを放つ。



「残念。ポアラ」



「ダメかッ…」



其れを読みきって躱したロードは身体を
回転させ、ポアラの顔面スレスレに裏拳を
放つも、ギリギリの所で止める。



「一本、でいいな?」



ロードの言葉にマーシャルが一本を宣言。

数秒に何度のフェイクと攻撃が詰めて
あっただろうかと言うほど、ポアラの
攻撃の回数は多かった。

だが全て読み切ったロードを見て
シャーレが口を開く。



「刀は使わなくとも体術だけでも此のレベル。やはり、やるな君は」


「完全にあたしの負けだ。強いね、ロード」


「いや、良い攻めだったぜ。ギリギリなやつも結構あったしよ」



二人は握手をしながら、声を交わした。

其のタイミングで、マーシャルは何故か
張り詰めた表情で玄関口の方へ走って
向かうのをシャーレだけが確認していた。
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