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第一章[ミリゴ編]
セリヤ家の朝
しおりを挟む大蛇を倒した次の日、俺は相変わらずセリヤの家にお世話になっていた。
セリヤは当たり前の様に接してくれてるからこれはもう家族的な感じなのか?
「はぁ」
ため息を吐くと同時に自分の頬が熱くなるのを感じる。
セリヤは俺の事、異性として見てないんだろうな。
もちろん、家族の様に接してくれるのは嬉しい。それでもセリヤは女の子で俺は男だ。
いくら俺がブサイクでも、異性として見てもらいたい。
この気持ちは男なら分かってくれると思う。……って少々話がそれたな。
よし、俺のこの恋かもよく分からないモヤモヤした気持ちは一旦置いておくとして、早速今の状況を話していこうと思う。
先程俺はセリヤの家に居ると言ったが、正確にはリビングにある椅子に座っている。
この前、セリヤと冒険者になった理由を話した時に座っていた椅子と同じ椅子だ。
こうして見ると、片付いているな。
俺は自分以外誰も居ないリビングを見渡してそう思う。
ちなみにセリヤは今朝ごはんを買いに行っている為、この家にはおれ一人だ。
暇だな……一人というのはこんなにもやる事が無い物なのか?
異世界転生したばかりの頃は住む宿とゴールドの事ばかり考えてたもんだから暇なんて考え出て来なかったが、こうやって仲間が出来て、住む家も有る。
要するに生活に余裕が出来ると自然と暇だなんて考えが出てくるもんなのだろうか。
数日前の俺では想像も出来なかっただろうな...…数日後には女の子の家で呑気に「暇だなぁ~」なんて思ってるとは。
俺も贅沢な考えをする様になったもんだぜ。
……でも暇なもんは暇だ。
「やる事も無いし、探検でもするか。」
そう呟いて俺は深々と腰掛けていた椅子から立つ。
暇つぶしにこの家、セリヤ宅の探検をする事にした。
とはいえ普通な家だなこりゃ。
いや、別に悪いって訳じゃないんだがな?
俺はポリポリと頭を搔く。
すると、不意にカーペットの下からチラッと出ている一枚の布が目に入った。
「アレって、まさか……」
俺は急いでカーペットの目の前に移動する。
そして勢い良く布を引き抜いた!
するとなんとその布は.……
「パンツじゃねぇか!!」
セリヤの下着だったのだ。
なんでこんなものがこんな所に……!
俺はこの瞬間、あまりの興奮で正常な思考がショートしてしまった。
……こんな機会そうそうないしな。べ、別にちょっと位なら良いよな!
パンツを自分の頭上に持って行く俺、そして……
「ヘンシーンッッッ!!!」
勢い良く頭にパンツを被ろうとした……瞬間――
「ただいま~」
パンツの持ち主が帰ってきた。
「あびゃぶぅ!?!?」
最悪なタイミングで帰宅してきたセリヤに俺はそんな素っ頓狂な声を上げる。
「え?どうしたの?」
セリヤはいきなり大声を出した俺にそう引き気味に聞いてくる。よし、何とかパンツは見られなかったか……
「あ、あぁ。なんでもない、おかえり。」
俺は冷や汗でダラダラな顔を無理やり笑顔にして、セリヤにそう言う。
本当に危なかったぜ今のは。
「え、えぇ。」
俺の必死な笑顔が効いたのか、セリヤもそれ以上この件について問い詰めてくることは無かった。
何とか緊急事態を回避した俺は、頬をつたって流れて来ていた冷や汗を拭い、先程まで座っていた椅子に座る。ちなみにパンツはというと、ズボンのポケットの奥の方にねじ込んだから、おそらくバレる事は無いだろう。
俺はパンツの入った方のポケットを上から優しくさする。
正直、なんでこんな気持ち悪い事をしてるのか、自分でも分からなかった。
すると、突然、
「ねぇ、テツヤ」
セリヤから声が掛かった。
「な、なんだ?」
急に喋り掛けられたもんだからパンツの事がバレたのかと焦ったが、そうでは無いらしい。
セリヤは今買って来たものが入っている袋から次々と食べ物を出していく。そして、全部出し切った所で、
「じゃ~ん!」
子供が一人で作った物を親に見せびらかす時の様に、大量のパンを見せてきた。
めっちゃ買ってきてるじゃねぇか!
これ軽く十個以上はあるな...
「今日はパンが安かったからいっぱい買っちゃったわ!」
笑顔でそう言うセリヤ。
いやいや、「買っちゃったわ!」なんてレベルじゃねぇだろこれ。
「どんだけ買ってんだよ、安いっからっつっても流石にやり過ぎだぞ」
俺は引き気味にセリヤにそう言う。
だってまじで十個以上あるんだぜ?お前らに見せてやりたいよ。
しかし、対してセリヤは、
「確かに買いすぎちゃったかしらね...でもまぁ、美味しいから良いじゃない?」
ニコッと笑いそう言う。
「そ、それもそうだな!」
まぁ俺も俺でコイツに可愛らしくニコッとされるとなんでも水に流しちまうんだがな。
俺は苦笑いで山積みになったパン達を見る。
今日もセリヤ宅は平和だった。
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