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第二幕 ー呪怨の首飾りー
十五、修羅場
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どのくらい眠っていたのか、千珠はふと、のしかかる重みに目を覚ました。
「あら、起こしてしまいましたか、千珠さま」
布団の中に女が入り込んで、千珠にのしかかっているのだ。見れば城で働く女中の一人で、中でも特に積極的な女である。
歳は千珠と変わらず、えらく勝ち気なまん丸い目をした女で、何度か千珠に食事を持ってくるという口実を使っては、関係を持ったことのある女だった。
「千珠さま、ここの所まるで構ってくださらなくて、わたくし寂しうございました。どうか抱いてくださいませ」
「え? 何だよこんな朝っぱらから……」
千珠の苦言を無視して、女は襟を開いて袖を抜き、豊満な乳房を千珠に見せつけた。千珠の手を取ると、自ら胸を触らせる。
ずっしりと弾力のある乳房を見ても、今の千珠は何も感じなかった。
「やめろって……さっきやったばかりなんだ、そんな気分になれない」
女は少し傷ついたような表情を浮かべ、千珠の上で息を呑んだ。
「何ですって、誰です? どこの誰とですか?!」
相手は舜海であるなどと、女相手に言えるわけがない。
「お前には関係ないだろう……いいから寝かせてくれ」
「やっぱり他にも千珠さまを狙っている者がいるのですね!」
「そんなこと、最初から気にしないって言ってたじゃないか。今さら喚くなよ」
女は憤りに顔を赤くして、千珠の腹の上に居座っている。そこへ、なんの前触れもなく襖が開いた。
「おい、いつまで寝て……!」
忍装束の留衣が立っていた。
布団の上で裸の女に乗られている千珠を見て、留衣の表情が硬直する。
「る、留衣様! 失礼致しました!」
女は城主の妹が現れたことに驚き、豊満な胸を隠しながら慌てて去っていった。後に残された千珠と留衣は、気まずい雰囲気の中、しばし目を合わせる。
「……邪魔したな」
「おい、待て、違う!」
固まった表情のまま襖を閉めようとした留衣を、千珠は慌てて呼び止めた。留衣は恐ろしい形相で千珠を見下ろすと、「別にお前の色恋沙汰に首を突っ込む気はない」と、低い声で吐き捨てる。
「いや、朝の仕事の後ひと眠りしてたら、夜這われただけだ。何もしていない」
「別に私には関係ないと言っているだろうが!」
「いやだって、怒ってるじゃないか」
「怒ってなどいない!」
「怒ってるだろ!」
「この非常時に何をやってるんだと言っているだけだ!」
「すまん。……というか、俺は何もしていない」
「もういい! いいから早く紗代様んとこへ来い!」
「……分かった」
留衣がどすどすと足音も勇ましく行ってしまうと、柊が現れた。留衣の後ろに控えていたらしい。
柊はくすくすと笑いながら「突然開けてしまってすみませぬなあ」と、まるですまなそうではないにやけ顔でそう言った。
「お前もいたのか」
千珠は、面倒くさそう柊を見上げる。
「千珠さまともあろうお方が、あのように狼狽えるとは」
「放っておけ。で、何か動きがあったのか?」
「暴れているのです、舜海が抑えているのですが」
「早くそれを言えよ!」
千珠は大急ぎで布団から飛び出すと、寝所の方へ駆け出した。
「あら、起こしてしまいましたか、千珠さま」
布団の中に女が入り込んで、千珠にのしかかっているのだ。見れば城で働く女中の一人で、中でも特に積極的な女である。
歳は千珠と変わらず、えらく勝ち気なまん丸い目をした女で、何度か千珠に食事を持ってくるという口実を使っては、関係を持ったことのある女だった。
「千珠さま、ここの所まるで構ってくださらなくて、わたくし寂しうございました。どうか抱いてくださいませ」
「え? 何だよこんな朝っぱらから……」
千珠の苦言を無視して、女は襟を開いて袖を抜き、豊満な乳房を千珠に見せつけた。千珠の手を取ると、自ら胸を触らせる。
ずっしりと弾力のある乳房を見ても、今の千珠は何も感じなかった。
「やめろって……さっきやったばかりなんだ、そんな気分になれない」
女は少し傷ついたような表情を浮かべ、千珠の上で息を呑んだ。
「何ですって、誰です? どこの誰とですか?!」
相手は舜海であるなどと、女相手に言えるわけがない。
「お前には関係ないだろう……いいから寝かせてくれ」
「やっぱり他にも千珠さまを狙っている者がいるのですね!」
「そんなこと、最初から気にしないって言ってたじゃないか。今さら喚くなよ」
女は憤りに顔を赤くして、千珠の腹の上に居座っている。そこへ、なんの前触れもなく襖が開いた。
「おい、いつまで寝て……!」
忍装束の留衣が立っていた。
布団の上で裸の女に乗られている千珠を見て、留衣の表情が硬直する。
「る、留衣様! 失礼致しました!」
女は城主の妹が現れたことに驚き、豊満な胸を隠しながら慌てて去っていった。後に残された千珠と留衣は、気まずい雰囲気の中、しばし目を合わせる。
「……邪魔したな」
「おい、待て、違う!」
固まった表情のまま襖を閉めようとした留衣を、千珠は慌てて呼び止めた。留衣は恐ろしい形相で千珠を見下ろすと、「別にお前の色恋沙汰に首を突っ込む気はない」と、低い声で吐き捨てる。
「いや、朝の仕事の後ひと眠りしてたら、夜這われただけだ。何もしていない」
「別に私には関係ないと言っているだろうが!」
「いやだって、怒ってるじゃないか」
「怒ってなどいない!」
「怒ってるだろ!」
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「お前もいたのか」
千珠は、面倒くさそう柊を見上げる。
「千珠さまともあろうお方が、あのように狼狽えるとは」
「放っておけ。で、何か動きがあったのか?」
「暴れているのです、舜海が抑えているのですが」
「早くそれを言えよ!」
千珠は大急ぎで布団から飛び出すと、寝所の方へ駆け出した。
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