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第三二四話 シャルロッタ 一六歳 欲する者 〇四
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「……それでは王都の防衛部隊は第二王子派の軍を招き入れると?」
「はい、まあ……実際に第一王子派の貴族も終戦状態ですしね」
第二王子クリストフェル・マルムスティーンの前に膝をついているのは王都冒険者組合ギルドマスターであるアイリーン・セパルトゥラである。
彼女は地下水路から脱出したのちエルネット達に付き添われ、直接王都郊外に陣取る第二王子派の軍勢へと面会のため赴いていた。
冒険者としてもギルドマスターとしても高名なアイリーンの名前と顔はイングウェイ王国でもよく知られており、美しさも兼ね備えた彼女の姿を見た兵士たちは憧れに近いものを浮かべている。
「……終戦状態か……兄上、いや国王代理はどうしてる?」
「わかりません、というのも戦場から戻ってこられてからは王城に篭られている模様です」
「……そうですか……」
クリストフェルは少し悲しげな表情を浮かべてほんの少し遠くを見つめる……アイリーンはその顔を見ながら、兄弟でも本当に似てない部分が多いなと改めて思った。
彼らの幼少期はそれでもどことなく似た部分が多かった、と記憶しているが成長するに従ってクリストフェルは王妃に近い外見になっていったように思える。
アンダースの方が偉丈夫であり、英雄らしさを兼ね備えていたのとは対照的にクリストフェルは優しさを感じさせる甘い外見へと成長したのだ。
兄弟どちらが王に相応しかっただろうか? アンダースにも優秀な補佐がいれば十分にこの王国を統べることは可能だったろう。
だが運命とは皮肉なもので、その王位は今アンダースの手から滑り落ち、クリストフェルの手に堕ちようとしている。
「シャルは……」
「は?」
「シャルは無事でしょうか?」
唐突な質問にアイリーンはぽかんとした表情で目の前の王子を見つめる……シャルロッタ・インテリペリという少女、そして辺境の翡翠姫の名に相応しい美しい淑女。
彼女の底知れぬ実力と強さはすでに多くの人間に知れ渡っている……実際にアイリーンも目にして彼女自身が英雄の素質を持っていることを理解している。
彼女であれば悪名たかき星幽迷宮すらも一人でどうにかする、という気がするのだが、クリストフェルからすれば彼女は婚約者であり、一人の女性でしかないのだろう。
そんな考えにいたりアイリーンは思わず顔を綻ばせて微笑むと、心配そうな表情を浮かべるクリストフェルへと答えた。
「彼女であれば無事でしょう、あれほどの能力を持つ英雄は近年珍しいくらいです」
「……そうですか……」
「ただ、彼女にはしっかりとした伴侶が必要ですね……目の前にいるのがそうだと私も安心しますが」
アイリーンの言葉に少し目を見開いた後にクリストフェルは恥ずかしそうに頭を掻くと、苦笑しながら「勘弁してくださいよ」と彼女に対して答えた。
それでも婚約者を一人だけで危険な場所へと向かわせたことに彼自身が罪の意識を感じているのか、それとも単なる心配性なのか、それはアイリーンには理解が難しい。
だが、アイリーンはそれはさておき、と前置きを述べた後にクリストフェルへと要件を伝えることにした。
「……彼女が危険を引きつけている間に、王城を攻略しましょう」
「……お、王城を?」
「はい、おそらく敵側の最高戦力は辺境の翡翠姫を引き付けるために星幽迷宮を使っていると思われます」
「……つまり今なら王城を攻め落とせると?」
「攻め落とすというよりは、無血開城を目指すですかね、第一王子派の抵抗はほぼないと思われますし」
アイリーンの提案にクリストフェルは少し悩む……確かにシャルは第二王子派の最高戦力であり、彼女以上の戦闘能力を持つものはこの陣営にはいない。
クリストフェルとエルネットがそれに続くだろうか……確かにそれを考えると今の第二王子派に彼らを止められるものは存在しないと考えられる。
確かにそれであれば……国王代理であるアンダースを止め内乱に終結をもたらすことが可能かも知れない……そうすれば星幽迷宮から戻ってきたシャルロッタにこれ以上の無理を強いることも無くなるだろう。
その様子を見ていたエルネットがアイリーンの提案を聞いて少し考えた後、クリストフェルへと話しかけた。
「殿下……確かに提案としては魅力的なのですが……我々が見たもう一人の訓戒者が姿を現しておりません」
「……もう一人?」
「闇征く者という黒ずくめの人物です、以前シャルロッタ様と邂逅した……あれ以来全く姿を見せておりませんので、すでにシャルロッタ様が倒した可能性もありますが」
エルネット達が闇征く者を見たのは一度きり……暴力の悪魔との戦いの最後に一度だけ姿を現している。
あの時よりも「赤竜の息吹」は成長しているとはいえ、もう一度彼と出会った際に勝てるだろうか? という疑問は湧くのだ。
人智を超えた存在……その秘められた能力は理解し難い、シャルロッタ・インテリペリという少女がそうやって牙を研いでいたことを考えると、こちらの予想をはるかに超えてくるのは間違い無いだろう。
「……それでも今まで姿を見せていないのだろう?」
「はい、とはいえ王城に潜んでいる可能性はゼロではありません」
「……冒険者組合と私も攻撃に参加しよう、それで足りるのではないか?」
アイリーンがこれだけ攻撃を勧めるのには理由がある……すでに王都の民は疲弊しており、冒険者組合と聖教が主導して彼らの救済を始めている。
冒険者達は善意だけでなく、報酬を目当てに協力をしている関係もあり、そう長く冒険者組合が資金を提供することは難しいという内情も含まれている。
聖教も思うところはあるだろうが、弱者救済の名目上今の所は協力をするという緩い協力関係の上に成り立っているのだ。
第二王子派が王城を攻略し、国王代理を捕えるなりしなければ各地に逃げ帰った第一王子派貴族達の再起を決意させてしまう可能性があり、その時には聖教も協力関係をかなぐり捨てて敵対する方向に回るかも知れない。
それを防ぐためにも一秒でも素早く王城を攻略し、クリストフェルが名実ともに王都の支配者となることを喧伝しなければいけないのだ。
「……しかし……」
「殿下……殿下の思うことは理解しますが、今は一秒でも早く貴方の勝利を王国内に喧伝しなければ、内乱は長引きますよ」
「ギルドマスター……! だが危険は……」
「エルネット、私はお前に話をしていない、殿下と話をしているのだ」
「……く……わかりました……」
エルネットは悔しそうな表情を浮かべると、黙ってギルドマスターに従うと秤りに頭を下げて一歩後ろへと下がった。
アイリーンの話は本音を元にしている……ただ冒険者組合側の内情を伝えていないだけだ。
エルネット自身もアイリーンには多大な恩義を感じている……百戦錬磨の戦士である彼女も同行するのであれば、危険を退けることは可能だろう。
二人のやりとりを見てクリストフェルは少し悩んだ後、一人の少女のことを思い浮かべる。
美しい婚約者、銀色の髪と緑色の瞳を持つ辺境の翡翠姫、その彼女が無事に戻ってきた際に「もう戦わなくていい」と伝えられたらそれはそれで良いことなのだろう、と強く思った。
危険は承知の上だが……もしシャルロッタとともに玉座の間へと向かった際にアンダース、兄が襲いかかってきた時に、彼女が兄を殺めることがあれば……自分の手でそれを行わなかったことを一生後悔するだろう。
兄を捕らえて全てに決着をつけて、シャルロッタ・インテリペリを迎え入れる……その道筋が最も正しいだろうと考えた。
「わかった……軍を進めよう、王城の占拠に僕も出る」
「……承知、殿下急かすようで申し訳ありません」
「殿下、俺たち「赤竜の息吹」が護衛を務めます」
「ありがとうエルネット卿、君がいれば安心だよ……出るぞッ!」
「「「おおおおっ!!!!」」」
クリストフェルは優しく笑うと、侍従や将軍達に号令をかけ始めた。
その声に呼応するように第二王子派の軍勢が慌ただしく動き始める……イングウェイ王国始まって以来、王都への攻撃が今まさに始まろうとしている。
目標は王城、国王代理を僭称するアンダース・マルムスティーンとその取り巻き、そしておそらく彼を守ろうとするであろう混沌の眷属や魔物達。
すでに王都の一部に出現していた魔物達の報告は彼らの耳にも入っている……それら全てを打ち倒して、イングウェイ王国の歴史に新たなページを刻むのだ。
「……待っててシャル……君が帰ってきた時に、僕は玉座で君を迎えることにするよ」
——人の気配がしない玉座の間……灯りが落とされて、薄暗く不気味な雰囲気を漂わせるその場所に一人の男が立っている。
「……クハ……そうかそうか、第二王子が攻撃を決意……どうやらお主を捕らえに来るらしいぞ、国王代理……」
鳥を模した仮面の奥に怪しく光る赤い目、大柄な体を黒い衣服に押し込めたその男は混沌神の愛する眷属である訓戒者を束ねていた闇征く者その人である。
王都の外に立ち上る気炎を感じ取った彼は、クスクスと仮面の下で笑いながら考える……どういう出迎えがお気に召すであろうか?
欲する者との戦いで万が一シャルロッタ・インテリペリが勝利したとしても、ここへ来るまでには少し時間がかかるだろう。
その間に勇者の器、いやすでにこの世界の勇者たるクリストフェル・マルムスティーンがこちらへとやってくるのだ……歓迎をせねばなるまいな、と彼は考えている。
悪魔の配置は終わっている……あとは驚きが必要だろう……せっかく希望と期待と、そして大いなる夢を持って勇者がここへとくるのだ。
自らが歓迎のために出なければいけないだろう……闇征く者はそう考えると、ゆっくりと玉座の間を出ていく。
「……さあ楽しい楽しい戦いと、虐殺の時間だ……勇者を狩れれば満点、狩れなくても片腕をもげば合格点……クハ、クハハハハッ!」
「はい、まあ……実際に第一王子派の貴族も終戦状態ですしね」
第二王子クリストフェル・マルムスティーンの前に膝をついているのは王都冒険者組合ギルドマスターであるアイリーン・セパルトゥラである。
彼女は地下水路から脱出したのちエルネット達に付き添われ、直接王都郊外に陣取る第二王子派の軍勢へと面会のため赴いていた。
冒険者としてもギルドマスターとしても高名なアイリーンの名前と顔はイングウェイ王国でもよく知られており、美しさも兼ね備えた彼女の姿を見た兵士たちは憧れに近いものを浮かべている。
「……終戦状態か……兄上、いや国王代理はどうしてる?」
「わかりません、というのも戦場から戻ってこられてからは王城に篭られている模様です」
「……そうですか……」
クリストフェルは少し悲しげな表情を浮かべてほんの少し遠くを見つめる……アイリーンはその顔を見ながら、兄弟でも本当に似てない部分が多いなと改めて思った。
彼らの幼少期はそれでもどことなく似た部分が多かった、と記憶しているが成長するに従ってクリストフェルは王妃に近い外見になっていったように思える。
アンダースの方が偉丈夫であり、英雄らしさを兼ね備えていたのとは対照的にクリストフェルは優しさを感じさせる甘い外見へと成長したのだ。
兄弟どちらが王に相応しかっただろうか? アンダースにも優秀な補佐がいれば十分にこの王国を統べることは可能だったろう。
だが運命とは皮肉なもので、その王位は今アンダースの手から滑り落ち、クリストフェルの手に堕ちようとしている。
「シャルは……」
「は?」
「シャルは無事でしょうか?」
唐突な質問にアイリーンはぽかんとした表情で目の前の王子を見つめる……シャルロッタ・インテリペリという少女、そして辺境の翡翠姫の名に相応しい美しい淑女。
彼女の底知れぬ実力と強さはすでに多くの人間に知れ渡っている……実際にアイリーンも目にして彼女自身が英雄の素質を持っていることを理解している。
彼女であれば悪名たかき星幽迷宮すらも一人でどうにかする、という気がするのだが、クリストフェルからすれば彼女は婚約者であり、一人の女性でしかないのだろう。
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「彼女であれば無事でしょう、あれほどの能力を持つ英雄は近年珍しいくらいです」
「……そうですか……」
「ただ、彼女にはしっかりとした伴侶が必要ですね……目の前にいるのがそうだと私も安心しますが」
アイリーンの言葉に少し目を見開いた後にクリストフェルは恥ずかしそうに頭を掻くと、苦笑しながら「勘弁してくださいよ」と彼女に対して答えた。
それでも婚約者を一人だけで危険な場所へと向かわせたことに彼自身が罪の意識を感じているのか、それとも単なる心配性なのか、それはアイリーンには理解が難しい。
だが、アイリーンはそれはさておき、と前置きを述べた後にクリストフェルへと要件を伝えることにした。
「……彼女が危険を引きつけている間に、王城を攻略しましょう」
「……お、王城を?」
「はい、おそらく敵側の最高戦力は辺境の翡翠姫を引き付けるために星幽迷宮を使っていると思われます」
「……つまり今なら王城を攻め落とせると?」
「攻め落とすというよりは、無血開城を目指すですかね、第一王子派の抵抗はほぼないと思われますし」
アイリーンの提案にクリストフェルは少し悩む……確かにシャルは第二王子派の最高戦力であり、彼女以上の戦闘能力を持つものはこの陣営にはいない。
クリストフェルとエルネットがそれに続くだろうか……確かにそれを考えると今の第二王子派に彼らを止められるものは存在しないと考えられる。
確かにそれであれば……国王代理であるアンダースを止め内乱に終結をもたらすことが可能かも知れない……そうすれば星幽迷宮から戻ってきたシャルロッタにこれ以上の無理を強いることも無くなるだろう。
その様子を見ていたエルネットがアイリーンの提案を聞いて少し考えた後、クリストフェルへと話しかけた。
「殿下……確かに提案としては魅力的なのですが……我々が見たもう一人の訓戒者が姿を現しておりません」
「……もう一人?」
「闇征く者という黒ずくめの人物です、以前シャルロッタ様と邂逅した……あれ以来全く姿を見せておりませんので、すでにシャルロッタ様が倒した可能性もありますが」
エルネット達が闇征く者を見たのは一度きり……暴力の悪魔との戦いの最後に一度だけ姿を現している。
あの時よりも「赤竜の息吹」は成長しているとはいえ、もう一度彼と出会った際に勝てるだろうか? という疑問は湧くのだ。
人智を超えた存在……その秘められた能力は理解し難い、シャルロッタ・インテリペリという少女がそうやって牙を研いでいたことを考えると、こちらの予想をはるかに超えてくるのは間違い無いだろう。
「……それでも今まで姿を見せていないのだろう?」
「はい、とはいえ王城に潜んでいる可能性はゼロではありません」
「……冒険者組合と私も攻撃に参加しよう、それで足りるのではないか?」
アイリーンがこれだけ攻撃を勧めるのには理由がある……すでに王都の民は疲弊しており、冒険者組合と聖教が主導して彼らの救済を始めている。
冒険者達は善意だけでなく、報酬を目当てに協力をしている関係もあり、そう長く冒険者組合が資金を提供することは難しいという内情も含まれている。
聖教も思うところはあるだろうが、弱者救済の名目上今の所は協力をするという緩い協力関係の上に成り立っているのだ。
第二王子派が王城を攻略し、国王代理を捕えるなりしなければ各地に逃げ帰った第一王子派貴族達の再起を決意させてしまう可能性があり、その時には聖教も協力関係をかなぐり捨てて敵対する方向に回るかも知れない。
それを防ぐためにも一秒でも素早く王城を攻略し、クリストフェルが名実ともに王都の支配者となることを喧伝しなければいけないのだ。
「……しかし……」
「殿下……殿下の思うことは理解しますが、今は一秒でも早く貴方の勝利を王国内に喧伝しなければ、内乱は長引きますよ」
「ギルドマスター……! だが危険は……」
「エルネット、私はお前に話をしていない、殿下と話をしているのだ」
「……く……わかりました……」
エルネットは悔しそうな表情を浮かべると、黙ってギルドマスターに従うと秤りに頭を下げて一歩後ろへと下がった。
アイリーンの話は本音を元にしている……ただ冒険者組合側の内情を伝えていないだけだ。
エルネット自身もアイリーンには多大な恩義を感じている……百戦錬磨の戦士である彼女も同行するのであれば、危険を退けることは可能だろう。
二人のやりとりを見てクリストフェルは少し悩んだ後、一人の少女のことを思い浮かべる。
美しい婚約者、銀色の髪と緑色の瞳を持つ辺境の翡翠姫、その彼女が無事に戻ってきた際に「もう戦わなくていい」と伝えられたらそれはそれで良いことなのだろう、と強く思った。
危険は承知の上だが……もしシャルロッタとともに玉座の間へと向かった際にアンダース、兄が襲いかかってきた時に、彼女が兄を殺めることがあれば……自分の手でそれを行わなかったことを一生後悔するだろう。
兄を捕らえて全てに決着をつけて、シャルロッタ・インテリペリを迎え入れる……その道筋が最も正しいだろうと考えた。
「わかった……軍を進めよう、王城の占拠に僕も出る」
「……承知、殿下急かすようで申し訳ありません」
「殿下、俺たち「赤竜の息吹」が護衛を務めます」
「ありがとうエルネット卿、君がいれば安心だよ……出るぞッ!」
「「「おおおおっ!!!!」」」
クリストフェルは優しく笑うと、侍従や将軍達に号令をかけ始めた。
その声に呼応するように第二王子派の軍勢が慌ただしく動き始める……イングウェイ王国始まって以来、王都への攻撃が今まさに始まろうとしている。
目標は王城、国王代理を僭称するアンダース・マルムスティーンとその取り巻き、そしておそらく彼を守ろうとするであろう混沌の眷属や魔物達。
すでに王都の一部に出現していた魔物達の報告は彼らの耳にも入っている……それら全てを打ち倒して、イングウェイ王国の歴史に新たなページを刻むのだ。
「……待っててシャル……君が帰ってきた時に、僕は玉座で君を迎えることにするよ」
——人の気配がしない玉座の間……灯りが落とされて、薄暗く不気味な雰囲気を漂わせるその場所に一人の男が立っている。
「……クハ……そうかそうか、第二王子が攻撃を決意……どうやらお主を捕らえに来るらしいぞ、国王代理……」
鳥を模した仮面の奥に怪しく光る赤い目、大柄な体を黒い衣服に押し込めたその男は混沌神の愛する眷属である訓戒者を束ねていた闇征く者その人である。
王都の外に立ち上る気炎を感じ取った彼は、クスクスと仮面の下で笑いながら考える……どういう出迎えがお気に召すであろうか?
欲する者との戦いで万が一シャルロッタ・インテリペリが勝利したとしても、ここへ来るまでには少し時間がかかるだろう。
その間に勇者の器、いやすでにこの世界の勇者たるクリストフェル・マルムスティーンがこちらへとやってくるのだ……歓迎をせねばなるまいな、と彼は考えている。
悪魔の配置は終わっている……あとは驚きが必要だろう……せっかく希望と期待と、そして大いなる夢を持って勇者がここへとくるのだ。
自らが歓迎のために出なければいけないだろう……闇征く者はそう考えると、ゆっくりと玉座の間を出ていく。
「……さあ楽しい楽しい戦いと、虐殺の時間だ……勇者を狩れれば満点、狩れなくても片腕をもげば合格点……クハ、クハハハハッ!」
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