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第88話 『ヨミノクニ』ダンジョン②
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ジュウベエの一撃で『アマノイワト』は開かれ『ヨミノクニ』への入口が現れる。
「五百年ぶりの侵入者だ。どんなおもてなしがされるんだろうな?」
「ジュウベエ。このダンジョンの情報は何もないのか?」
「ああ、入って行った者が誰も戻ってこないから封印されたダンジョンだからな。内部情報は何もない」
「Sランクダンジョンだとして『絶望の谷』と同じだとすれば、二百階層迄あっても、不思議はない。食料やポーションは、在庫はしっかりあるから、面倒な戦闘は出来るだけ避けつつ、進むぞ」
「解った。斥候はカインに任せて良いんだな?」
「ああ。ヨミノクニの名前からして、相性が良さそうなのはフィルだな。俺のすぐ後ろはフィルで、レオネア、チュール、メーガン、ジュウベエの順で進むぞ」
「解った」
このダンジョンは……
今まで体験して来たダンジョンと随分様子が違った。
真っ暗な空間に、白く輝く階段だけが延々と続く。
時折現れる踊り場に踏み入れると、アンデット系とレイス系統の敵が湧く。
この手の敵には、フィルの聖魔法は強烈に相性がいい。
【浄化】! ほぼこの一言で終わる。
メーガンの天使スタイルの羽根攻撃も十分に有効手段だろう。
恐らくだが、踊り場に着くたびに、一層とカウントされているのだと思う。
そしてこの初日で、五十層ほど降りたと思う。
一応チュールに、踊り場を通った階数をカウントさせている。
ここで休憩を取る事にした。
普通なら野営という所だが……
メーガンの無振動馬車を持って来ていた。
一応交代で外の見張りは立てるが、馬車の中は二十名は楽にゆったりできる、リビングルームである。
快適極まりない。
魔導具完備で、温かいお茶を淹れながら初日の感想を聞く。
「どうだ? フィル。きつくは無いか?」
「お兄ちゃんのお握り食べながらだから、全然平気だよ」
「そうか。それならよかった」
「てかさ、この先はどうするのカイン」
「レオネアはどうするべきと思う?」
「私は、三班に別れるべきだと思うわ」
メーガンとレオネアは班を分けて降りる事を提案して来た。
そう…… この先の階段は下りの階段が三つに別れていたのだ。
まっすぐと、右と左に同じ様に階段が下に伸びている。
みんなで一か所を降りる場合と、どちらがリスクが低いかは解らないが、ここはレオネア達の言葉に乗ってみよう。
「解った。六人だから二人ずつでいいな。敵との相性を考えたら、俺とチュール。レオネアとフィル。メーガンとジュウベエで別れて貰って良いか?」
「何でその組み合わせなんだ?」
「敵との相性を考えると、生活魔法使いの俺はほぼ万能で対応出来るし、メーガンとフィルはそもそもがここの敵との相性がいいから、楽に進める筈だ」
「そうか、どうせならレオネアと一緒が良かったが、ここはカインに従おう」
「恐らくだがな、進行速度を合わせないとまずい気がするんだ。フィルとメーガンが同じ組だと、メーガン達だけが突出すると思う」
「進行速度はどうやって合わすのかな?」
「魔導通信機は使えてるから、踊り場が来るたびに、敵を倒したら連絡を入れる様にしよう」
「了解」
馬車の中で夕飯も作って普通にみんなで寛いで過ごした。
恵まれてるな。
一眠りして、いよいよ三班に分かれており始める。
「チュール。離れるんじゃあないぞ?」
「うん。カインと二人は久しぶりだから嬉しい」
可愛い事言ってくれるぜ!
そこから、相互に連絡を取りつつ30回目の踊り場に来た時だった。
また道が分かれてる。
今度は二方向だ。
流石にチュール一人って訳には行かないよな……
他の二組は、別れて一人ずつで降りると決めたそうだ。
フィルは魔導通話機持って無いから、少し心配だが、アンデッドしか出て来ない情況なら大丈夫だろう。
この階段一本道のダンジョンでは、罠の危険は少ないと思うしな。
俺はチュールと二人で右側に伸びる階段を進んだ。
そこから、二十回目の踊り場を降りた時だった。
今までは明らかに違う雰囲気の敵が現れた。
しかも喋りかけて来た。
(ヤバいなしゃべりかけてくる敵なんて、『絶望の谷』だとラスボスだけだったぞ……)
「我が名はカグツチ。先に進みたくば倒して見せよ」
そう言い放つと同時に真っ赤に燃え盛る炎に包まれ、襲い掛かって来る。
「チュール。近寄るなよ」
「うん」
火が相手なら、水一択だろ!
その身体に纏わす火が消えるまで、水を浴びせ続けた。
「な。やめろ。水は、駄目じゃ…… 卑怯じゃぞ」
思ったより雑魚だった……
火が消えた所で、びしょ濡れのカグツチを凍らせて氷像にしてやった。
すると、水晶の乗った台座が現れる。
ヤバイな…… 触ると間違いなく転移させられそうだ。
でも…… ラスボスでは無かったぽい。
問題は、二つに分かれた道を片方しか攻略してない事だ。
他の連中が対処できたかどうかが心配だから、情報が入るのを待とう。
場合によっては、戻ってもう一か所も攻略の必要がある。
そして、五分後にメーガンから連絡が入る。
「アマテラスと名乗る女性型のレイスが相手だったわ。問題無かったですけど、今は現れたクリスタルボールに触れて、広場に辿り着いたわ。あ、カイン。フィルさんもここに来ました」
「お、それは良い情報だ。俺の方はチュール一人で戦わせる訳にいかないから、一緒に来たし一か所行ってない場所があるんだ。先にチュールをそこに行かせる」
「解りました」
チュールに水晶玉を触らせると、その姿は消えて…… 予想通りと言うか、水晶玉も消えた。
「メーガン。チュールはそっちに辿り着いたか?」
「ええ。大丈夫です。今姿を現したわ。後、ジュウベエとレオネアも辿り着きました」
「解った。俺は、今から一度分岐点まで戻って、もう一本の階段を下りる」
「了解したわ。こちらで待ってますから何かあったら連絡お願いね」
「五百年ぶりの侵入者だ。どんなおもてなしがされるんだろうな?」
「ジュウベエ。このダンジョンの情報は何もないのか?」
「ああ、入って行った者が誰も戻ってこないから封印されたダンジョンだからな。内部情報は何もない」
「Sランクダンジョンだとして『絶望の谷』と同じだとすれば、二百階層迄あっても、不思議はない。食料やポーションは、在庫はしっかりあるから、面倒な戦闘は出来るだけ避けつつ、進むぞ」
「解った。斥候はカインに任せて良いんだな?」
「ああ。ヨミノクニの名前からして、相性が良さそうなのはフィルだな。俺のすぐ後ろはフィルで、レオネア、チュール、メーガン、ジュウベエの順で進むぞ」
「解った」
このダンジョンは……
今まで体験して来たダンジョンと随分様子が違った。
真っ暗な空間に、白く輝く階段だけが延々と続く。
時折現れる踊り場に踏み入れると、アンデット系とレイス系統の敵が湧く。
この手の敵には、フィルの聖魔法は強烈に相性がいい。
【浄化】! ほぼこの一言で終わる。
メーガンの天使スタイルの羽根攻撃も十分に有効手段だろう。
恐らくだが、踊り場に着くたびに、一層とカウントされているのだと思う。
そしてこの初日で、五十層ほど降りたと思う。
一応チュールに、踊り場を通った階数をカウントさせている。
ここで休憩を取る事にした。
普通なら野営という所だが……
メーガンの無振動馬車を持って来ていた。
一応交代で外の見張りは立てるが、馬車の中は二十名は楽にゆったりできる、リビングルームである。
快適極まりない。
魔導具完備で、温かいお茶を淹れながら初日の感想を聞く。
「どうだ? フィル。きつくは無いか?」
「お兄ちゃんのお握り食べながらだから、全然平気だよ」
「そうか。それならよかった」
「てかさ、この先はどうするのカイン」
「レオネアはどうするべきと思う?」
「私は、三班に別れるべきだと思うわ」
メーガンとレオネアは班を分けて降りる事を提案して来た。
そう…… この先の階段は下りの階段が三つに別れていたのだ。
まっすぐと、右と左に同じ様に階段が下に伸びている。
みんなで一か所を降りる場合と、どちらがリスクが低いかは解らないが、ここはレオネア達の言葉に乗ってみよう。
「解った。六人だから二人ずつでいいな。敵との相性を考えたら、俺とチュール。レオネアとフィル。メーガンとジュウベエで別れて貰って良いか?」
「何でその組み合わせなんだ?」
「敵との相性を考えると、生活魔法使いの俺はほぼ万能で対応出来るし、メーガンとフィルはそもそもがここの敵との相性がいいから、楽に進める筈だ」
「そうか、どうせならレオネアと一緒が良かったが、ここはカインに従おう」
「恐らくだがな、進行速度を合わせないとまずい気がするんだ。フィルとメーガンが同じ組だと、メーガン達だけが突出すると思う」
「進行速度はどうやって合わすのかな?」
「魔導通信機は使えてるから、踊り場が来るたびに、敵を倒したら連絡を入れる様にしよう」
「了解」
馬車の中で夕飯も作って普通にみんなで寛いで過ごした。
恵まれてるな。
一眠りして、いよいよ三班に分かれており始める。
「チュール。離れるんじゃあないぞ?」
「うん。カインと二人は久しぶりだから嬉しい」
可愛い事言ってくれるぜ!
そこから、相互に連絡を取りつつ30回目の踊り場に来た時だった。
また道が分かれてる。
今度は二方向だ。
流石にチュール一人って訳には行かないよな……
他の二組は、別れて一人ずつで降りると決めたそうだ。
フィルは魔導通話機持って無いから、少し心配だが、アンデッドしか出て来ない情況なら大丈夫だろう。
この階段一本道のダンジョンでは、罠の危険は少ないと思うしな。
俺はチュールと二人で右側に伸びる階段を進んだ。
そこから、二十回目の踊り場を降りた時だった。
今までは明らかに違う雰囲気の敵が現れた。
しかも喋りかけて来た。
(ヤバいなしゃべりかけてくる敵なんて、『絶望の谷』だとラスボスだけだったぞ……)
「我が名はカグツチ。先に進みたくば倒して見せよ」
そう言い放つと同時に真っ赤に燃え盛る炎に包まれ、襲い掛かって来る。
「チュール。近寄るなよ」
「うん」
火が相手なら、水一択だろ!
その身体に纏わす火が消えるまで、水を浴びせ続けた。
「な。やめろ。水は、駄目じゃ…… 卑怯じゃぞ」
思ったより雑魚だった……
火が消えた所で、びしょ濡れのカグツチを凍らせて氷像にしてやった。
すると、水晶の乗った台座が現れる。
ヤバイな…… 触ると間違いなく転移させられそうだ。
でも…… ラスボスでは無かったぽい。
問題は、二つに分かれた道を片方しか攻略してない事だ。
他の連中が対処できたかどうかが心配だから、情報が入るのを待とう。
場合によっては、戻ってもう一か所も攻略の必要がある。
そして、五分後にメーガンから連絡が入る。
「アマテラスと名乗る女性型のレイスが相手だったわ。問題無かったですけど、今は現れたクリスタルボールに触れて、広場に辿り着いたわ。あ、カイン。フィルさんもここに来ました」
「お、それは良い情報だ。俺の方はチュール一人で戦わせる訳にいかないから、一緒に来たし一か所行ってない場所があるんだ。先にチュールをそこに行かせる」
「解りました」
チュールに水晶玉を触らせると、その姿は消えて…… 予想通りと言うか、水晶玉も消えた。
「メーガン。チュールはそっちに辿り着いたか?」
「ええ。大丈夫です。今姿を現したわ。後、ジュウベエとレオネアも辿り着きました」
「解った。俺は、今から一度分岐点まで戻って、もう一本の階段を下りる」
「了解したわ。こちらで待ってますから何かあったら連絡お願いね」
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