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ネコ娘、バーベキューを計画する

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 ここは、あらゆる種族が共存する自由の国、ジャジャメリカ。獣人もエルフもドワーフもヒュームも、何だって暮らしている。

 アタイたちがいるのは、ジャジャメリカの西の都市ジスゴロス。付近に、いくつかの管理された迷宮ダンジョンを抱えている。
 ダンジョンの魔物は、倒すと魔石をドロップする。この魔石が、人々の生活を支える数々の魔道具のエネルギー源になっていた。

 冒険者とは、かつては言葉通り命がけの冒険に出る者を指していたが、今ではダンジョンから魔石をとってくる労働者にすぎない。魔石はたくさん必要だから、冒険者もうじゃうじゃいる。アタイもその1人だ。

 ゴンッ……!!

 すさまじい音が響いた。
 ダンジョン地下5層。突進してくるウシ型のモンスターと、ササミの盾がぶつかる。
 敵の攻撃は、単純な突進だけだったが、その破壊力は圧倒的だ。

 ササミによって動きを止められたウシを、アタイとメリーの攻撃で倒した。
 ポンっと倒れた魔物が魔石とドロップアイテムに変化する。

「あ~、A5牛肉か。ハズレ……」

 ウシ魔物の通常ドロップアイテムは高級肉。レアドロップで牛革のリュックが出る。このリュックが空間拡張つきで、人の手では制作不可能な貴重品だった。

 今いるミノタダンジョンは敵が強く、魔石をとるだけなら効率が悪い。だが、空間拡張つきのアイテムが低確率で出ることから、一攫千金いっかくせんきんを狙う冒険者でにぎわっていた。
 アタイたちは自分で使うリュックをとるつもりだが、売れば半年くらい遊んで暮らせる逸品いっぴんだ。
 だが……

「そろそろウチの盾が壊れそうっス」

 ササミが持つ大盾には、小さなヒビが入っていた。

「そっか。じゃあ、この辺で切り上げよう」

 レアドロップなんてそうそう出ない。今回は諦めることにした。

「肉ばっかり集まったな」

 ドロップはダンジョン入り口に待機している商人が引き取ってくれる。仕入れ先がダンジョンという商品は、街で多く流通していた。
 魔石だけはギルドが公定価格で買い取るので、ギルドの査定に持ち帰るのがルールだ。

「肉、アタシたちで食べる分はとっておこうぜ?」
「そうっスね。馴染みの居酒屋で調理してもらいます?」

 ドロップの肉はそんなに儲かるものではないが、自分たちで消費するには良いものだ。高級肉をたらふく食える。

「なあ、たくさんあるし、アザレア大姐おおねえさんのところに持っていかないか?」

 アタイはふと思いついて提案した。アザレア大姐さんは、アタイとメリーの親代わりの恩人だ。

「いいね。大姐さんの庭のバーベキューか。なつかしいな」

 メリーも乗り気で、すぐに賛成した。

「じゃあ、明日の昼、大姐さんの家で焼肉な!」

 弾んだ声で宣言する。
 楽しい予定ができて、ダンジョンからの帰り道、アタイの足取りは軽かった。
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