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第二話 玄武宮の賢妃は動じない
06-12.
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……陛下はなにを恐れておられるのか。
玄武宮に向かう間、俊熙は一言も話さなかった。
……貴方の憂いを解いてあげたい。
共に行動をする間に絆されていた。
香月は後宮に染まれない。玄家の次期当主としての誇りを捨てることもできず、初恋の痛みを忘れることもできない。
しかし、まっすぐに香月を見つめ、正直に言葉を発する俊熙に対し、心を許しつつあった。だからこそ、なにかを恐れているような俊熙のことが心配だった。
四季折々の花が咲く後宮も冬は静かなものだ。
冬は花が咲かず、人々も寒さから口を閉ざす。
その光景に対し、俊熙は太陽のように眩しかった。
「香月? どうかしたか?」
俊熙は香月の視線に気づいたようだ。
それに対し、香月は曖昧な笑みを浮かべて見せた。
「陛下」
香月は己の変化を恐れる。
変わってしまったところで受け入れられるのか、不安に思う。
「陛下は麒麟の加護がお強い方ですね」
「それか。俺にはよくわからん」
「呪力をすべて弾かれていたのは加護のおかげでしょう」
香月は身を守る術を知っている。
だからこそ、あの場にいても立っていられた。
「陛下の御代を傍で見つめてみとうございます」
香月が出した答えは愛ではないのかもしれない。
恋や愛と呼ぶのには、まだ不確かな感情だ。しかし、俊熙の憂いを払い、傍にいたいと思うようになったのは事実である。
危険な呪術が飛び交う後宮において、香月は俊熙を守らなければいけなかった。その為には傍にいる必要がある。
「素直に愛していると言ってくれてもかまわんが?」
俊熙は笑った。
突然の言葉を否定せずに受け入れてしまった。
「だが、その言葉で十分だ。いつか、恋い慕っていると言わせて見せるからな」
俊熙の言葉に対し、香月は口角をあげた。
「楽しみにしております。陛下」
香月は軽く礼をしながら、そう告げた。
玄武宮に向かう間、俊熙は一言も話さなかった。
……貴方の憂いを解いてあげたい。
共に行動をする間に絆されていた。
香月は後宮に染まれない。玄家の次期当主としての誇りを捨てることもできず、初恋の痛みを忘れることもできない。
しかし、まっすぐに香月を見つめ、正直に言葉を発する俊熙に対し、心を許しつつあった。だからこそ、なにかを恐れているような俊熙のことが心配だった。
四季折々の花が咲く後宮も冬は静かなものだ。
冬は花が咲かず、人々も寒さから口を閉ざす。
その光景に対し、俊熙は太陽のように眩しかった。
「香月? どうかしたか?」
俊熙は香月の視線に気づいたようだ。
それに対し、香月は曖昧な笑みを浮かべて見せた。
「陛下」
香月は己の変化を恐れる。
変わってしまったところで受け入れられるのか、不安に思う。
「陛下は麒麟の加護がお強い方ですね」
「それか。俺にはよくわからん」
「呪力をすべて弾かれていたのは加護のおかげでしょう」
香月は身を守る術を知っている。
だからこそ、あの場にいても立っていられた。
「陛下の御代を傍で見つめてみとうございます」
香月が出した答えは愛ではないのかもしれない。
恋や愛と呼ぶのには、まだ不確かな感情だ。しかし、俊熙の憂いを払い、傍にいたいと思うようになったのは事実である。
危険な呪術が飛び交う後宮において、香月は俊熙を守らなければいけなかった。その為には傍にいる必要がある。
「素直に愛していると言ってくれてもかまわんが?」
俊熙は笑った。
突然の言葉を否定せずに受け入れてしまった。
「だが、その言葉で十分だ。いつか、恋い慕っていると言わせて見せるからな」
俊熙の言葉に対し、香月は口角をあげた。
「楽しみにしております。陛下」
香月は軽く礼をしながら、そう告げた。
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