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第二話 玄武宮の賢妃は動じない
06-9.
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……成功している。
その場にいた全員が息を飲んだ。
人として尊厳を残すことさえも許さないといわんばかりに灰になったのは、収監されている藍洙も同様だろう。死者は土葬するのが李帝国の文化だ。死者は土に帰るものであり、火刑に処されるのは生き返りを防がなければならない大罪人だけである。
死してすぐに身体を灰にされたのは、尊厳を踏み弄っている証拠だ。
彼女たちは何者かに利用されていたのだろう。
そして、その証拠と共に亡き者にされたのだ。
「陛下」
香月は混乱している宦官たちを見ながら、俊熙に声をかける。
「後宮内に呪術に長けた者がいるのは確実でしょう」
「……信じられないが。信じないわけにはいかなくなったな」
俊熙は現実から目を逸らさない。
灰と化した遺体を目にしたのだ。呪術の存在を否定することができなかった。
「犯人を早急に探し出せ。その者たちは我が寵妃である玄香月を狙ったのだ。厳罰に処さなければならない」
俊熙の言葉を聞き、宦官たちは一斉に膝をついて肯定の言葉を口にする。
……視線は感じない。
香月は周囲の気配を探る。
犯人は事の顛末に興味がないのだろうか。それとも、口封じさえできれば問題がなかったのか。どちらにしても、この状況を把握しようとしていなかった。
邪な気配を感じない。
それが不気味でしかたがなかった。
「陛下。黄昭媛も灰になったものと思われます」
香月は断言をした。
人形の損傷を考えれば藍洙の遺体は灰になっているだろう。遺体の検視が進んでいたのならば、犯人を追う術が残されているかもしれない。
限りなく低い可能性に賭けるしかなかった。
「黄昭媛が呪術を使用した痕跡を調べる為、そちらにも出向きたいのですが、よろしいでしょうか?」
「かまわない。早急に移動しよう」
「はい。陛下。陛下のご判断に感謝を申し上げます」
香月は頭を下げて敬礼しようとした。
しかし、俊熙はそれを拒む。寵愛している相手に跪かれて喜べるような性格ではなかった。
その場にいた全員が息を飲んだ。
人として尊厳を残すことさえも許さないといわんばかりに灰になったのは、収監されている藍洙も同様だろう。死者は土葬するのが李帝国の文化だ。死者は土に帰るものであり、火刑に処されるのは生き返りを防がなければならない大罪人だけである。
死してすぐに身体を灰にされたのは、尊厳を踏み弄っている証拠だ。
彼女たちは何者かに利用されていたのだろう。
そして、その証拠と共に亡き者にされたのだ。
「陛下」
香月は混乱している宦官たちを見ながら、俊熙に声をかける。
「後宮内に呪術に長けた者がいるのは確実でしょう」
「……信じられないが。信じないわけにはいかなくなったな」
俊熙は現実から目を逸らさない。
灰と化した遺体を目にしたのだ。呪術の存在を否定することができなかった。
「犯人を早急に探し出せ。その者たちは我が寵妃である玄香月を狙ったのだ。厳罰に処さなければならない」
俊熙の言葉を聞き、宦官たちは一斉に膝をついて肯定の言葉を口にする。
……視線は感じない。
香月は周囲の気配を探る。
犯人は事の顛末に興味がないのだろうか。それとも、口封じさえできれば問題がなかったのか。どちらにしても、この状況を把握しようとしていなかった。
邪な気配を感じない。
それが不気味でしかたがなかった。
「陛下。黄昭媛も灰になったものと思われます」
香月は断言をした。
人形の損傷を考えれば藍洙の遺体は灰になっているだろう。遺体の検視が進んでいたのならば、犯人を追う術が残されているかもしれない。
限りなく低い可能性に賭けるしかなかった。
「黄昭媛が呪術を使用した痕跡を調べる為、そちらにも出向きたいのですが、よろしいでしょうか?」
「かまわない。早急に移動しよう」
「はい。陛下。陛下のご判断に感謝を申し上げます」
香月は頭を下げて敬礼しようとした。
しかし、俊熙はそれを拒む。寵愛している相手に跪かれて喜べるような性格ではなかった。
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