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お可愛いΩ お可哀想なα
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しおりを挟む格好つけて飛び出してきちゃったけど、海風を避けるためにこのグリーンベルトの公園は名前の通り、海岸線を覆うように細く長い作りになっていて、オレ一人で見て回れる規模じゃないのは一目瞭然だ。
少なくとも虎徹先生と連絡が取れるのを待ってから出てくるべきだったかも と、思わず不安になって寮の方を振り返る。
でも、寮は木に隠れて半分も見えていない……
ぐっと口を引き結んでレンガの道を歩き出す。
もし、いざ、何かあれば護身術くらいは習ってたから!って言いたいけど……でも、正直に言ってしまうとオレは全然見込みがなかったのか、銀花や仁達と違って「もういいよ」って言われちゃった程度しかできない。
「喜蝶は投げ飛ばせたけどさぁ」
思わずぷーっと頬を膨らませる。
お父さんも師匠に食い下がってまで習い続けろとは言ってくれなくて、ムリに習いたいとは言えなかった。
「習い続けてたら、ちょっとはカッコよくビュンビュンってやっつけられたりしたのかなぁ」
悪漢をそうやってやっつけることができたら、ちょっとはαっぽいかな?
拳を振り回しては見るけれど……なんだか、子供が駄々をこねているようにしか見えないんじゃないかって不安になってくる。
そんな不安を振り払うようにぶるぶると首を振って、奥の方へと歩き出す。
細長い公園の左右どちらに進もうか一瞬迷ったりしたけれど、左側に懐中電灯を向けて照らした。
「おじいちゃん先生が、人は左を選びやすいって言ってたもんね!」
心理学なのか経験則なのかは知らないけど、そうやって言われるんだから左の方にシュンがいる確率が高いってことなんだろう。
左の方はそのままつかたる市の数少ない名所の城址に向かっていて、そのまま城址前の堀のある林に続いている。
昼間は幼稚園児達が遠足に来たりもするような場所だけど、日の沈んだこの時間だと人の気配はなくて静まり返って不気味だった。
「お父さんは……朝日がキレイだよって言ってたけど…… 」
独り言を言って怖さを紛らわせるけれど、それでもやっぱり怖いものは怖い!
ちょっと耳を澄ませてみて音がしないか確認してみるけど、風の音以外聞こえない。こう言う時、フェロモンを感じることができたらシュンの居場所を嗅ぎ取れたりするのかなって。
──── や っ
小さく小さく聞こえた声は、風の音とか波の音かなって言うような気のせいじゃなかった。
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