OMEGA-TUKATARU

Kokonuca.

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お可愛いΩ お可哀想なα

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 せっかく今まで遅れることなく提出してたのにっ‼︎

 あと朝ご飯食べそびれてお腹空いたしっ!

 ついでに言うと昨日ドアにぶつけた右手の指がまだ痛いし!

「も────っ!なんなんだよっ!」

 湿布を貰いに保健室に行ったら先生はお出かけ中だし、踏んだり蹴ったりとか泣きっ面に蜂とかってまさにこのことで……

「……誰に教科書借りに行こうかな」

 忘れ物があった時は急いで特進第一のクラスに借りに行くんだけど、今はそんなことできる気がしない。
 顔を見せた途端にまた三人に睨まれるのかなって思ったら、心の中の何かがしおしおと萎んじゃって……ちょっとくらい迷惑な顔をされるのならご愛嬌って思えるけど、憎々しく睨まれてそれでも突撃して行けるほど心臓は丈夫じゃないから。

 保健室の帰り道に隣りのクラスの前を通りかかると、ドアからひょっこりと出て来た釘宮くんと目が合った。

「あっ!六華くん!良かった!」
「?」

 うちのクラスに行こうと思ってたんだ って言いながらパタパタこちらに駆けてくる姿は……可愛い。

 小柄なせいかな?動きが小動物みたいで癒されるんだよね!

「先生にはいいよって言って貰えたから、一緒にグループ組めるって!だから海の学校グループのメンバーを紹介しておこうと思ったんだ」

 って言われて、そうだ、釘宮くんのグループに入れて貰えたんだったって、すっかり忘れていたことを思い出した。
 よく知らない人ばかりの中で大丈夫かな?とか言う緊張は昨日の騒動で飛んで行ってしまっていて、こうやって声をかけて貰えてよかった!

「あ、じゃあついでに現社の教科書借りてもいいかな?」
「うん?いいよ!持ってくるね!待ってて」

 屈託なく返事をくれてほっと胸を撫で下ろす。

 いやって言われたら、もっと落ち込んじゃうよね。
 隣のクラスって言っても人数が多いから意外と知らない人も多くて、他の二人も少しでも知ってる人だったらいいなぁって思うけど……

「  え⁉︎阿川くんってホント⁉︎」
「  なんで?え?どうして?阿川くんってあの⁉︎」

 教室の中からバタバタって音がして、初顔合わせだからどきどきしてたんだけど、教室から飛び出してきた二人の表情を見てそのどきどきがぎゅって止まった感じがした。
 オレの上の方を見ていた視線が下に動いて、自分達よりも小さいオレに定まると……なんて言うか、明らかにがっかりした顔をされてしまった。

「こっちの阿川くんかぁ」

 たぶん、それはつい漏れちゃった言葉で、小さい呟きだったから聞こえてないと思ったんだろうけど。

 オレの耳にはしっかり届いた。

「六華くん、これね」

 二人を追いかけるようにして教科書を持ってきた釘宮くんがオレ達を見て「?」って顔をする。



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