OMEGA-TUKATARU

Kokonuca.

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ひざまずかせてキス

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『あの、何を  』
『検査し直してみるといい。あれはベータだ』
『そんな事は  こちらできちんと検査もしておりますので』
『俺と同じ匂いがする。簡易ではなく精密で試せ』

 匂いの効果に陶酔も入っているからか、はっきりしない頭に喝を入れながらその客の方によたよたと這い寄る。

『  っ』

 上げそうになった悲鳴を飲み込めたのは、そのクラブの今までのしつけのお陰だ。

 自分を見下ろす小鬼達、更にそれを調伏しようとするかのような龍の眼光に、霧掛かったような頭が一瞬ではっきりした。

『この子は  長くここで勤めているし、評判のいいアルファなんです』
『こうしよう。検査費用はうちが持とう、ただし精密検査だ。アルファならばこちらが迷惑料を払おう。ベータならば  そうだな、慰謝料代わりに犬の餌の為に頂きたい』
『それは   』
『それとも品揃えが悪く、粗悪品を平気でアルファとして提供していると忠告して回らせて貰うかだ』

 堂々とした脅しだ。

 セレブの集まるここで信用を無くしたら、どうなるかは想像に難くない。

『せっかく憂さ晴らしが出来ると喜んで来てみればこの品揃えとは   紹介してきた奴には文句の一つも言ってやらなければ』
『  っ あのっ今直ぐに  検査をさせますので。それから他のアルファを連れて参りますっどうかお寛ぎいただけた   っ』

 はっ と鼻で笑う声に、そろそろと頭を上げた。
 龍と小鬼の向こうにあったのは、αでもおかしくないと思わせる端正な顔立ちだった。

『医者を。この場で、だ』

 男らしいその顔が悪い笑顔になり、いつもオレ達には偉そうにしていた店員が飛んで逃げてしまった。

『  何をしているの?』
『   何?』
『遊びに来たんじゃないの?』
『アルファとな』

 見下ろされて、自分の体を見下ろす。

 成長してしまった為に、少しでも幼く見えるように全身の毛は抜かれてつるつるで、生っちろいひょろりとした体だ。こちらを見下ろす男の隆々とした筋肉質な肉体とは雲泥の差で、隠せる程面積もないのに、腰に申し訳程度に絡んでいた服と言う名の布を引っ張って股間を隠した。

『どうした?』
『オレは犬の餌?』

 そう返すと、男の表情がはっと揺らいだ。

『分かるのか』
『うん  分かってた』

 ざり とした指が頭を撫で、オレを見下ろす顔は無表情だったのに、微かに唇の端が上がっているのに気が付いた時は、飛び上がりそうな程嬉しかった。 



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