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花はいっぱい
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しおりを挟む「中から鍵を閉めて!」
忠尚自身の顔も赤くて、オレの発情期の匂いに当てられたんだとわかった。申し訳なくてごめんなさいと言おうとしたけれど、目の前で扉は閉まってしまって。
辛うじて残っている意識で鍵をかけて肌身離さず持っている薬を舌の下に押し込んだ。
熱い咥内と、目が回る感覚に体を起こしていることができずに重力に従って床に倒れ込むと、微かにある隙間から六華の声と忠尚の声が聞こえて来て……
何か言い返さないとと思いながら目を閉じれば、意識を手放してしまっていたようだった。
戸を叩く音と母の声にそっと目を開ける。
「──薫?具合は?」
「 母さん?」
「連絡をもらって、迎えに来たけど動けそう?」
頭を振るとクラクラと視界が回る。
口の中の苦い味に呻きながら鍵を外した。
「 よかった」
ほっとした忠尚の声に、はっと体が跳ねた。
「す、すみません オレ 」
「謝ることじゃないよ、気にしないで」
よたつきながら立ち上がるオレを支えるために六華が駆け寄って肩を貸してくれた。あれからずっとついていてくれたんだろう、ありがたくて感謝しかない。
「ご迷惑をお掛けしました、また改めてお礼に伺います」
薬が効いているうちに と、母に車に押し込まれてしまい、心配している忠尚に何も言うことができなかった。
ぎゅうっと掛け布団を掴んで身を縮こめる。
籠る熱に暑いと思うも、縋るものが欲しくて手が離せない。
「 っ あ、つい ふ、ぁ」
頓服で飲んだ薬もあっと言う間に効かなくなった。
明らかに今までの発情期と違う感覚に、オレ自身よりも母の方が戸惑っているようで、救急車を呼ぶべきなのかとうろたえている。
ただ、症状を抑えるための薬は飲んでいる以上、後はただ過ぎるのを待つしかない。
「 っ」
腹の奥が熱い。
後ろのぬるつくような感触と、立ち上がって擦れるソコが痛くてたまらない!
「あ、 はぁ 」
幾ら自分自身で弄ってもイキきれないような、ぐるぐると回る熱が出ていかないような感覚が続く。
どこを弄ればよりマシになれるか なんて、本能に耳を傾ければわかるけれど、そこを弄る勇気はなくてぐっと唇を噛み締めた。
少しでも熱を逃そうと乱暴に先端を弄ってやると、とぷとぷと白濁の粘りが手を汚す。
────とん
とんとん と小さく音が響いて窓が震えた。
こんな時間にこんな場所をノックする人物なんて一人しかいなくて、泣きそうになりながら「無理っ‼︎」と叫んだ。
「 薫?」
珍しく控えめだった叩き方が荒くなり、どんどん と音が大きくなる。
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