OMEGA-TUKATARU

Kokonuca.

文字の大きさ
上 下
84 / 801
花はいっぱい

21

しおりを挟む




「中から鍵を閉めて!」

 忠尚自身の顔も赤くて、オレの発情期の匂いに当てられたんだとわかった。申し訳なくてごめんなさいと言おうとしたけれど、目の前で扉は閉まってしまって。

 辛うじて残っている意識で鍵をかけて肌身離さず持っている薬を舌の下に押し込んだ。

 熱い咥内と、目が回る感覚に体を起こしていることができずに重力に従って床に倒れ込むと、微かにある隙間から六華の声と忠尚の声が聞こえて来て……

 何か言い返さないとと思いながら目を閉じれば、意識を手放してしまっていたようだった。





 戸を叩く音と母の声にそっと目を開ける。

「──薫?具合は?」
「     母さん?」
「連絡をもらって、迎えに来たけど動けそう?」

 頭を振るとクラクラと視界が回る。

 口の中の苦い味に呻きながら鍵を外した。

「   よかった」

 ほっとした忠尚の声に、はっと体が跳ねた。

「す、すみません  オレ  」
「謝ることじゃないよ、気にしないで」

 よたつきながら立ち上がるオレを支えるために六華が駆け寄って肩を貸してくれた。あれからずっとついていてくれたんだろう、ありがたくて感謝しかない。

「ご迷惑をお掛けしました、また改めてお礼に伺います」

 薬が効いているうちに と、母に車に押し込まれてしまい、心配している忠尚に何も言うことができなかった。





 ぎゅうっと掛け布団を掴んで身を縮こめる。

 籠る熱に暑いと思うも、縋るものが欲しくて手が離せない。

「  っ あ、つい   ふ、ぁ」

 頓服で飲んだ薬もあっと言う間に効かなくなった。
 明らかに今までの発情期と違う感覚に、オレ自身よりも母の方が戸惑っているようで、救急車を呼ぶべきなのかとうろたえている。

 ただ、症状を抑えるための薬は飲んでいる以上、後はただ過ぎるのを待つしかない。

「   っ」

 腹の奥が熱い。

 後ろのぬるつくような感触と、立ち上がって擦れるソコが痛くてたまらない!

「あ、  はぁ  」

 幾ら自分自身で弄ってもイキきれないような、ぐるぐると回る熱が出ていかないような感覚が続く。

 どこを弄ればよりマシになれるか なんて、本能に耳を傾ければわかるけれど、そこを弄る勇気はなくてぐっと唇を噛み締めた。
 少しでも熱を逃そうと乱暴に先端を弄ってやると、とぷとぷと白濁の粘りが手を汚す。


 ────とん


 とんとん と小さく音が響いて窓が震えた。

 こんな時間にこんな場所をノックする人物なんて一人しかいなくて、泣きそうになりながら「無理っ‼︎」と叫んだ。

「  薫?」

 珍しく控えめだった叩き方が荒くなり、どんどん と音が大きくなる。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

上司と俺のSM関係

雫@更新不定期です
BL
タイトルの通りです。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

真・身体検査

RIKUTO
BL
とある男子高校生の身体検査。 特別に選出されたS君は保健室でどんな検査を受けるのだろうか?

目が覚めたら囲まれてました

るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。 燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。 そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。 チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。 不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で! 独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

放課後教室

Kokonuca.
BL
ある放課後の教室で彼に起こった凶事からすべて始まる

学園の支配者

白鳩 唯斗
BL
主人公の性格に難ありです。

愉快な生活

白鳩 唯斗
BL
王道学園で風紀副委員長を務める主人公のお話。

ヤクザに囚われて

BL
友達の借金のカタに売られてなんやかんやされちゃうお話です

処理中です...