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人生は振り回されてなんぼ
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しおりを挟むこう言うところをみると、日本語で不自由なく過ごしているが実は異世界には異世界の言葉が存在するんだって思わされる。
「古きウロコを持つ者、血の守護者 ……古の、ドラゴン、……だ」
「ドラゴン!」
オークション会場で見かけたようなトカゲじゃなくて、ドラゴンがいると⁉︎
それはいろいろと本を読んで育ってきた人間にとっては滾る話題ではないか⁉︎
「ド、ドラゴン⁉︎ いるの⁉︎」
年甲斐もなく興奮に声が上ずった。
小さなころの絵本に始まり、ゲームに、物語に、ラノベに……ファンタジーものには欠かせないと思わせる圧巻の存在だろう。
生き物の頂点に立つイメージだったが、それはこの世界でも同様と聞いてどきどきと胸が高鳴って思わず木べらを放り出してカティノに飛びついてしまった。
「ドラゴンっ会いたいっ」
「会いたいって言っても……」
目の前の顔は「面倒」の言葉を隠しきっていないようだ。
「そう言わずに!」
「あー……ってか、ほぼ毎日会ってるだろ?」
「は⁉︎」
人も迷い込まないような森の中にあるこの小屋を訪れる人はいない。
せいぜい時折動物の声や木の揺れる音が聞こえるくらいで、あの巨体を見かけたことなんてなかった。
ぽかんとしているオレから視線が外れて、じゅうと音を立て始めたフライパンへと移る。
パチパチと音を立て始めたその肉はカティノが捌いてから持ってきてくれたもので……
「うまいだろ? ドラゴン」
「……」
鼻をくすぐる油の甘い匂いに思わずぐぅと腹が鳴った。
条件反射で思わずごくりと喉が鳴ったけれど、そうじゃないと慌てて首を振る。
「は?」
「ここのドラゴンは草食だから肉に臭みがなくて美味しいんだ。サイズも大きくなりすぎないし」
肉汁の始める音に反応してカティノの耳がぴくぴくと動く。
思わず床に崩れ落ちたオレを放り出して、カティノは木べらでちょいちょいとフライパンの肉を突いて「ひっくり返すか?」と尋ねてくる。
オレが毎日食べていたのがドラゴン……
知らない間に神話生物を食べていたのかと思うとこのまま倒れ伏したい気分だった。
焦げ目がこんがりとついたドラゴンの肉はいい感じに焼けていい匂いがしている。
元はドラゴンだったが切り身になってしまっているならしょうがない! オレができるのはいつも通り美味しく食べてしまうことだ。
「いただきます」
ぺちんと手を叩いていつも通りの言葉を言うと、肉にかじりついていたカティノが手を止めて首を傾げた。
「毎回言うそのまじないはなんだ?」
「え⁉︎ ……マリーン殿下は言ってなかった?」
いい年して今でも食事前に手を合わせるのは、母が毎回きちんと言うようにと言っていたからだ。
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