放課後教室

Kokonuca.

文字の大きさ
174 / 349
キスマーク

3

しおりを挟む




 ぐずぐずと泣きじゃくる葉人を宥めながら、威はアパートの扉を開け、その背中を押す。 

「じゃあ、俺は学校帰るから」 
「やだ」 

 体操着の裾を掴んで引き留める。 

「……傍に…」 

 そう言うと、威は困ったような顔をして葉人の涙を拭い、玄関へと入る。 

「葉が落ち着くまでな?」 
「やだ」 
「やだって…」 

 苦笑しながら葉人の部屋へと入り、座り込む。 

「……ごめんな」 
「っ…ぇ?」 
「勝手に、携帯見て…自分のかと思ったら、全然中身が違ってたから…」 
「…」 

 テーブルの上に携帯電話を出す。 
 威と同じ型のそれを見ながら、何度も涙を拭う。 

「換えたんだな」 
「…壊れたから」 
「……葉、ごめんな」 

 赤く腫れた目元を触られ、葉人の体が跳ねる。 

「俺…なんも知らなくて……葉が何されてるか…知らなくて……」 

 目元に触れた手が、頬を包み込む。 
 その温かさに、また葉人の目から涙が流れ出す。 

「葉、好きだ」 
「…っ駄目だよ…見ただろ?威にそう言って貰えるような体じゃないんだ」 

 こつん、と額がぶつけられる。 

「キスしていいか?」 
「やだ」 
「やだじゃないだろ」 

 いやいやするように首を振るが、頬を包み込んだ手に力が入ってその動きは封じられてしまう。 

「やだよ!威には…汚れて欲しくないっ」 
「お前なぁ…俺が綺麗だなんて錯覚、どこからきたんだよ」 
「……オレが、…………汚れてるから…」 

 頬の手を外そうと手を伸ばした瞬間、威の唇が強引に葉人の唇に重なる。 

「っ!?ん…っんん!」 

 どん…と威の胸を叩き、押し退けようとするがびくともしない。 

「葉。葉が汚れてるなら、俺は一緒に汚れたい」 
「…駄目だよ…っ……」 
「俺だけが、お前を抱きたい」 

 首筋に顔を埋めて吸い上げる。 
 上塗りされたそのキスマークに指を這わせ、ボタンを外していく。 

「威!?やめ…」 

 制止の手を押さえつけ、威の唇は葉人の胸元に散らされた赤い跡を追っていく。 
 ちゅっと吸い上げられる度に、葉人の体が跳ね上がり、ほんのりと赤みを帯びる。 

「んっ…や…っ…」 
「ムカつく」 
「…ぇ?」 
「葉にコレつけたヤツ、ムカつく」 

 新たに上塗りしたキスマークに満足そうな顔をしながら、威はそう真顔で言った。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【創作BL】溺愛攻め短編集

めめもっち
BL
基本名無し。多くがクール受け。各章独立した世界観です。単発投稿まとめ。

隣の親父

むちむちボディ
BL
隣に住んでいる中年親父との出来事です。

夜の公園でナンパしてきたタチを、タチが美味しく頂く話

ミクリ21 (新)
BL
タチがタチを食べる話。

水泳部合宿

RIKUTO
BL
とある田舎の高校にかよう目立たない男子高校生は、快活な水泳部員に半ば強引に合宿に参加する。

水泳部物語

佐城竜信
BL
タイトルに偽りありであまり水泳部要素の出てこないBLです。

若旦那からの甘い誘惑

すいかちゃん
BL
使用人として、大きな屋敷で長年奉公してきた忠志。ある日、若旦那が1人で淫らな事をしているのを見てしまう。おまけに、その口からは自身の名が・・・。やがて、若旦那の縁談がまとまる。婚礼前夜。雨宿りをした納屋で、忠志は若旦那から1度だけでいいと甘く誘惑される。いけないとわかっていながら、忠志はその柔肌に指を・・・。 身分差で、誘い受けの話です。 第二話「雨宿りの秘密」 新婚の誠一郎は、妻に隠れて使用人の忠志と関係を続ける。 雨の夜だけの関係。だが、忠志は次第に独占欲に駆られ・・・。 冒頭は、誠一郎の妻の視点から始まります。

男子寮のベットの軋む音

なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。 そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。 ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。 女子禁制の禁断の場所。

柔道部

むちむちボディ
BL
とある高校の柔道部で起こる秘め事について書いてみます。

処理中です...