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キスマーク
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しおりを挟むひょこひょこと足を引きずりながら歩く惨めさに、足元を見る目に涙が溜まった。
「……っ」
乱暴に涙を拭って振り返ると、そこには所在なげな威が立ち尽くしている。
「…」
「……」
なぜついてくるのかと、問いかける言葉を探していると、威が口を開いた。
「…送って…行くから」
ぽつんと耳に届いた言葉が理解できず、葉人は目を瞬かせた。
「え……?なに…?」
「何かあると、いけないから…」
小さな子供の言い訳のように言われた言葉に、かちんと来て威を睨み付ける。
「必要ない!今さら…何されたって……」
「…」
「もうついてくんなっ!!」
そう叫んで駆け出す。
小さな頃、喧嘩した後に同じ台詞を言った記憶がちらりと過る。
息をつめるようにして走り続け、限界を感じた瞬間立ち止まった。
「…は……っ…」
ざっと足音がしたのに気づいて振り返ると、息を切らしもしてない威が、やはり少し離れたところで立っていた。
「…なんで……ついて来るんだよ…」
「……」
迷う素振りを見せ、少し近寄ってくる。
「…葉を、守りたいんだ」
「…」
ポロ…と両目から涙が涙が落ち、葉人はたまらずその場にしゃがみこんだ。
「ぅ…な…なんなんだよ!何がしたいんだっ」
触れそうになれば手を引っ込め、近くにも寄らずにただ黙ってついてくる。
そんな威の行動が理解できず、葉人は泣きじゃくりながら首を振る。
すぐ傍で、声がした。
「触っても、いいか?」
「オレに触りたくないのはそっちじゃないかっ!!」
しゃがみこんだ自分に合わすように座り込んでいる威を突き飛ばす。
非力な葉が突いたぐらいでは、微かにバランスを崩すくらいしかできない。
「っあ………葉が…触られたく、ないんじゃないかって…」
拳を振り上げて威の胸を叩く。
「っ……ぅー…」
振り下ろす拳を受け止めながら、威はそっと葉人の背中に手を伸ばした。
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