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第三十四集
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容容は悩んでいた。
せっかく天祐さんが 働き出したというのに昼ご飯が食べれないでいるり学食はまずいと言うので弁当を持たせたけれど 今度は冷めてて食べたくないと残してきた。何も食べずに夕方まで毎日働いていては病気になってしまう。
何か方法を考えないと……。
3の57
仕事をしていた沈天祐は十二時のチャイムに昼食の時間だと手を止めた。それと同時にラインの通知が届く。容容からだ。
『今、大学の職員入り口に着きました』
それを見て思わず破顔する。冷たくて美味しくないと愚痴ると容容が出来たてを届けてくれると言ってくれた。これで温かくて美味しいご飯が食べられる。至れり尽くせり。
フッと笑みが漏れる。
容容を雇って良かった。
容容を迎えに行くとその足で一緒にカフェテリアに向かった。カフェテリアは大学の本館南側にある日当たりの良い所だ。テーブルが沢山並んでいて皆が思い思いに過ごしている。みんなの憩いの場だ。ここは飲食自由。食べ物を売る車が日替わりで停まる。
人の少ない場所に容容を連れて行くとさっそく風呂敷を解いた。すると、三段弁当が出て来た。目を見開く。まさか、ここまで凝った物を作ってくれるとは思わなかった。良い意味で期待を裏切らた。容容の頑張りに感謝だな。
弁当の蓋を開けると順番に並べる。
一段目は肉料理。
好物のおかずばかりだ。この揚げ鳥とカシューナッツの炒め物は特に美味しい。実はスーパーで蓉蓉がジッと見ていてから食べたいのかと気を利かせて買ってあげた。木の実だから酒のつまみ出てくるのかと思ったが料理になって出て来て驚いた。これが抜群に美味しい。
二段目はご飯。
食べやすいように小分けにしてある。こう言う小さな事に気がつくところに好感が持てる。
三段目はデザートの果物。
見るだけで涎が溜まる。
「頂きます」
早速ご飯を口に入れた。まだ、温かい。おかずも冷めてはいるが冷たくは無い。美味しさが広がる。蓉蓉が料理上手で本当に良かった。これで料理が下手だったらがっかりした事だろう。妹もたまに料理を作ったが可もなく不可もなくの出来だ。所謂微妙と言うやつだ。
3の58
容容は美味しそうに食べる天祐さんを見てホッと肩の力を抜いた。お弁当を残された原因が自分の料理の腕前ではと内心、心配していたが違ったようだ。ペットボトルのお茶をカバンから取り出すと緊張でカラカラになったのどをうるおす。
ジェットコースターに乗るくらいの大冒険だった。ここに来てやっと胃の痛みがなくなった。実は昨夜から時間通りに着けるか心配で、予定より一時間も早く家を出た。天祐さんは私がこの時代の人間だから何でも出来て当たり前だと思っている。でも、正直自転車にも乗れない。バスはお金が無くて乗った事が無い。実際、一人で電車に乗るのは初めてだった。歩いて通える範囲でしか移動したことが無い。でもその事を天祐さんに言い出せなかった。天祐さんの期待を裏切りたくない。その思いだけで頑張った。切符も買えた。間違えて反対方向の電車に乗ったりしたけど自力でたどり着けた。これで出来る事がまた一つ増えた。そんな自分が誇らしい。
何の気に求めず見逃していると食事の途中
なのに天祐さんが箸を止めた。ドキンと心臓が大きく打つと、その後は小刻みに震えだした。背中を冷たい物が流れる。失敗したの?
何? 味付けが濃かった?
音を立てないようにペットボトルから手を離すと両手を膝の上で組む。
(大丈夫。天祐さんは打ったりしない)
怒鳴られるのを覚悟で奥歯をかみしめた。
「自分の分は持って来てないのか?」
「はっ?……はい。お弁当ですから」
意外な質問に驚く。私は作る人。天祐が食べる人。そう答えると天祐が考え込む。
「容容」
「はっ、はい」
お茶を飲もうとした手が止まる。また何かあるの? 大人しくなった心臓がまた騒がしくなる。太ももの上に手を置く。
「明日から自分の分と二人分持って来い」
「えっ? でも……」
その意味を理解して 面食らう。
二人前作るのは何でもないが、私がここで一緒に食べるのはイケないような気がする。家の中ならまだしも外で一緒に食べるなど身分不相応だ。私は使用人。線引きは必要だ。
「一人飯は嫌だ」
「えっ? ああ……」
拗ねたような口調に口ごもる。私に不満そうな表情を見せる。
一人飯か……。
その気持ちはよくわかる。私の場合そもそも弁当を持って行くなど、菓子パン一つ買えない貧乏な我が家では無理だった。
それでもひとりぼっちの辛さは分かる。
水を飲んで空腹を満たし、誰にも見つからないようにトイレに隠れて終わるのを息を殺してまっていた。
「………」
そうだ。天祐さんも勤め始めて今日で四日目。一緒に食べる人が居ないんだろう。ここで私が断ったら、私と同じになってしまう。そんな悲しい思いをさせたくない。
「分かりました。明日から私の分も持ってきます」
「そうか。だったら後でスマホに入金するからそれで弁当箱を買えば良い」
満足気にニッコリと笑顔になった天祐さんがまた食べ始めた。
友達など居なかった私がアドバイスすることなど出来ないが、天祐さんには早く友達を作って欲しい。それまでは私がその代わりをしよう。そう小さく決意した。
3の59
張勇は小歌たちと天祐さんがカフェテリアで美女と弁当を食べているのを遠巻きに見ていた。
(きっと手作りに違いない)
学食で食べないで急に一人で食べると言い出したから、心配して密かに後を付けた。が、まさかの美女と待ち合わせをしていたとは思わなかった。天祐さんは凛として何処か近寄りがたい雰囲気がある。別に真面目で仕事で分から無い事があれば丁寧に教えてくれる。でも、どこか自分たちとは一線を引く何かがある。その秘密めいたところが我々を夢中にさせる。この四人で仕事をして三年になる。こうなるともはやマンネリだ。
刺激がない。
「あの女の人って奥さんかな?」
「えー。でも指輪してないよ」
流石、李水波は目ざとい。その指摘に美女の指を見た。確かに無い。白くほっそりとした手は指輪が映えそうだ。だけど美女にはそれが無い。
(天祐さんがけち臭いとは思わないが……)
皆で首を捻る。だが、仲の良さそうな感じに二人が特別な関係だと言う事だけは分かる。
「恋人だろう?」
「恋人が態々職場まで弁当を作って来るか?」
「それは付き合いたてだから?」
「ああ~、いいとこ見せようと張り切っちゃうんだよね」
張勇は隣の小歌に視線を向けた。言ったら作ってくれるだろうか?
3の60 東岳国 過去
俊豪は皇太子妃の呼び出しに東宮へと足を運んでいた。本物の徐有容が戻って来て五日。目撃情報も最初の二日だけ。それ以降はぱたりと無くなった。そんな中、妃殿下の呼び出しがかかった。
皇太子を暗殺した犯人だから気になるのは分かるが何故わざわざ私を呼び付けるんだ?
有蓉が脱獄したことは伏せてある。
それとも何処から秘密が漏れたのだろつか?
不安の種を抱えたまま首を捻る。妃殿下の侍女に案内されるままついて行く。
着いた先は庭園。妃殿下が早咲きの花を摘んでいた。部屋で会わないのは聞かれてくない話何だろう。俊豪は近くに行くと膝を折って
挨拶を口にしようとしたが、
「妃っ」
「下がりなさい」
私に気付いた妃殿下が官女たちに向って手を振る。出鼻をくじかれる形になり仕方なく口を閉じる。予想はしていたがまさかここまで徹底するとは考えが及ばなかった。嫌な感じだ。官女たちが横を通り過ぎて二人きりになった。もう一度挨拶しようとする私を黙らせるように花の枝を私の鼻に近付ける。
「どう、良い香りでしょ?」
満足そうに笑みを湛えるがその目には憂いが潜んでいる。
「……はい。良い香りです」
せっかく天祐さんが 働き出したというのに昼ご飯が食べれないでいるり学食はまずいと言うので弁当を持たせたけれど 今度は冷めてて食べたくないと残してきた。何も食べずに夕方まで毎日働いていては病気になってしまう。
何か方法を考えないと……。
3の57
仕事をしていた沈天祐は十二時のチャイムに昼食の時間だと手を止めた。それと同時にラインの通知が届く。容容からだ。
『今、大学の職員入り口に着きました』
それを見て思わず破顔する。冷たくて美味しくないと愚痴ると容容が出来たてを届けてくれると言ってくれた。これで温かくて美味しいご飯が食べられる。至れり尽くせり。
フッと笑みが漏れる。
容容を雇って良かった。
容容を迎えに行くとその足で一緒にカフェテリアに向かった。カフェテリアは大学の本館南側にある日当たりの良い所だ。テーブルが沢山並んでいて皆が思い思いに過ごしている。みんなの憩いの場だ。ここは飲食自由。食べ物を売る車が日替わりで停まる。
人の少ない場所に容容を連れて行くとさっそく風呂敷を解いた。すると、三段弁当が出て来た。目を見開く。まさか、ここまで凝った物を作ってくれるとは思わなかった。良い意味で期待を裏切らた。容容の頑張りに感謝だな。
弁当の蓋を開けると順番に並べる。
一段目は肉料理。
好物のおかずばかりだ。この揚げ鳥とカシューナッツの炒め物は特に美味しい。実はスーパーで蓉蓉がジッと見ていてから食べたいのかと気を利かせて買ってあげた。木の実だから酒のつまみ出てくるのかと思ったが料理になって出て来て驚いた。これが抜群に美味しい。
二段目はご飯。
食べやすいように小分けにしてある。こう言う小さな事に気がつくところに好感が持てる。
三段目はデザートの果物。
見るだけで涎が溜まる。
「頂きます」
早速ご飯を口に入れた。まだ、温かい。おかずも冷めてはいるが冷たくは無い。美味しさが広がる。蓉蓉が料理上手で本当に良かった。これで料理が下手だったらがっかりした事だろう。妹もたまに料理を作ったが可もなく不可もなくの出来だ。所謂微妙と言うやつだ。
3の58
容容は美味しそうに食べる天祐さんを見てホッと肩の力を抜いた。お弁当を残された原因が自分の料理の腕前ではと内心、心配していたが違ったようだ。ペットボトルのお茶をカバンから取り出すと緊張でカラカラになったのどをうるおす。
ジェットコースターに乗るくらいの大冒険だった。ここに来てやっと胃の痛みがなくなった。実は昨夜から時間通りに着けるか心配で、予定より一時間も早く家を出た。天祐さんは私がこの時代の人間だから何でも出来て当たり前だと思っている。でも、正直自転車にも乗れない。バスはお金が無くて乗った事が無い。実際、一人で電車に乗るのは初めてだった。歩いて通える範囲でしか移動したことが無い。でもその事を天祐さんに言い出せなかった。天祐さんの期待を裏切りたくない。その思いだけで頑張った。切符も買えた。間違えて反対方向の電車に乗ったりしたけど自力でたどり着けた。これで出来る事がまた一つ増えた。そんな自分が誇らしい。
何の気に求めず見逃していると食事の途中
なのに天祐さんが箸を止めた。ドキンと心臓が大きく打つと、その後は小刻みに震えだした。背中を冷たい物が流れる。失敗したの?
何? 味付けが濃かった?
音を立てないようにペットボトルから手を離すと両手を膝の上で組む。
(大丈夫。天祐さんは打ったりしない)
怒鳴られるのを覚悟で奥歯をかみしめた。
「自分の分は持って来てないのか?」
「はっ?……はい。お弁当ですから」
意外な質問に驚く。私は作る人。天祐が食べる人。そう答えると天祐が考え込む。
「容容」
「はっ、はい」
お茶を飲もうとした手が止まる。また何かあるの? 大人しくなった心臓がまた騒がしくなる。太ももの上に手を置く。
「明日から自分の分と二人分持って来い」
「えっ? でも……」
その意味を理解して 面食らう。
二人前作るのは何でもないが、私がここで一緒に食べるのはイケないような気がする。家の中ならまだしも外で一緒に食べるなど身分不相応だ。私は使用人。線引きは必要だ。
「一人飯は嫌だ」
「えっ? ああ……」
拗ねたような口調に口ごもる。私に不満そうな表情を見せる。
一人飯か……。
その気持ちはよくわかる。私の場合そもそも弁当を持って行くなど、菓子パン一つ買えない貧乏な我が家では無理だった。
それでもひとりぼっちの辛さは分かる。
水を飲んで空腹を満たし、誰にも見つからないようにトイレに隠れて終わるのを息を殺してまっていた。
「………」
そうだ。天祐さんも勤め始めて今日で四日目。一緒に食べる人が居ないんだろう。ここで私が断ったら、私と同じになってしまう。そんな悲しい思いをさせたくない。
「分かりました。明日から私の分も持ってきます」
「そうか。だったら後でスマホに入金するからそれで弁当箱を買えば良い」
満足気にニッコリと笑顔になった天祐さんがまた食べ始めた。
友達など居なかった私がアドバイスすることなど出来ないが、天祐さんには早く友達を作って欲しい。それまでは私がその代わりをしよう。そう小さく決意した。
3の59
張勇は小歌たちと天祐さんがカフェテリアで美女と弁当を食べているのを遠巻きに見ていた。
(きっと手作りに違いない)
学食で食べないで急に一人で食べると言い出したから、心配して密かに後を付けた。が、まさかの美女と待ち合わせをしていたとは思わなかった。天祐さんは凛として何処か近寄りがたい雰囲気がある。別に真面目で仕事で分から無い事があれば丁寧に教えてくれる。でも、どこか自分たちとは一線を引く何かがある。その秘密めいたところが我々を夢中にさせる。この四人で仕事をして三年になる。こうなるともはやマンネリだ。
刺激がない。
「あの女の人って奥さんかな?」
「えー。でも指輪してないよ」
流石、李水波は目ざとい。その指摘に美女の指を見た。確かに無い。白くほっそりとした手は指輪が映えそうだ。だけど美女にはそれが無い。
(天祐さんがけち臭いとは思わないが……)
皆で首を捻る。だが、仲の良さそうな感じに二人が特別な関係だと言う事だけは分かる。
「恋人だろう?」
「恋人が態々職場まで弁当を作って来るか?」
「それは付き合いたてだから?」
「ああ~、いいとこ見せようと張り切っちゃうんだよね」
張勇は隣の小歌に視線を向けた。言ったら作ってくれるだろうか?
3の60 東岳国 過去
俊豪は皇太子妃の呼び出しに東宮へと足を運んでいた。本物の徐有容が戻って来て五日。目撃情報も最初の二日だけ。それ以降はぱたりと無くなった。そんな中、妃殿下の呼び出しがかかった。
皇太子を暗殺した犯人だから気になるのは分かるが何故わざわざ私を呼び付けるんだ?
有蓉が脱獄したことは伏せてある。
それとも何処から秘密が漏れたのだろつか?
不安の種を抱えたまま首を捻る。妃殿下の侍女に案内されるままついて行く。
着いた先は庭園。妃殿下が早咲きの花を摘んでいた。部屋で会わないのは聞かれてくない話何だろう。俊豪は近くに行くと膝を折って
挨拶を口にしようとしたが、
「妃っ」
「下がりなさい」
私に気付いた妃殿下が官女たちに向って手を振る。出鼻をくじかれる形になり仕方なく口を閉じる。予想はしていたがまさかここまで徹底するとは考えが及ばなかった。嫌な感じだ。官女たちが横を通り過ぎて二人きりになった。もう一度挨拶しようとする私を黙らせるように花の枝を私の鼻に近付ける。
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