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第二十六集
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徐有容は買い物のためとスマホを差し出された。憧れのスマホ。自分とは一生縁がないと思っていた。それが目の前に……。
問題がある。スマホを見たことはあっても使った事も触ったことも無い。でもそう言って呆れられるのは嫌だ。でも、役に立たない奴と思われるのはもっと嫌だ。
だけど……使ったことがなにのに使える?
(どうしよう……)
迷っていると天祐さんが私の手をつかんで、てひらにスマホを乗せたから強制的に受け取ることになった。ズシリとした。スマホって重いんだ……。
「ちゃんとお金も入っているから何か必要なものがあったら使え。必要経費だ」
「あっ、はい」
そこまで言われたら断れない。私が出来る恩返しは料理を作ることなんだから。恐る恐る受け入れた。
頑張ろう。せめて支払いができるくらいには使えるようにしよう。皆が使ってるんだ。私だって使いこなせる!……多分。
「………」
でもその前に洗濯しよう。そっとテーブルにスマホを置くとその場から逃げた。不安、期待、失望、そんな気持ちがうずまいてしまう。
炊事の次は洗濯だ。
家事をやってるときが一番落ち着く。
「洗濯物があるなら出して下さい」と言うと下着や靴下などを山盛りに持ってくた。やっぱり、他の場所にもぬぎちらかしていたんだ。絶対、一度も洗濯して無い。
高級マンションに住んで、高級車に乗っているのに、どうしてメイドをやとわないんだろう? 受け取った洗濯物の汚れぐあいをたしかめながら疑問をぶつける。
「今迄どうしてたんですか?」
「どうしてって?」
「洗濯、掃除、食事です」
「んー。洗濯はしない。汚れたら買って来る。掃除はアレがしてくれる」
天祐さんが床をゆびさす。見るとお掃除ロボットがクルクル動きながら床を綺麗にしている。確かに床は綺麗になるが……窓は? お風呂は? 辺りを見まわすと至る所にほこりが……。
「食事は……適当に食べていた」
口調もそうだし、好物の一つも言わなかった。どう見てもこちらの時代の食事が口に合わないんだ。若渓さんが差しいれてくれた弁当は味が薄かった。こっちの時代の食事は全体的に味が濃い。
洗濯物を入れ終わって洗剤を手にとってた。
「それで洗うのか?」
天祐さんが怪訝そうに眉を寄せた。
「そうです」
「何が違うのだ?」
「用途が違います」
「ふ~ん」
天祐さんが不思議そうに容器を受け取るとクンクンと匂いをかぐ。確かに食器洗い用の洗剤と同じような液体だけど……。
これ以上質問さらても困るだけ。
おしまいと洗剤を返してもらうと規定量投入してスイッチを押すとドラムが回転しだした。
「それでこれからどうするんだ?」
「ブサーが鳴るまで何もしません」
「えっ?」
「全自動洗濯機です」
驚く天祐さんにそう答えた。信じられないのは分かる。昔は手仕事だったし。
「ぜんじどう?」
「………」
「それは……」
初めて聞く言葉に天祐さんが眉間にしわをよせる。だけど、何も知らないから電気から話すことになる。私では説明するのは無理だ。いろいろ聞かれる前に、
「さあさあ、とにかくそれまで待ってましょう」
そう言うと天祐さんの背中を押した。
ピカピカになったリビングを見てひたいの汗をふく。掃除機が欲しいところだけど高額だし私がこの家を出たらまたホコリをかぶりそうだ。そう考えると買ってとは言えない。バケツを持ってお風呂場に行くと天祐さんが洗濯機の前でしゃがみ込んで、ドラムの中をのぞいている。いつのまに……。
洗濯物がぐるぐる回っているだけなのに見ててあきないんだろうか?
「これで綺麗になるのか?」
私に気付いた天祐さんが、どうも信じられないと首をひねっている。すると、その事が洗濯機に伝わったのかピタリと動きが止まった。
「どっ、どうした!? ちっ、違う。誤解だ。私はお前を信じている。本当だ」
慌ててキゲンを取るようになでている。
見てはイケないモノを見てしまった。口元がゆるんで仕方ない。たんに配水するために止まってるのに、こわれたとかんちがいしている。すると、今度は洗濯機がはげしく回り出した。脱水だ。
「そうか、そうか、褒められたのが嬉しかったんだな」
ホッとしたような笑顔になった。それを見てふきだしそうになった。ぬき足さし足で洗濯機からはなれた。私なんかに笑われたらプライドが傷つくだろう。ここに、これ以上は危険だ。
**
天祐は殆んど音を立てない鉄箱をジッと観察したいた。全自動洗濯機……。何とも 摩訶不思議だ。こうしてタネを見せてるんだろうから、奇術とも違う。この時代の絡繰りは理解出来ない。回転しながら打ちつける。
(叩き洗いと言うやつか……)
何人もの人間が毎日する重労働の洗濯もここでは指一本。規則正しかったり そうじゃなかったり なんだか 翻弄されている気がする。
でも見飽きない。自然と口が弧を描いた。
✳✳✳
洗濯終了のブサーの音に洗面所に行くと天祐さんがまだのぞいていた。
「………」
珍しいのは分かる……。だけど、おもしろい? 何と言っていいか分からずこまってていると私に気付いた天祐さんがわきにどいた。気まずさを誤魔化すように会釈して洗濯機のフタを開けると洗濯物を取り出して乾燥機にうつす。
その間も私の後ろでずっと見ていた。何をしても驚いたり感心したりする。きっと初めて目にしているんだ。
朝からずっとこのちょうしだ。子供のように私のあとを付いて回っている。母親になった気分だ。野菜を切っても、食器を洗っても面白そうに見ている。
その後、乾いた洗濯物をテーブルの上に種類別にたたんで並べていると、天祐さんがまねをしだした。今は見よう見まねで楽しそうにタオルを畳んだり、同じ組の靴下を探したりしている。その姿に首をかしげる。炊飯器もろくに使えないのにどうして、車の運転とか出来るんだろう。教習所に通ったとも思えない。
「天祐さんは今まで生活にこまったことは無かったんですか?」
「別に」
軽く流されてしまった。絶対信じられない。見栄を張ってるんだ。
「コンビニでの買い物はどうしたんですか?」
良く名前の出てくる王元さんが力を貸してあげたんだろうか?
「見て覚えた」
「見て!?」
「そうだ。やりたい事があったらそれをしている人間を二、三人見ればどういう手順で動けば分かるだろう」
「………」
いやいや、それで出来るならだれもくろうしない。物覚えがいいのか、天才なのか。
私ならおしてえくれる人がいなかったら買い物も一人で出来ない。
「じゃあ、スマホはどうしたんですか?」
洗濯機とは違う 見て覚えるの限界がある。
「説明書を読んだ」
「あの分厚いのをですか?」
「そうだ」
軽くうなずく。うそじゃない。説明書を読む人は絶滅したと思っていたけどここに居た。
(地頭がちがうんだ)
感心して見ていると、
「分からないことは。これをこうすれば何でも答えてくれる」
そう言って天祐がお尻のポケットからスマホを取り出すと口を近付けた。
「説明書の意味を教えて」
もう使いこなしてる。打ち込むより確かに声の方が早い。
「そうだ」
天祐さんが何か思い出したようにスマホを熱心に操作しだした。とても昔の人間とは思えない。そんな姿にあこがれる。天祐さんがいれば何でも解決してくれそうだ。すいすいとスマホの画面をスクロールしている。
何か見せたい物でもあるのだろうか? 大人しく待っていると、
「ほら、これを見て見ろ」
天祐さんがスマホの画面を見せる。どこかのキャバクラのホームページだ。綺麗に着飾ったキャバ嬢の女の人たちが並んでいる。
その中の一人の紹介画面をゆびさした。
「あっ、これ……」
その画面を見て目を見開く。初めて本物の徐有蓉を見た。
問題がある。スマホを見たことはあっても使った事も触ったことも無い。でもそう言って呆れられるのは嫌だ。でも、役に立たない奴と思われるのはもっと嫌だ。
だけど……使ったことがなにのに使える?
(どうしよう……)
迷っていると天祐さんが私の手をつかんで、てひらにスマホを乗せたから強制的に受け取ることになった。ズシリとした。スマホって重いんだ……。
「ちゃんとお金も入っているから何か必要なものがあったら使え。必要経費だ」
「あっ、はい」
そこまで言われたら断れない。私が出来る恩返しは料理を作ることなんだから。恐る恐る受け入れた。
頑張ろう。せめて支払いができるくらいには使えるようにしよう。皆が使ってるんだ。私だって使いこなせる!……多分。
「………」
でもその前に洗濯しよう。そっとテーブルにスマホを置くとその場から逃げた。不安、期待、失望、そんな気持ちがうずまいてしまう。
炊事の次は洗濯だ。
家事をやってるときが一番落ち着く。
「洗濯物があるなら出して下さい」と言うと下着や靴下などを山盛りに持ってくた。やっぱり、他の場所にもぬぎちらかしていたんだ。絶対、一度も洗濯して無い。
高級マンションに住んで、高級車に乗っているのに、どうしてメイドをやとわないんだろう? 受け取った洗濯物の汚れぐあいをたしかめながら疑問をぶつける。
「今迄どうしてたんですか?」
「どうしてって?」
「洗濯、掃除、食事です」
「んー。洗濯はしない。汚れたら買って来る。掃除はアレがしてくれる」
天祐さんが床をゆびさす。見るとお掃除ロボットがクルクル動きながら床を綺麗にしている。確かに床は綺麗になるが……窓は? お風呂は? 辺りを見まわすと至る所にほこりが……。
「食事は……適当に食べていた」
口調もそうだし、好物の一つも言わなかった。どう見てもこちらの時代の食事が口に合わないんだ。若渓さんが差しいれてくれた弁当は味が薄かった。こっちの時代の食事は全体的に味が濃い。
洗濯物を入れ終わって洗剤を手にとってた。
「それで洗うのか?」
天祐さんが怪訝そうに眉を寄せた。
「そうです」
「何が違うのだ?」
「用途が違います」
「ふ~ん」
天祐さんが不思議そうに容器を受け取るとクンクンと匂いをかぐ。確かに食器洗い用の洗剤と同じような液体だけど……。
これ以上質問さらても困るだけ。
おしまいと洗剤を返してもらうと規定量投入してスイッチを押すとドラムが回転しだした。
「それでこれからどうするんだ?」
「ブサーが鳴るまで何もしません」
「えっ?」
「全自動洗濯機です」
驚く天祐さんにそう答えた。信じられないのは分かる。昔は手仕事だったし。
「ぜんじどう?」
「………」
「それは……」
初めて聞く言葉に天祐さんが眉間にしわをよせる。だけど、何も知らないから電気から話すことになる。私では説明するのは無理だ。いろいろ聞かれる前に、
「さあさあ、とにかくそれまで待ってましょう」
そう言うと天祐さんの背中を押した。
ピカピカになったリビングを見てひたいの汗をふく。掃除機が欲しいところだけど高額だし私がこの家を出たらまたホコリをかぶりそうだ。そう考えると買ってとは言えない。バケツを持ってお風呂場に行くと天祐さんが洗濯機の前でしゃがみ込んで、ドラムの中をのぞいている。いつのまに……。
洗濯物がぐるぐる回っているだけなのに見ててあきないんだろうか?
「これで綺麗になるのか?」
私に気付いた天祐さんが、どうも信じられないと首をひねっている。すると、その事が洗濯機に伝わったのかピタリと動きが止まった。
「どっ、どうした!? ちっ、違う。誤解だ。私はお前を信じている。本当だ」
慌ててキゲンを取るようになでている。
見てはイケないモノを見てしまった。口元がゆるんで仕方ない。たんに配水するために止まってるのに、こわれたとかんちがいしている。すると、今度は洗濯機がはげしく回り出した。脱水だ。
「そうか、そうか、褒められたのが嬉しかったんだな」
ホッとしたような笑顔になった。それを見てふきだしそうになった。ぬき足さし足で洗濯機からはなれた。私なんかに笑われたらプライドが傷つくだろう。ここに、これ以上は危険だ。
**
天祐は殆んど音を立てない鉄箱をジッと観察したいた。全自動洗濯機……。何とも 摩訶不思議だ。こうしてタネを見せてるんだろうから、奇術とも違う。この時代の絡繰りは理解出来ない。回転しながら打ちつける。
(叩き洗いと言うやつか……)
何人もの人間が毎日する重労働の洗濯もここでは指一本。規則正しかったり そうじゃなかったり なんだか 翻弄されている気がする。
でも見飽きない。自然と口が弧を描いた。
✳✳✳
洗濯終了のブサーの音に洗面所に行くと天祐さんがまだのぞいていた。
「………」
珍しいのは分かる……。だけど、おもしろい? 何と言っていいか分からずこまってていると私に気付いた天祐さんがわきにどいた。気まずさを誤魔化すように会釈して洗濯機のフタを開けると洗濯物を取り出して乾燥機にうつす。
その間も私の後ろでずっと見ていた。何をしても驚いたり感心したりする。きっと初めて目にしているんだ。
朝からずっとこのちょうしだ。子供のように私のあとを付いて回っている。母親になった気分だ。野菜を切っても、食器を洗っても面白そうに見ている。
その後、乾いた洗濯物をテーブルの上に種類別にたたんで並べていると、天祐さんがまねをしだした。今は見よう見まねで楽しそうにタオルを畳んだり、同じ組の靴下を探したりしている。その姿に首をかしげる。炊飯器もろくに使えないのにどうして、車の運転とか出来るんだろう。教習所に通ったとも思えない。
「天祐さんは今まで生活にこまったことは無かったんですか?」
「別に」
軽く流されてしまった。絶対信じられない。見栄を張ってるんだ。
「コンビニでの買い物はどうしたんですか?」
良く名前の出てくる王元さんが力を貸してあげたんだろうか?
「見て覚えた」
「見て!?」
「そうだ。やりたい事があったらそれをしている人間を二、三人見ればどういう手順で動けば分かるだろう」
「………」
いやいや、それで出来るならだれもくろうしない。物覚えがいいのか、天才なのか。
私ならおしてえくれる人がいなかったら買い物も一人で出来ない。
「じゃあ、スマホはどうしたんですか?」
洗濯機とは違う 見て覚えるの限界がある。
「説明書を読んだ」
「あの分厚いのをですか?」
「そうだ」
軽くうなずく。うそじゃない。説明書を読む人は絶滅したと思っていたけどここに居た。
(地頭がちがうんだ)
感心して見ていると、
「分からないことは。これをこうすれば何でも答えてくれる」
そう言って天祐がお尻のポケットからスマホを取り出すと口を近付けた。
「説明書の意味を教えて」
もう使いこなしてる。打ち込むより確かに声の方が早い。
「そうだ」
天祐さんが何か思い出したようにスマホを熱心に操作しだした。とても昔の人間とは思えない。そんな姿にあこがれる。天祐さんがいれば何でも解決してくれそうだ。すいすいとスマホの画面をスクロールしている。
何か見せたい物でもあるのだろうか? 大人しく待っていると、
「ほら、これを見て見ろ」
天祐さんがスマホの画面を見せる。どこかのキャバクラのホームページだ。綺麗に着飾ったキャバ嬢の女の人たちが並んでいる。
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