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第十集
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徐有容は一日三食おいしいものを食べ、一人の時間を持て余していたが平和だった。
今日の役目を終え安心して眠っていたが、ハッとして目を開けた。部屋の西の方が明るい。横になるつもりが いつの間にか眠ってしまったようだ。
起き上がろう。そう思ったのに、何かが 押しとどめる。 胸がざわざわして落ち着かない。
物音や気配には敏感な方だ。
どんなに夜遅くても、体調が悪いときでも自然と目が覚めた。泥酔したお父さんがドアを開けようとした時のような、トイレの頭上からバケツが落ちてくるような……。
この不安はどこから来るんだろう。
耳をすまし、目をこらす。しかし、何の音もしないし何も見えない。気のせい?
(………)
違う。何かを見落としている。
もう一度、確かめようと上を見た。
いつも通り天井のハリが自分を見下ろしている。そう見下ろして……。ピクッと 指が動く。
ハリの上を何かが動いているのが見えた。
何? 人ではない。 ネズミ? リス? でも木をひっかく 爪の音がしない。
集中して見ていると、そのモノが動く度に右に左に姿が見え隠れする。
あの鱗、そしてこのドクトクの動きは……。
蛇だ!
そう思った瞬間、ボトッと音を立てて蛇が布団の上に落ちてきて反射的に跳ね起きて、
『ひぃー!』
声にならない悲鳴をあげた。
ヘビが、かま首をもたげてチロチロと赤い舌を出しながら私を見ている。
じっとりと手に汗をかく。逃げないと。
身を守ろうと、枕を抱えた。
血の気が一気に引く。少しでも動いたら飛びかかって来そうだ。
「おっ、おっ、おとなしくしててね。いい子だから。ねっ」
有容は刺激しないように、蛇からは目を離さなずゆっくりと動いて寝台から降りると、そろりそろりと扉の所まで移動した。
トントン
扉を叩いて見張りの兵を呼ぶ。今すぐ外に出たい。小窓が開いて見張りの兵が顔を出した。有容は寝台をゆびさす。
「何だ?」
「蛇。蛇が居るの。寝台を見て!」
兵士の視線が私のしめす方を見たトタン顔色が変わった。蛇はあいかわらずこっちを見ている。ガチャガチャと鍵の開く音を聞きながら襲ってきたらすぐに逃げられるようにジッと見てた。本当は見たくない。でも不意をつかれる方がもっと怖い。
扉が開けくと、後は任せたと転がり出る。と、同時に兵が中に入った。
(助かった……)
バクバクと打っている胸を宥めようと掴んだ。やっと安心して息が吸える。これで兵士が退治してくれれば問題ない。
だけど、あの蛇はどこから入って来たんだろう。入りこむスキマなど無かったはずだ。毎日掃除をしてるから分かる。偶然入り込むのは無理だ。誰かがわざと入れたんだ。
(一体誰が?)
本物の徐有蓉を憎んでいる人? そう考えれば 頷ける。何はともあれこれで安心だ。
有容は扉の前で兵が出てくるのを待っていた。だけど、部屋からは何の音もしないし、兵が出てくる気配も無い。争うような音もしない。嫌な予感がする。
(………)
もしかして退治する前に蛇にかまれたの?
どうしよう……。
もしそうなら私のせいだ。
もしかして死んだ?
蛇は、すばしっこいからやられちゃった?
どうしよう……。助けに入った方が良いのかな? でも……相手は蛇だ。自分も死ぬかと思うと怖い。だけど、私なんかの代わりに死なせたのかと思うと、申し訳ないない気持ちでいっぱいだ。
(どうしよう……。どうしよう)
心臓がバクバクする。胸が締め付けられて、背中が曲がる。逃げ出したい。でも、それは出来ない。
「………」
中に入った方がいいのかな?
でも、すでにかまれていたら、その間に毒が回っちゃう。誰か助けを呼びに行った方がいいのかな?どうしよう……。
「………」
怖いが確かめないわけには行かない。そっと扉に近付くと両手を着く。しかし、勇気が出ない。聞き耳を立てる。しかし、何の音もしない。どうしよう……。開けるのが怖い。開けた途端蛇がおそって来るかも……。
早くしないと。でも、役立たずの私に人を助けなど出来る? 無理だ。私では何も出来ない。……私以外の人なら助けられる。そうだ。そうしよう。きびすを返そうと扉に背を向けた。すると、いきなり口をふさがられた。
誰? 何?
恐怖にちぢみ上がった。次は私だ。
首のあたりに強い衝撃を受けて一気に目の前が真っ暗になった。
2の20
「俊豪様!」
慌てた様子の応時の声に俊豪は素早く立ち上がった。どうやら敵が動いたようだ。
小徐有蓉の元へ並んで歩きなが報告を聞く。
「刺客が来たか?」
「はい。刺客が現れました」
よしよし。心の中で予感が的中した事を喜ぶ。小徐有蓉を殺すにしても、敷地の中では簡単に逃げられないから 絶対外に連れ出すと思った。小徐有蓉の見張りは扉の前に立っている者だけではない。見張りが立つところに 紐を設置して持ち場を離れたら 待機場の呼子が鳴るようになっている。
(このことは他のものは知らないが、小有容が居る場所はこの大理寺の中央にある)
他にも見えない処にも多くの者を配置している。牢に急いでいると、向こうから何か言いたそうな顔の配下の者が近づいて来る。
目配せして、軽く頷くと、足を止める事無く話を促す。
「そうか、それで何処へ逃げた。もう、追跡しているのか?」
「はい」
「良し!」
今度こそ本物が釣れたぞ。
これで黒幕の正体が掴めそうだ。期待に胸が膨らむ。更に足を速めた。
回廊を走っていると瓦の割れる音に空を見る。屋根の上を刺客が走って行く。その後を配下の者が追て行く。
もう引き上げるのか? まさか小徐有蓉が殺されたのか? 応時と顔を見合わせる。
まずい、まずいぞ。これは計画に入ってない。自分たちも追いかけようとすると、別の配下の者が私の前に膝ずく。
「俊豪様」
「小徐有蓉は無事か?」
「無事です」
その言葉に顔には出さないが安堵した。死んでしまったら後味が悪いし、自分の無能さを露呈するようで嫌だった。若渓にも合わせる顔がない。
策士策に溺れる、とでも言われそうだ。
「それは何よりだ。早々に刺客を捕らえろ。お前たちは下から刺客を追え。応時、お前が指揮を取れ」
「御意」
配下の者たちと一緒に応時行くのを見送ると、自分は小徐有蓉の、元へ急いだ。
小徐有蓉運び込まれた部屋に着くと数人の配下が入り口の前に立っていた。
「「俊豪様!」」
挨拶しようとする配下を止めて部屋の中に入る。
「小徐有蓉に怪我はないか?」
「気絶しただけです」
奥の寝台の上に小徐有蓉の姿がある。無事な姿にホッと胸を撫で下ろした。確認の為に首筋に指を当てる。規則正しく脈っている。
「俊豪様。これを」
割れた小瓶を配下が手巾に乗せて差し出す。
懐から手巾を出して破片を掴んで匂いを嗅ぐ。
この匂い……毒で間違いない。毒殺しようとしたところを失敗したか?
確かにこれなら発見が遅くなる。そうなれば逃げ切る。考えが及ばなかった。
(………)
人の気配に振り返ると応時がこうべを垂れている。
(逃げられたか……)
「申し訳ありません。見失いました」
「気にするな。まだそう遠くへ行ったないはずだ。引き続きよく探せ」
「御意」
応時が立ち去ると近くに居た配下に欠片を手巾ごと渡す。
「これの出所を調べろ」
ゆっくり寝かせて上げたいが犯人を捕まえるためにはいち早く情報が欲しい。
小徐有蓉を後ろから抱き起して気を入れる。
「えっ? 俊豪……さん……」
「大丈夫か?」
声をかけたが意識がハッキリしてないようで目を細めて私を見ていた。しかしハッとしたように目を見開いた。
「……そうだ。蛇です。蛇が部屋に居たんです」
「蛇?」
刺客は小徐有蓉に毒を飲ませようとしてしくじり、姿を現したはずなのに……。
蛇とはどう言う事だ? 予想しない言葉に眉を顰めた。
今日の役目を終え安心して眠っていたが、ハッとして目を開けた。部屋の西の方が明るい。横になるつもりが いつの間にか眠ってしまったようだ。
起き上がろう。そう思ったのに、何かが 押しとどめる。 胸がざわざわして落ち着かない。
物音や気配には敏感な方だ。
どんなに夜遅くても、体調が悪いときでも自然と目が覚めた。泥酔したお父さんがドアを開けようとした時のような、トイレの頭上からバケツが落ちてくるような……。
この不安はどこから来るんだろう。
耳をすまし、目をこらす。しかし、何の音もしないし何も見えない。気のせい?
(………)
違う。何かを見落としている。
もう一度、確かめようと上を見た。
いつも通り天井のハリが自分を見下ろしている。そう見下ろして……。ピクッと 指が動く。
ハリの上を何かが動いているのが見えた。
何? 人ではない。 ネズミ? リス? でも木をひっかく 爪の音がしない。
集中して見ていると、そのモノが動く度に右に左に姿が見え隠れする。
あの鱗、そしてこのドクトクの動きは……。
蛇だ!
そう思った瞬間、ボトッと音を立てて蛇が布団の上に落ちてきて反射的に跳ね起きて、
『ひぃー!』
声にならない悲鳴をあげた。
ヘビが、かま首をもたげてチロチロと赤い舌を出しながら私を見ている。
じっとりと手に汗をかく。逃げないと。
身を守ろうと、枕を抱えた。
血の気が一気に引く。少しでも動いたら飛びかかって来そうだ。
「おっ、おっ、おとなしくしててね。いい子だから。ねっ」
有容は刺激しないように、蛇からは目を離さなずゆっくりと動いて寝台から降りると、そろりそろりと扉の所まで移動した。
トントン
扉を叩いて見張りの兵を呼ぶ。今すぐ外に出たい。小窓が開いて見張りの兵が顔を出した。有容は寝台をゆびさす。
「何だ?」
「蛇。蛇が居るの。寝台を見て!」
兵士の視線が私のしめす方を見たトタン顔色が変わった。蛇はあいかわらずこっちを見ている。ガチャガチャと鍵の開く音を聞きながら襲ってきたらすぐに逃げられるようにジッと見てた。本当は見たくない。でも不意をつかれる方がもっと怖い。
扉が開けくと、後は任せたと転がり出る。と、同時に兵が中に入った。
(助かった……)
バクバクと打っている胸を宥めようと掴んだ。やっと安心して息が吸える。これで兵士が退治してくれれば問題ない。
だけど、あの蛇はどこから入って来たんだろう。入りこむスキマなど無かったはずだ。毎日掃除をしてるから分かる。偶然入り込むのは無理だ。誰かがわざと入れたんだ。
(一体誰が?)
本物の徐有蓉を憎んでいる人? そう考えれば 頷ける。何はともあれこれで安心だ。
有容は扉の前で兵が出てくるのを待っていた。だけど、部屋からは何の音もしないし、兵が出てくる気配も無い。争うような音もしない。嫌な予感がする。
(………)
もしかして退治する前に蛇にかまれたの?
どうしよう……。
もしそうなら私のせいだ。
もしかして死んだ?
蛇は、すばしっこいからやられちゃった?
どうしよう……。助けに入った方が良いのかな? でも……相手は蛇だ。自分も死ぬかと思うと怖い。だけど、私なんかの代わりに死なせたのかと思うと、申し訳ないない気持ちでいっぱいだ。
(どうしよう……。どうしよう)
心臓がバクバクする。胸が締め付けられて、背中が曲がる。逃げ出したい。でも、それは出来ない。
「………」
中に入った方がいいのかな?
でも、すでにかまれていたら、その間に毒が回っちゃう。誰か助けを呼びに行った方がいいのかな?どうしよう……。
「………」
怖いが確かめないわけには行かない。そっと扉に近付くと両手を着く。しかし、勇気が出ない。聞き耳を立てる。しかし、何の音もしない。どうしよう……。開けるのが怖い。開けた途端蛇がおそって来るかも……。
早くしないと。でも、役立たずの私に人を助けなど出来る? 無理だ。私では何も出来ない。……私以外の人なら助けられる。そうだ。そうしよう。きびすを返そうと扉に背を向けた。すると、いきなり口をふさがられた。
誰? 何?
恐怖にちぢみ上がった。次は私だ。
首のあたりに強い衝撃を受けて一気に目の前が真っ暗になった。
2の20
「俊豪様!」
慌てた様子の応時の声に俊豪は素早く立ち上がった。どうやら敵が動いたようだ。
小徐有蓉の元へ並んで歩きなが報告を聞く。
「刺客が来たか?」
「はい。刺客が現れました」
よしよし。心の中で予感が的中した事を喜ぶ。小徐有蓉を殺すにしても、敷地の中では簡単に逃げられないから 絶対外に連れ出すと思った。小徐有蓉の見張りは扉の前に立っている者だけではない。見張りが立つところに 紐を設置して持ち場を離れたら 待機場の呼子が鳴るようになっている。
(このことは他のものは知らないが、小有容が居る場所はこの大理寺の中央にある)
他にも見えない処にも多くの者を配置している。牢に急いでいると、向こうから何か言いたそうな顔の配下の者が近づいて来る。
目配せして、軽く頷くと、足を止める事無く話を促す。
「そうか、それで何処へ逃げた。もう、追跡しているのか?」
「はい」
「良し!」
今度こそ本物が釣れたぞ。
これで黒幕の正体が掴めそうだ。期待に胸が膨らむ。更に足を速めた。
回廊を走っていると瓦の割れる音に空を見る。屋根の上を刺客が走って行く。その後を配下の者が追て行く。
もう引き上げるのか? まさか小徐有蓉が殺されたのか? 応時と顔を見合わせる。
まずい、まずいぞ。これは計画に入ってない。自分たちも追いかけようとすると、別の配下の者が私の前に膝ずく。
「俊豪様」
「小徐有蓉は無事か?」
「無事です」
その言葉に顔には出さないが安堵した。死んでしまったら後味が悪いし、自分の無能さを露呈するようで嫌だった。若渓にも合わせる顔がない。
策士策に溺れる、とでも言われそうだ。
「それは何よりだ。早々に刺客を捕らえろ。お前たちは下から刺客を追え。応時、お前が指揮を取れ」
「御意」
配下の者たちと一緒に応時行くのを見送ると、自分は小徐有蓉の、元へ急いだ。
小徐有蓉運び込まれた部屋に着くと数人の配下が入り口の前に立っていた。
「「俊豪様!」」
挨拶しようとする配下を止めて部屋の中に入る。
「小徐有蓉に怪我はないか?」
「気絶しただけです」
奥の寝台の上に小徐有蓉の姿がある。無事な姿にホッと胸を撫で下ろした。確認の為に首筋に指を当てる。規則正しく脈っている。
「俊豪様。これを」
割れた小瓶を配下が手巾に乗せて差し出す。
懐から手巾を出して破片を掴んで匂いを嗅ぐ。
この匂い……毒で間違いない。毒殺しようとしたところを失敗したか?
確かにこれなら発見が遅くなる。そうなれば逃げ切る。考えが及ばなかった。
(………)
人の気配に振り返ると応時がこうべを垂れている。
(逃げられたか……)
「申し訳ありません。見失いました」
「気にするな。まだそう遠くへ行ったないはずだ。引き続きよく探せ」
「御意」
応時が立ち去ると近くに居た配下に欠片を手巾ごと渡す。
「これの出所を調べろ」
ゆっくり寝かせて上げたいが犯人を捕まえるためにはいち早く情報が欲しい。
小徐有蓉を後ろから抱き起して気を入れる。
「えっ? 俊豪……さん……」
「大丈夫か?」
声をかけたが意識がハッキリしてないようで目を細めて私を見ていた。しかしハッとしたように目を見開いた。
「……そうだ。蛇です。蛇が部屋に居たんです」
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