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聞きたくない

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---ドンドンドン

部屋を叩く音が鳴り止まない。
何も聞きたくなくて布団にくるまり耳を塞ぐ。

「大丈夫、大丈夫、怖くない、怖くない、怖くない」

そう言葉にして自分の声のみが頭に響くように魔法の言葉のように唱え続ける。

ドアの外でれおんが何か叫んでいることはわかっているが何も聞こえない、聞こえない、聞こえない。

心臓がバクバクと早く動くのを感じる。鎮まれ。鎮まれ。

大丈夫だから。大丈夫。
落ち着け、落ち着け。

落ち着いたらちゃんと話すから、だから落ち着いてくれ。

そう思って口に出しながら目を閉じるのに、浮かんでくるのは先ほどの光景。
翔くんの冷たい目、れおんの動揺した目、2人が運命の番だという事実。

すべてを受け入れるにはこんな数分じゃ足りなくて、かといって時間が経てば受け入れられるのかも分からない。

れおんと話をしなければいけないことだってわかっている。でも今話すと言いたくないことまで言ってしまいそうでそれで嫌われるのが怖くて翔くんに向けられたような冷たい目を向けられたらどうしようって、嫌われたらどうしようってそんなことを思うばかりで、もし、もし運命の番の方がいいって言われたら?嫌だ、捨てられてしまうのが何より怖い。






----バァン!!!


な、なに!?!?

聞いたことないくらい大きい音がして布団から頭を出すとドアが壊れていた。蝶番の一つ目が取れて、斜めっているドアがそこにあった。れおんが立っているってことはおそらくれおんが蹴破ったんだろう。

スタスタとこちらに歩いてくるれおんが怖くてまた布団に入って耳を塞ぐ。
お願い、何も言わないで。

「っ、、、~~っ、」

れおんは何も言わずに僕を布団から出して抱きしめた。
いつもより余裕がないのか抱きしめる力が少し強くて苦しいくらいだ。それなのに、こんなに強く抱きしめられて、涙が出る僕もよっぽどだな。

「愛してる。俺が愛してるのは周だけ。」

翔くんのことには触れずに、何分も、何十分もの間れおんは僕にただただ愛を呟いてくれた。抱きしめている力を緩めることもなく、それ以外特にすることもなく、ただただ愛してると、好きだと、僕だけだと言い続けてくれた。




「・・・ごめん、取り乱した。」

「それは俺もだから。・・・4・話聞いてくれる?」

「その前に一個聞いていい?」

「うん。何でも聞いて。」

「僕はここにいていいの?」

言い終わると同時にまた強く抱きしめられた。

「いいに決まってる。というか、いないと困る。さっきまでもあんなに愛してるっていっただろ?周だけだって言っただろ?ここから出てくって言うなら周を監禁するしかなくなるけどいい?」

「・・・れおんになら監禁されてもいいかもね。」

そう言った僕を泣きそうになりながら抱きしめてくれるれおゆに、それ以上何も言えなかった。
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