伸ばしたこの手を掴むのは〜愛されない俺は番の道具〜

にゃーつ

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検査が全て終わってはや君の診察を受けたがどこにも異常はなかった。頭に少し傷があるから包帯はされちゃったけど・・・

優がこれみたら心配させちゃうだろうな。今日のこと優には話したくない。優のお母さんと俺とのことだから優には話しずらいし。優があんなに優しくて賢い子に育ってくれたのは育ててくれていた柊さんと奥さんだから。

「お、おかえりー。日和ちゃんは良い子にお菓子食べてたよー。」

「幹也さん、あんたまで一緒にお菓子食ってんじゃねえか。大人なんだから遠慮ぐらいしろよ。」

「松本先生~そんな堅いこと言わないでよ。俺はいつまでも子供心忘れねえよ?」

「はぁ。ほら楓ベッド移動するぞ。今日は俺が抱えるから首に手回せ。」

いつもなら何の抵抗もなく、当たり前のようにはや君に抱え上げられるのにさっきはや君の気持ちを聞いたから少し気まずい。

「楓、気にすんな。今はただの医者と患者だ。」

はや君が小声でそう言ってくれなきゃ幹也さんや日和に変に思われていたかもしれない。

「楓、俺は診察戻るからな?なんかあったら呼ぶんだぞ。」

そう言ってはや君は病室を出てしまった。俺、何にもはや君に言えなかった。はや君は今はいいって言っていたけどそれって俺が答え出すまではや君はずっと待ち続けるんだよね?そのことがどうしても気にかかってしまった。

---ドタドタドタ

ん?

---バンッ!!!

「ママっ!!」

「優っ!」

「ママ!頭の怪我どうしたの?なんで?何で怪我してるの?朝は元気だったじゃん!」

理玖さんはここに奥さんが来たことは優に話さずにいてくれたみたいだ。

「優、大丈夫だよ?ちょっと頭打っただけなんだ。」

「ねえ何があったの?日和がお母さんに連れられて本家からいなくなったのに日和がここにいるってことはお母さんがここに来たんでしょ?お願い、本当のこと教えて?ママが1人で泣くの俺嫌だ。」
 
「・・・優。分かったよ、夜2人の時に話す。それでもいい?」

「うん。ママ、抱っこして。」

「ほら、おいで。」

「ごめんなさい。俺が、俺がママの近くにいなかったから。」

「何で優が謝るんだよ。お前は何も悪くないだろ。俺はこうやって優を抱っこできて幸せなんだからもう終わったことなんだし。な?」

「うん。」

泣きそうになっている優を抱きしめて背中をトントンとしてやっているとソファに座っていた日和がこちらにトタトタとやってきて優に触れている俺の手に小さい手を重ねた。

「おにいちゃん、かなしいの?」

「日和ちゃん・・・。優は今ちょっとだけ悲しくてこうしていたいだけだから。」

「ひよもだっこしてほしい。」

「・・・いいの?」

「うん!だっこ!!」

優を抱えたままだと抱え上げることはできないなって思っていると幹也さんが日和をベッドの上に上げてくれた。

そのおかげで俺は2人を同時に抱っこすることができた。・・・重たいな、でも、すごい幸せな重みだ。

「へへっ、子供でも2人抱えれば重たいんだね。知らなかったっ、、っ、、、。」

「じゃあ3人ならもっと思いってのも経験してみようか。」

そんな理玖さんの言葉とほぼ同時に俺の太ももに乗ってる2人の奥に少し重みが加わった。そこに目をやると赤ちゃんが乗っていた。

「にいに!!ねえね!!」

「あ!ようすけだ!!」

日和が俺の上に乗ったまま後ろを振り返りその赤ちゃんの名前をそう言った。

「楓君、兄弟全員集合だ。」

「・・・優と、日和と、・・・陽介。」

「ママ、俺一旦退くから日和と陽介抱っこしてあげてよ。」

さっきまで泣いててまだまだ抱っこしてて欲しいくせに強がる優は今日の夜思いっきり抱きしめてあげようと思う。優が俺の横にずれて陽介を抱き上げ俺の目の前に連れて来た。

小さくて少し怖いが恐る恐る抱き上げてみると優よりも日和よりも軽くて、涙が出た。

この涙は陽介に会えたからだけじゃない。赤ちゃん、といってももうすぐ2歳になるがこんなに軽くて小さい子がひよりぐらい大きくなって、さらに優ぐらい大きくなる。俺は生まれたてのこの子達を抱いたことがないしちゃんとみることもできなかったから、優に初めてあった時に本当に俺のお腹の中にいた子がこんなに大きくなるんだぐらいだった。施設でも小さい子はいたから成長は見ていた。

でも今、初めて自分の子供の成長を強く感じた。優も日和もこんなに小さかったんだろう、今は流暢に大人な発言をする優も日和くらい幼い言葉だっただろうし、陽介くらい話す言葉も少なかったんだろう。

それを強く感じて、嬉しく思わずにはいられなかった。きっと何かこの子達に言葉をかけるべきだったのかもしれないがこの瞬間の俺には難しかったんだ。

2人の幼い我が子を腕に抱いて、横から優に抱きしめてもらう。今この瞬間のために生きていたのかなってそう確信できるほどに過去1番の幸福感を味わうことができた。

この子達と会えていなかったのに一生を終えることに抵抗していなかった頃の自分が今では信じられない。辛いことなんて無かったかと思えるくらいに幸せな瞬間がまっているんどから。




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