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しおりを挟む「ママっ!!これママの服!俺と理玖おじさんで買ってきた!!」
「優が選んでくれたのか?嬉しい!ありがとう!!理玖さんもありがとうございます。」
「いいんだよ。久しぶりの外出の日なんだからおしゃれしないとね。」
そう、今日は待ちに待った外出日。俺と優と理玖さんとはや君の4人で出かけることになった。病院の車を貸し出してくれるみたいで車椅子のまま車に乗れるみたいだ。
今日は俺から優にサプライズもあるからそれも楽しみだ。優は昨日の夜からソワソワしていて俺と同じように今日を楽しみにしてくれているんだと思う。
「ほら~そろそろいくぞ~」
看護師さんが俺を着替えさせてくれた頃に私服のはや君が来て、俺の車椅子を押してくれた。この病室のある階とリハビリ室のある階しか行ったことはなかったから一階に着くと思っていたより人が多くて驚いた。かなり大きい病院みたいで通院している患者さんがたくさんいるそうだ。
「俺ママの隣!!」
車椅子を固定してもらった後に優が隣に乗り込んだ。俺が周囲をキョロキョロしていて挙動不審なのを心配したのか優がぎゅっと手を握ってくれて
「ママ!なんかあったら俺に言ってね!あ!ママ見て!ドライブ中のお菓子も持ってきたよ!!」
優が好きだという細長いチョコのついたお菓子を見せてくれた。俺はそのお菓子を食べたことがなかったが、この間優と一緒に食べてこれすごいおいしいねと言ったから優は今日このお菓子を持ってきてくれたんだろう。
もし、俺の体調が悪くなれば今日は中止になるからなんかあっても絶対黙っていよう。俺の我慢で優との時間をもらえるなら安いもんだ。
「1時間半くらいかかるからな。楓、優、もし車酔いしたら言えよ。あと楓、体調悪くなったり体どっか痛くなったら絶対言うことな。隠してたら退院伸ばすからな。」
さすがはや君・・・。俺の考えはお見通しみたいだ。しかも退院のことを出されると俺がいうこと聞くのも分かってるってことか。
「ママ!今日どこ行くの?」
昨日の夜、優に外出できることを伝えた時から何度もこの質問をされるが実は俺も知らない。理玖さんが優の行きたい所を聞いてくれたみたいだけど俺には教えてくれなかった。だから、
「ひーみーつ!」
優にはそう答えるしかなかった。理玖さんはいい所だよって言っていたけどどこだろう。小学生ってどこに行きたがるのか全然わからない。遊園地?動物園?それとも水族館?どこだって優となら楽しそうだ。
「ママはい!あーん!」
「ん、ありがとう。・・・おいしい!」
「へへっ、ママ!俺にも!あ!」
優とお菓子を食べさせ合っているとあっという間に目的地についた。周りに大きな建物は見えない。俺が予想していたような場所ではないみたいだ。あ、看板がある。
・・・ひまわり畑?
優が行きたかったのってひまわり畑?横を見ると優の瞳がキラキラと輝いていて、ここに来たかったんだと分かる。
「ほら車椅子動くぞ~。」
真夏のひまわり畑だからたくさん人がいるのかと思ったけど、人が全然いない。普段は観光の人が多いのか道は綺麗に舗装されていて車椅子でもガタガタすることなくスムーズだ。
「わぁ~!!!」
「すごい・・・」
すごいって言葉以外が出ないくらい綺麗なひまわり畑。一面のひまわりに感動した。
「優、車椅子押すの交代。2人で行っておいで。」
「いいの!!」
「あぁ。俺と松本先生は近くで待ってるから2人で楽しんでおいで。ここのひまわり畑に行きたかった理由ちゃんとママに言えよ?」
ここのひまわり畑に行きたかった理由?何か理由があったのか?俺に言えって言ってるってことは俺に何か関係あるのか?
「ママ、押すよ?」
理玖さんに代わって優が車椅子を押してくれて2人でひまわり畑に向かう。まさか2人の時間が外で作れるなんて思ってなかったからなんだか少しドキドキする。
「ママ、あのね?俺がこのひまわり畑に来たかった理由なんだけど・・・。」
「うん。どんな理由?」
「ママに前に話したことあるでしょ?4年生の時にひまわりを学校で育てたって。そのタネがね、今年ここのひまわり畑に植えられてるんだ。だから今年のこのひまわりの中に俺が育てたひまわりの種から育ったひまわりがあるんだ。ママ言ってたでしょ?俺の育てたひまわり見てみたかったなって。だから、ママとここに来たかったんだ。俺のひまわり見てほしくて!」
そうだったのか・・・。優から授業でこんなことしたあんなことしたと聞いて、優の日常を知れることは嬉しかったがそれを目に焼き付けられないのは少し悲しかった。優がこれまでに作ってきたものや書いてきたものも知らないし、優の友達にも会ったことはないしってちょっとマイナスなこと考えてしまう日もあった。
でも、そうじゃなかった。優はこうやって俺に知ってほしくて見せてくれる。
「優、ありがとう。俺、ひまわりが世界で1番好きな花になったよ。俺が退院して2人で暮らすようになったら一緒にひまわり育てような。」
「うん!!ママと育てたい!!」
「優がこんなに嬉しいプレゼントしてくれたから俺も見せたいものがあるんだ。」
今日、優にどうしても見せたいものがあった。優が喜んでくれるかは分からないけれど、俺は優に見せたくて仕方なかった。
「見せたいもの?」
「うん、優にサプライズ。」
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