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79 マリクside
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スカナに潜入し騎士団に入団してから少しずつ実力を出し出世していった。
潜入して2年でワイツの側近となることができた。
だかこれは私が有能だったからではない。ワイツは分かりやすい悪人だった。自分の思い通りにならない部下や民は殺し、自分の思い通りに動く者を近くに置いた。なので私は彼に従順に動くことで側近の立場を得たのだ。
そんな中出会ったのがムーマだった。ムーマは生まれた時から操影術の使い手だったため10歳で国の操影部隊に見習いとして配属された少年だった。操影部隊は国王の命で親元から離された者ばかりで自分から志願をした者など数えるほどしかいなかった。
私が出会った頃のムーマは生きる気力を無くしていた。同じ年のラカという少年が反発したことにより殺されたのだ。ラカはムーマと同じ時期に入隊し、2人は親友と呼べるほどの仲だったという。
だが、母親が病気という知らせを受けどうしても村に帰りたいと志願したところ却下されてしまった。それでも志願し続けてたため、反乱分子とされ殺されたのだ。
なんだか幼い頃の私を見ているようで放って置けなかった。側近という立場を利用してムーマを私の直属の部下とした。
兄貴兄貴と慕ってくれるムーマに私は救われていたのだと思う。
ムーマになら私がサベルクからのスパイだと告げてもいいのではないかと考えるほどに彼を信用していた。
だから、
「兄貴は、スカナの人間じゃないでしょ?」
彼の家に行った時にコソッとそう告げられた時、すぐに殺さなければならなかったのにそれができなかった。
「勘違いしないでください。俺はバラすつもりなんてないし、なんなら、一緒にこの国から出てもいいと思ってる。」
ムーマはそう言ってくれた。どうせるべきかと悩んでいる時に、サベルクからのルーチェに攻撃を仕掛けるという知らせが届いた。
私の念願が叶う時が来たのか?
母が殺されてから18年経った。
今のこの立場を使って、あいつをこの手で殺すための作戦を練ろうと思った。
すると、神は味方をしてくれたんだ。
馬鹿なワイツはルーチェに接近するという案をまんまと呑んだ。
初めて目の前にする実の父親は見るからに傲慢で我儘。その子供たちもだ、高飛車で、プライドが高くて。
こんな奴らのために私の母と父は殺されたのかと思うと悔しくて悔しくてたまらなかった。今この場で殺してやりたいほど憎くて、涙が出そうなほど悔しかったんだ。
必死で笑顔を貼り付け、必死に耐えた。
サベルクがこの国に攻め入る日、その混乱に乗じて殺すのが1番確実だ。
だから私は、機会を待つことにした。
憎きルーチェの王は1人の少年を殺して欲しいと言った。その件は王が別の者に命じていた。一旦誘拐しサベルクの動向を確認すると言っていたが失敗に終わりセドリック様に返り討ちにあったようで私に話が流れてきた。
セドリック様の婚約者か。上手いこと逃さないと。まあ、私とムーマなら上手くできるだろう。
私とムーマはお互いの過去を話し、お互いを支えに今を生きる。それほどの関係になっていた。
ムーマの前でなら枯れていた涙も流れるし、貼り付けた笑顔を剥がして本当の自分でいられた。
普段は子供のように兄貴!と寄ってくるムーマがベッドの中ではマリクと名を呼んでくれた、そして母と同じように
「俺はマリクのこの髪も瞳も大好きですよ。」
私の髪と瞳を褒めてくれた。
ムーマは親友の仇を討つため、私は母と父と祖母の仇を討つためお互いに依存しながら来る日を待ち続けた。
ついに、そのXデーが決まった日に私はサベルクの国境の街でセドリック様と密談をしていた。ムーマの操影術を借りて。
私はそこで初めてセドリック様の婚約者であるルイ様の出生のことを知らされた。なぜ、ルーチェに攻め入るのか。なぜラフマも協力するのか。
私の顔色が悪くなったことに気づいたセドリック様がどうしたのだと尋ねてくれ、私はポツリポツリとこれまでムーマにしか言っていなかった自身の出生、母や父の身に起きたことを話した。
セドリック様は相当驚いており、そして、私がルーチェの国王を殺すことを了承もしてくれた。
「もしルイ様が攫われても私が守ります。・・・私の、弟ですから。」
母は違えどもあの鬼のような父の血はお互い引いている。私という存在が無かったことにされたがために初子とされ辛い人生を送ってきた弟に会いたいと、守りたいとそう思った。
セドリック様はすぐにはルイに話せない。
そうおっしゃっていた。
私自身もまだ混乱している。だが、これであの男を殺す理由が一つ増えた。
潜入して2年でワイツの側近となることができた。
だかこれは私が有能だったからではない。ワイツは分かりやすい悪人だった。自分の思い通りにならない部下や民は殺し、自分の思い通りに動く者を近くに置いた。なので私は彼に従順に動くことで側近の立場を得たのだ。
そんな中出会ったのがムーマだった。ムーマは生まれた時から操影術の使い手だったため10歳で国の操影部隊に見習いとして配属された少年だった。操影部隊は国王の命で親元から離された者ばかりで自分から志願をした者など数えるほどしかいなかった。
私が出会った頃のムーマは生きる気力を無くしていた。同じ年のラカという少年が反発したことにより殺されたのだ。ラカはムーマと同じ時期に入隊し、2人は親友と呼べるほどの仲だったという。
だが、母親が病気という知らせを受けどうしても村に帰りたいと志願したところ却下されてしまった。それでも志願し続けてたため、反乱分子とされ殺されたのだ。
なんだか幼い頃の私を見ているようで放って置けなかった。側近という立場を利用してムーマを私の直属の部下とした。
兄貴兄貴と慕ってくれるムーマに私は救われていたのだと思う。
ムーマになら私がサベルクからのスパイだと告げてもいいのではないかと考えるほどに彼を信用していた。
だから、
「兄貴は、スカナの人間じゃないでしょ?」
彼の家に行った時にコソッとそう告げられた時、すぐに殺さなければならなかったのにそれができなかった。
「勘違いしないでください。俺はバラすつもりなんてないし、なんなら、一緒にこの国から出てもいいと思ってる。」
ムーマはそう言ってくれた。どうせるべきかと悩んでいる時に、サベルクからのルーチェに攻撃を仕掛けるという知らせが届いた。
私の念願が叶う時が来たのか?
母が殺されてから18年経った。
今のこの立場を使って、あいつをこの手で殺すための作戦を練ろうと思った。
すると、神は味方をしてくれたんだ。
馬鹿なワイツはルーチェに接近するという案をまんまと呑んだ。
初めて目の前にする実の父親は見るからに傲慢で我儘。その子供たちもだ、高飛車で、プライドが高くて。
こんな奴らのために私の母と父は殺されたのかと思うと悔しくて悔しくてたまらなかった。今この場で殺してやりたいほど憎くて、涙が出そうなほど悔しかったんだ。
必死で笑顔を貼り付け、必死に耐えた。
サベルクがこの国に攻め入る日、その混乱に乗じて殺すのが1番確実だ。
だから私は、機会を待つことにした。
憎きルーチェの王は1人の少年を殺して欲しいと言った。その件は王が別の者に命じていた。一旦誘拐しサベルクの動向を確認すると言っていたが失敗に終わりセドリック様に返り討ちにあったようで私に話が流れてきた。
セドリック様の婚約者か。上手いこと逃さないと。まあ、私とムーマなら上手くできるだろう。
私とムーマはお互いの過去を話し、お互いを支えに今を生きる。それほどの関係になっていた。
ムーマの前でなら枯れていた涙も流れるし、貼り付けた笑顔を剥がして本当の自分でいられた。
普段は子供のように兄貴!と寄ってくるムーマがベッドの中ではマリクと名を呼んでくれた、そして母と同じように
「俺はマリクのこの髪も瞳も大好きですよ。」
私の髪と瞳を褒めてくれた。
ムーマは親友の仇を討つため、私は母と父と祖母の仇を討つためお互いに依存しながら来る日を待ち続けた。
ついに、そのXデーが決まった日に私はサベルクの国境の街でセドリック様と密談をしていた。ムーマの操影術を借りて。
私はそこで初めてセドリック様の婚約者であるルイ様の出生のことを知らされた。なぜ、ルーチェに攻め入るのか。なぜラフマも協力するのか。
私の顔色が悪くなったことに気づいたセドリック様がどうしたのだと尋ねてくれ、私はポツリポツリとこれまでムーマにしか言っていなかった自身の出生、母や父の身に起きたことを話した。
セドリック様は相当驚いており、そして、私がルーチェの国王を殺すことを了承もしてくれた。
「もしルイ様が攫われても私が守ります。・・・私の、弟ですから。」
母は違えどもあの鬼のような父の血はお互い引いている。私という存在が無かったことにされたがために初子とされ辛い人生を送ってきた弟に会いたいと、守りたいとそう思った。
セドリック様はすぐにはルイに話せない。
そうおっしゃっていた。
私自身もまだ混乱している。だが、これであの男を殺す理由が一つ増えた。
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