【完結】18年間外の世界を知らなかった僕は魔法大国の王子様に連れ出され愛を知る

にゃーつ

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「ルイはここにいるだろう?返せ。」

「は?返せだと?おめでたい頭してんな。そいつなら死んだよ!」

誰だよこいつ、周りの態度からしてルーチェ軍の立場のあるやつなんだろうがうちの軍の足元にも及ばない。

死んでるわけねえだろ。ルイが。


「容赦するな。この中にルイがいる。」

手のひらを門へ向け、風の魔法を放つ。

大きな音と共にルーチェの城の門と付近の城壁が吹っ飛んだ。
それを合図に我が軍の騎士たちが敷地内にどんどん侵攻する。

怒号が聞こえ砂埃が舞う。死人が出ない程度の魔力を放ち進む。ルーチェの軍は殆どのものが倒れており、壊滅状態だ。

生身の人間が魔法に抗う術はない。

ん?前方の騎士たちがやられ始めたな。
あぁ、スカナの軍が来たか。操影術は魔力をも吸い取る。魔力量の少ない者では太刀打ちできないだろう。

---ドカーーーン!!!!

別の場所の城壁が崩れる音が聞こえた。

来たか。

「待たせた!!」

ラフマ軍が駆けつけたことでスカナの軍に動揺が走る。

そりゃそうだろう。獣人はこの大陸の殆どのものはその目に映したことすらない。都市伝説だと思っている者も多い。

そんな者たちが突如攻め入ってきたんだ。この気を逃す手はない。

「レオ殿に続け!!!」

父上の声を合図にサベルク軍とラフマ軍が一気に攻め入る。
操影術に対抗すべく僕は前線へと躍り出る。僕の魔力ならば操影術では魔力を吸収しきれない。だから、僕は何の遠慮もいらない。

ちまちまするのはめんどくさい。でかいの1発で仕留めてやる。

「サベルク軍!!!どけ!!!」

そう声をかけ、身体中の魔力を集め一気に魔力を放つ。今の僕に手加減などできない。ルイがここにいるなら一刻も早く行かなければならないから。

「素晴らしいな、セドリック殿。魔法が放たれたところ何も残ってないではないか。私でも結構なダメージを負うぞ。」

「レオ殿、ルイがあの中にいますので手加減できません。」

「なに?ルイがか?」

「えぇ。」

「ふっ、お前、余裕がなさすぎるぞ。眉間の皺がくっきりだ。戦いは冷静でなければいけないぞ?」

そうだ、冷静さを欠いてルイに何かあるのが1番後悔する。
息を大きく吸ってゆっくり吐く。

「すいません、もう大丈夫です。」

「レオ殿、息子を冷静に戻していただきありがとうございます。」

「おお、ルシア殿!ルイの婚約者だからな、特別だ。おい!ミンツ!我らは城内のおそらく奴らがいるであろう場へ向かう!お前らに先陣を任せる!!私は早く戦いを終わらせアンナの膝の上で寝たいのだ!!」

「あぁ!おまかせを!!お・う・さ・ま!!!」

弟だからとすごいなあの人は。

「リーベ!!お前たちはこの場を頼むぞ!!我ら3人は先を急ぐことにする!セドリック!レオ殿!行きますぞ!!」

「はい!父上!!」

父の側近であるリーベは僕と同じく治癒魔法が使える。兵たちの治療は彼に任せておけば大丈夫だ。

城内へ入ると残っていた軍がいたが外に精鋭を集めていたのだろう。ミンツ殿がギッタンギッタンに倒している。さすが獣人というべきか、さすがレオ殿の弟というべきか。サベルク軍の助けなど要らないほどに圧倒的だ。

「あの扉の奥だ!!」

父の声が響く。父の得意な魔法の一つ、使い魔を作り出し城中を探索したんだろう。小さい頃から城外に、出かけても父の使い魔には必ず見つかってしまうんだ。

「後から来る敵は私が食い止める!!3人とも行け!!」

ミンツ殿の横を通り過ぎ、父上とレオ殿とともに扉に向かい走った。








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