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しおりを挟む「ふふっ、窓が塞がれば一気に牢獄ね。」
ニア、、、、、
「・・・・・・」
「ずっとそこにいるの?疫病神はかわいそうね、こんなとこに閉じ込められて、今食事も抜きで?ふふっ、唯一のお友達の鳥も撃たれたしね。」
鳥が撃たれたこと、なんで知って、、
「・・・なんで、そのこと」
「あら、今日はしゃべるのね。汚い声聞かせないでくれる?あの鳥、私に攻撃したのよ?許せるわけないじゃない!だからお父様に言ったのよ!あんたが鳥を部屋に連れ込んでるかもしれないからその鳥を排除して!ってね!!どっかに逃げたらしくて死体をここに持ってこれなかったのは残念だわ。」
・・・やっぱり、撃たれてたんだ、、
僕のせいだ。
あんなに綺麗だったのに。
僕にあんなに優しくしてくれたのに。
「あんたにも早く死んでほしいから、食事が復活したらとっておきの食事を用意してあげる。エビをたっぷり使ったスープをね!!!」
!?!?
ニナは、知っているのか、、、?
「あんたについてた世話係がお父様に言っていたのを聞いたの。お父様は忘れてるけど私は覚えてたのよ。アレルギー症状起こして死んじゃえばいいのよ!そしたらこの国は豊かになる!私が使えるお金がもっと増えるわ!!」
もう、いいや。それでいいよ。
アンナもいない。
セドも撃たれた。
もう、疲れた。
希望なんて、ない。
1週間後、目の前にはオレンジ色のスープ。匂いからしてエビがたくさん使われていることがわかる。
なぜか父上と母上ニナにイオもついてきた。きっとニナは僕がエビ嫌いだから嫌がらせになると言って連れてきたんだろう。4人ともニヤニヤしているから。
「ありがたく食べろよ?父上が優しさで出してやってんだからな!疫病神!!」
イオはなんでそんなに僕が嫌いなんだろうね。どうでもいいけど。
「ふふっ、美味しそうなエビのビスクね。こんな人に出すには高級品よ?」
ニナ、僕たちはお腹の中ではずっと一緒だったのにこの世に生み落とされたとたんに全く違う世界を生きてきたんだね。
「早く食べろ。今日は大国からの客人が来るのだ。お前に構ってる時間などない。」
「そうよ。ニナの大切なお相手が来るんだから。」
父上、母上、男で生まれてごめんなさい。
死ねるかはわからない。でもきっと苦しい。父上も母上もニナもイオも、ユウリもレイラも、みんなそれを望んでいる。
本当は誰かに助けて欲しくて。
もしかしたらいつか父上や母上に愛されるかもしれないって思って。
今もまだそんな希望を捨てきれない。
そんな自分が、嫌いだ。
スープを飲み干すと父上の舌打ちを残し4人は去って行った。あまりいい反応をしなかったから、面白くなかったんだろう。
ベッドには入らずにあの小窓の近くに倒れ込むように寝転がった。
床に寝転がるだなんてきっとアンナは怒るけど、最近はこの小窓からやってくるセドが僕の全てだったから。
呼吸が苦しい。もうすでに熱も上がり始めている。
意識がなくなりそうだ。最後に服の中に忍ばせていたネックレスをギュッと握る。結局、このネックレスがいつ誰の手によって僕の首にかけられたのかは分からなかったが、今日まで心の拠り所になった。
なんだか部屋の前が騒がしい。
ニナが僕の死に様でも見にきたんだろうか。
「ルイ!!」
名前、、久しぶりに、呼ばれた。
この人、本物のセド、、?
死に際に幻覚見るなんて、でも、もう一度会いたいって思ってたから幻覚でも嬉しいや。
その幻覚を最後に瞼を閉じた。
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