錬金術師が不遇なのってお前らだけの常識じゃん。

いいたか

文字の大きさ
103 / 385

第百二話 意趣返し

しおりを挟む
呼ばれた部屋の前で待っていると呼ばれたので扉へ向かう。
執事が開けてくれたので実質自動ドアだ。

「よく来てくれたね。 そこに掛けたまえ」

「はっ!」

「堅苦しい敬語は要らん。 宰相もマーリン殿も居ないのだから、ゆっくり話そう」

「はい。それで、何の用なんでしょうか?」

俺は素直に話してみた。
ド直球に。

「うむ、そなたを帝国が狙うのも時間の問題じゃと思ってこの国の貴族にした。 それは済まぬと思っておる。 だが一つ重要な事が分かった…覚悟を問いたい。 親を殺せるか?」

どういう事だろうか? さっぱり分からない。

「どういう事でしょうか? 意味が…」

「テイルの父である、アレク・フォン・マルディンは生きておる。 だが、魔神王が数十年前からなり替わっておる。 姿を変える為にはその存在を生かす必要があるようだ。 ある意味アレク氏は無事と言える。 しかし、テイルを育てて来たのは魔神王となる。 育ての親にあたる存在だが討てるか?」

「もちろん討てます。 聖剣に誓って」

どうりで、父親の様子も昔とは様変わりしたはずだ。

「魔神王がアレク氏になり替わったのはテイルがまだ幼い頃だ。 なにか気にかかる事はあるか?」

「はい、父上はとても優しく、私や兄上と遊んでくれました。 ですが突然暴言を吐くようになり、選定の儀からはもはや完全に別人でした」

うぅむ…と唸る陛下。

「余程あの家系で錬金術師はイレギュラーだったのじゃろうな…。 そして極めつけはテイルが前世の記憶を取り戻した事。 そこから様子見が始まったか」

確かに俺もその様に感じた節はある。
わざと声を掛けてみたりしてもきたしね。

「もしや魔神王を討てるのはテイルだけなのかもしれんな。 だが魔王も力を付けているという…どちらを優先するか」

「もちろん、魔王です」

ほう、とこちらを睨む。

「それは私情ではなくか?」

「私情ではありません。 魔王は魔石を取り込み強くなります。 それに比べ、魔神は強くなることはありません。 ならば脅威度の高さは魔王にあると思います」

納得した。 と言った顔だろうか?
この国王陛下、考えてる事すぐ顔に出る癖を直した方が良いと思う。

「わかった。 魔王討伐を優先してくれ。 錬金術師の育成は順調か?」

「カリキュラムに沿って反復、映像の魔道具で見せてイメージをより鮮明化させているのでかなり質の高い錬成が可能になりましたね。 魔法の模倣まで出来ますよ。 それに各生産職と同じ事も出来るように仕込んでます」

「それは何故じゃ?」

「もし、錬金術師だからって不遇な扱いをされたら他国に行って名を上げれる様にです。 教国なんか良いんじゃないですか?」

陛下は完全に頭を抱えた。

「それ以上は国家反逆罪になりかねんからやめてくれ…」

「いえ、生きる知恵です。 代々技術を継げばいつかまたその時代に勇者が生まれるかもしれないじゃないですか?」

それもそうか…と完全に陛下は諦めてしまった。

「もうテイル。 君の事は半分色々と諦める事にする。 代わりに優秀な子を沢山残して貰わないとね? サリィにマキナ、ナナちゃんは君の嫁確定だ」

え? そうなの? 婚約じゃなくて?

「ふふふ、表向きには婚約じゃがもう確定だよ。 他にもメイカ・フォン・ディッセルや、マリア、エメリーなんかも嫁にあてがう事を水面下で動いておる。 おっと? まだ増えるかもしれんなぁ?」

ニヤニヤする陛下。
ちょっとした悪戯のつもりが盛大な意趣返しを頂いてしまった。
しおりを挟む
感想 48

あなたにおすすめの小説

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。 《作者からのお知らせ!》 ※2025/11月中旬、  辺境領主の3巻が刊行となります。 今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。 【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん! ※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。 新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。 ※※※※※ 1億年の試練。 そして、神をもしのぐ力。 それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。 すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。 だが、もはや生きることに飽きていた。 『違う選択肢もあるぞ?』 創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、 その“策略”にまんまと引っかかる。 ――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。 確かに神は嘘をついていない。 けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!! そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、 神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。 記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。 それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。 だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。 くどいようだが、俺の望みはスローライフ。 ……のはずだったのに。 呪いのような“女難の相”が炸裂し、 気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。 どうしてこうなった!?

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました

夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。 スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。 ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。 驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。 ※カクヨムで先行配信をしています。

処理中です...