錬金術師が不遇なのってお前らだけの常識じゃん。

いいたか

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第九十二話 賑やかな朝

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翌朝、俺は目が覚めたのでベッドから起き上がる。
するとシーツに違和感があるのだ。
なぜ? と思い振り返る。

そこにはくるまっている『ナニカ』が確実に居る事が見て取れた。

「ヒッ!」

と声にならない悲鳴を上げているとその『ナニカ』は動き出し、こちらへと寄ってくる。
俺は恐怖で身動きが取れずにいた。
シーツがガバっと持ち上がり出て来たのはなんとナナだった。

「おはよう! 英雄さま! 今日はこのあとどうするの?」

「何事も無ければ合流だけど、何食わぬ顔で俺のベッドに居るのやめてくれない?」

「え? 同衾は? 夜伽は?」

「いらんわボケェ!」

俺の盛大な叫び声に皆何事かと来てしまった。
ベッドに座る女の子に叫ぶ俺。
構図だけ見たらどうだろう…。

氷属性魔法で足を凍らされるし、賢者二人にどやされるしもう災難。

だけどジャービルだけは気付いていたのか、ずっとニヤニヤしている。

「まさか、ジャービル様? ナナにこんなこと教えたのジャービル様じゃないですよねぇ?」

俺は物理的にも冷気の籠った声でジャービル様を試す。

「そりゃ! 英雄色を好む! って言うやろちょこちょこっとな?」

賢者二人の視線がそちらに向く前にジャービル様に対し、とてつも無い殺気を放ち魔法を打とうとする女性陣。

「ここ宿だからやめて!」

見かねたドーラ様が結界を張ってくれたのでジャービル様が治療出来る範囲の大怪我をしただけで済んだ。

「お主らなぁ。 そんなにテイルが好きなら一人で独占しようなど考えなければいいじゃないか」

ハッと我に帰り

「これから作戦会議がありますので」

と言い残して民去って行った。
前世には無かったモテ期来たか!?

「テイル君も難儀じゃの」

「うむ、女は怖いぞ」

二人の目からは悲壮感しか漂ってこなかった。
ガイル様を見てふと思い出す。

「ガイル様、良ければなんですがこの『魔法の理論構築 基礎』にサインください! ずっとファンなんです!」

マジックバッグに大切にずっとしまっていたこの本。
いつかサインが欲しいと思ったものだ。

「あー…まぁよいぞ」

キュッキュとサインしてくれる…。 なんだろう、ミミズの這いずった跡みたいな文字だ

「ほれ、出来たぞ!」

「ありがとうござい…ます!」

「テイル君、こいつ緊張すると字が上手く書けなくなるんじゃよ」

「やめんか!」

「ならこれは世界に一つだけって事ですね!」

「「超ポジティブ」」

「まぁ良い。 このまま馬車に乗って王都への凱旋じゃ」

魔神討伐、魔王撤退。 かなりの偉業を学生がやり遂げたのだからそれこそ凱旋という表現で間違いはないだろうな。

そして賑やかな早朝の一刻を終えたのだった。
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