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前途遼遠

LV272 最終準備段階へ

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 三大勇者が『導きの塔』で修練を積み、フミヤが神界へ拉致されたが、各所でも暗黒大陸へ向けた動きが広まっていた。

 各国・都市においては、来たる厄災に対抗すべく軍事力の強化を行い、さらにまだ名の知れていない才ある冒険者の発掘や育成が行われた。また、ブリズエラを筆頭に知性ある魔物を協力者として招集。強力な魔法船や装備品の増産。魔写鏡の大量生産による一般流通化のための工場の建設などが同時に行われた。

 三大勇者に習い、各勇者パーティー達も合同で更なるレベルアップを目指す。ただ、その勇者パーティーのなかでヴィオラパーティーはダントツに強い。そのため、協力するというよりは特訓に付き合うと言った方が正しいのかもしれない。

 そして、ファリスは引き続きベンの転送魔法の解析を進めているのだが、どうやら人員が足りないらしくトリニスタントの魔法使いショウコとゴータスフールの魔女マカジルも指揮に加わり、多く魔法使い達と解析を加速させていく。解析完了も秒読み段階に入ったと思われる。

 王達は新たに派遣する暗黒大陸の渡航者の選出に入った。

 暗黒大陸渡航参加者

 トーレムグレイグ ヴィオラ・ライガ・イルイル・ラオ老・ダン・ファリス。
 ゴータスフール レイモンド・イレイザ・ガロ・マカジル・シキート・ゴウリキ
 トリニスタント タケル・ショウコ・エミリー・タイキ・ジョージ・チン

 フミヤ・ドレン・ブリズエラ

 暗黒大陸のルート拡大だけなら、他にも候補者がいたが今回は未曽有の危機が迫る『厄災』。半端な戦力は命取りである。そもそも、それを考慮し形成された先発隊が不測の事態で呆気なく失敗に終わった。王達が熟考した結果の答えが、国の兵隊を一切入れない極小数の部隊だった。

 暗黒大陸メンバーが各地で発表されたのと同時刻、モンペロではジンも任命式を行う。

「ヤマダ君、今日からお前を副店長へと任命する」

「マジっすか⁉ 給料上がります?」

「おー、上げてやる! ちなみにサイトウ、お前は今日から厨房責任者《チーフ》だ」

「本当ですか? ジンさん、ありがとうございます!」

 モンペロは相も変わらず平常運転。


 そして、時来る。
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