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前途遼遠

LV265 メイカのお願い

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 迷いの森

 トーレムグレグ街からそう遠くはない西の森のイチカの森。そのさらに西に隣接する森で、広さはイチカの森の約二倍、イチカの森と勘違いし迷い込む人々が後を絶たない。一度迷い込んでしまえば冒険者ですら、遭難してしまう事が多いと言われている森だ。危険な反面、素材や食材の宝庫であるのだが……。

「――で、そこが俺になんの関係があるんだよ」

「集めて欲しい素材があるのよ!」

「俺は今、仕事中。お前に構ってる暇なんかないの」

「明日、休みでしょ?」

「な、なんで知ってるんだよ」

「だって、お店の人が言ってたもん」

「ち、誰だよ。余計な事を言ったのは……」

 フミヤは突如現れたメイカに願いを、なんとかして断ろうとしていた。

「あら、フミヤ。その方は?」

「あれ、ヴィオラ。どうしたの?」

 フミヤとメイカが話している場所に、ヴィオラもたまたま居合わせる。

「私は夕飯の材料でも買おうと思って街に来たの。フミヤは?」

「俺は休憩中で、店の買い出し中」

 メイカはヴィオラの顔をマジマジと見つめる。

「あなたが、噂の『雷帝』?」

「フミヤの妻のヴィオラです」
 ヴィオラは深々とお辞儀をする。

「初めまして、メイカです」(勇者とは名乗らないのね)
 メイカも深々とお辞儀をする。

「まあ、あなたはさっき壁に映っていた……」

「そうです。天才発明家のメイカちゃんです」

「ぶりっ子するな!」

「ねー、フミヤお願い! 私の開発にどうしても大量の『トリンマルン』が必要なのよ」

「トリンマルン?」

「魔力を流しやすい性質の素材だよ」

「その通り、勇者さん詳しいのね。トリンマルン、別名『魔法石』《まほういし》とも呼ばれ、魔力を帯びやすく放出や蓄積にも適した素材なんだよ。ちなみに、この街の電灯とかでも一部使われているの」

「へぇー。じゃあ、頑張って!」

「はーい。――って、待てーい!」


 と言う訳で……次に日、フミヤはしぶしぶ迷いの森へ行く事となった。

「二人で出かけるの久しぶりだねーー」

「普通にお出掛けなら楽しいんだけどね」

 今回はヴィオラも同伴、フミヤと二人でマロッコに乗り街の西へ。イチカの森を迂回し、直接迷いの森の入り口へ到着した二人はマロッコから降りる。

 フミヤは森の前に立つ看板を見る。

『注意! ここは、迷いの森。間違って入らないように』

「やっぱり危険なとこじゃねえかよ!」

「本当に出てこれなくなる人が多いみたいだよ」

「まー、ヴィオラがいるから大丈夫だろう」

 二人は、迷いの森へと入っていく。
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