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トーレムグレイグの日常

LV224 ネレウスが捕った獲物

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「それで、魚を取ってくればいいんだな」

「ああ、頼むよ」

「では少し待っていろ」

 大きな水飛沫を上げ、ネレウスはその場を去って行く。


 そして――待つ事、10分

 大きな水飛沫がこちらへ戻ってくる。

「ん? 水飛沫が大きくなっているような気がするぞ」

 ザッパーーン

 ネレウスは首を捻り、咥えてきた獲物を浜辺へ放り投げた。

「えええええええええええ」

 ドドーーン

 大きな音を立て落下してきたものは……

「ク、クジラ――‼」

 なんと、ネレウスが捕獲してきた獲物は、ハッピクジラという巨大なクジラだった。

「こんなに食えるかーー!」

 *フミヤはツッコんだ。

「なんだ、食べるためだったのか?」

「あたりまえだろ」

「でも、このクジラは美味しいぞ」

「そうなの?」

「うむ」

 フミヤは悩む。

(貝だけでもマロッコに乗るか乗らないかのサイズなのに、これは乗るとか乗らないとかのレベルじゃない。10mは超えてるぞ)

「ネレウス」

「なんだ」

「お前、運べないよね?」

「私は陸には長くおれん!」

「だよね……あーこんな時にメロがいたら良かったのに」

 そして、フミヤはまた悩む。

「やっぱ、これしか方法ないよね」

 立ち上がったフミヤは砂がついたお尻を「ポンポン」とはたき、ネレウスに告げる。
「とりあえず、ネレウスはもう帰っていいよ」

「もう?」

「うん、もう」

「せっかく来たのに」

「そう」

「本当に?」

 *ネレウスは今にも泣き出しそうだ。

(こいつ面倒くさいな)
 フミヤはふと思った。

「またすぐに呼んでやるから」
 
 フミヤの説得により、諦めて帰るネレウス。

「絶対だぞ、また呼んでくれよ!」

「約束するよ」

「絶対だぞーー」

「ああー」

 大きな水飛沫が海の遥か彼方へと消えていく。

「さてと、あともう一つ」
 フミヤは先ほど捕獲したお化け貝を揺さぶる。

「おい、起きろ! おい」
 
 *お化け貝は目を覚ました。

「キュウウウウウゥ」
 泣くような声を出すお化け貝。

 *お化け貝は怯えている。

 フミヤはそのお化け貝をゆっくりと地面に下すと「助けてやるよ」
と言った。クジラだけで食べ物は十分すぎる。
 魔物と言えど生き物で、フミヤはむやみに殺す事は止めようと思った。

 *フミヤは狂乱の戦神を発動した。

「うらららららららら」
 フミヤのとった行動は、ただの力だより。フミヤは左肩でマロッコを担ぎ、右手でクジラを引きずりながら走る。

 フミヤが通った後には大きく引きずった後と、なぎ倒された木々が散乱していた。後《のち》にこれを見た商人が誤解し、しばらくの間、この近辺で『伝説級の大蛇』が生息していると噂になったのだった。

 フミヤはというと……。

 あまりの帰りの遅さに心配したモグ男が、浜辺方面を探しに出ると関所手前でクジラと一緒に横たわるフミヤを発見する。

 *フミヤはピクピクしている。

 スキルの過剰使用により久しぶりの反動に襲われたフミヤは、回復者がいないため三日三晩寝込んだのであった。

 ※追記、クジラは兵士達により解体され皆で美味しく頂きました。
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