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死者の国 冥界
LV185 冥界ルール
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『裁きの台座』
悪行罪し者を冥界へと誘う台座
「ここに立て!」
アイアコスは薄紫にぼんやりと光る台座の上に「横一列に並ぶように」と、私事を出す。
6人はアイアコスの指示通り、台座の上に横一列に並ぶ。
「この台座こそが、冥界の入り口。これよりお前らを冥界へと送る」
アイアコスは何やら呪文のような言葉をぼそぼそと呟く。
「扉が出るのか? 楽しみだのぅ」
*ベレッタはウキウキしている。
「また歩きとか面倒だな。乗り物とかないかな?」
フミヤはだんだんと冥界に行くのが面倒くさくなっていた。
「姉さんも、フミヤさんも安心してください。何かあれば俺が盾になりますから」
「モキュー」
勝手に雑談を始めるフミヤパーティーにアイアコスはイラっとした。
「お前等、黙って前を見てろ!」
アイアコスは呪文を唱え終わるとフミヤの後ろに立つ。
「おい、何も起こらないぞ。さっきの呪文はなんだ?」
「……」
アイアコスは少し間を開け答える。
「ただの雰囲気作りだ」
「は?」
アイアコスは思い出したように
「そうだ、コレを渡しておかなければ。ゼウス様より預かった物だ」
と言い、懐から取り出した鈴を差し出した。
「おお、綺麗な鈴だのぅーー。 我が持つのだ!」
ベレッタは嬉しそうに、アイアコスから鈴を取り上げた。
「なんだよ、その鈴」
と、フミヤが問いかけるもそれを無視し、アイアコスは黙ったまま遠く暗闇の先を指差した。
フミヤ達が指差す前方を振り向いた直後、
「それでは、行って来い!」
アイアコスは、フミヤのお尻を蹴った。
「な、え……ああああああああああああああ」
アイアコスは続けて残りの5人のお尻を蹴って行く。
「お、おおおおおおおおお」
「えっ? あああああーー」
「モキュ――――」
「あ!」
「おおおおおーーーー」
暗闇で何も見えなかった台座の前は、底が見えない巨大な穴であった。
アイアコスに蹴り落とされた6人はそのまま急速度で落下していく。
「これが、入り口かよ。古典的過ぎだろーー!」
叫ぶフミヤ達にどこからかゼウスの声が聞こえてくる。
「フミヤ達よ! 心してありがたく聞くが良い。そして、大いに感謝するのだ」
「……? なんか急に偉そうな態度になったな」
ふと、フミヤは気付く。
「ふっ、何を言うか。ワシは全知全能の神ゼウス。偉そうじゃなくて偉いのである。ちなみに冥界に行ってしまうと、ワシと交信できなくなるので悪しからずじゃ」
*フミヤはイラっとした。
冥界から人間界へ帰るにはゼウスの持続的なスキルの発動とアイテムが必要になる。そのため、フミヤ達はゼウスに頼らざるを得ない。それを逆手に取り、ゼウスは自分の威厳を示そうとしていたのだ。
(そういう事ね……)
フミヤはなんとなく察した。
「これより冥界のルールを伝える」
「そんなのあるのかよ! 先に言えよ」
「だって言ったら断られそうだったんだもん」
「だもんって。帰ったら覚えておけよ」
「……では、ルールを手短に話す。話しますぞ、フミヤ殿よ」
「おい、お前言葉遣いめちゃめちゃだぞ!」
『冥界の掟(ルール)』
人間界のレベルと冥界ではレベルの概念が異なる。(なぜなら肉体がないから)
冥界では本人の身体能力が精神能力により基礎値が決まる。
元々、自分が培い習得したスキルにおいては使用可能。召喚系スキルは使用不可。(なぜなら冥界には何者も召喚できないから)よって、12神のスキルは使用できない。(召喚能力に近いスキルのため)
冥界では特殊な方法でレベルが上がる。
ひとつ、敵を倒す。
ふたつ、与えられた業を達成(クリア)する。
みっつ、徳の譲渡。
冥界にとって一番重要なのがこの基礎値とレベル。この二つにより業を達成できるか否かのカギとなる。
業とは冥界で受ける罰そのもの、それを達成できし者は徳を取得でき、徳をもってしてレベルを上げる事ができる。
冥界からの帰還方法はゼウスが渡した『輪廻の鈴』を使用する事。鈴を手に持ち、三回鳴らすと発動する。手に持たなければ発動しない。
帰還したい者が複数の場合、互いが手を繋いだまま代表の一人が鈴を三回鳴らせば、手を繋いだ全ての者が帰還可能。
任務はデーメーテールを説得し、デーメーテールと一緒に『輪廻の鈴』を使用し帰還する事である。
尚、デーメーテールの所在は冥界深部のハデス城である。
「では、検討を祈る」
「おい、神スキル使えないって聞いてないぞ!」
「……」
そして、ゼウスの声は聞こえなくなった。
「あいつ絶対最後無視したな」
フミヤ達は奈落の底へと落ちていく。
悪行罪し者を冥界へと誘う台座
「ここに立て!」
アイアコスは薄紫にぼんやりと光る台座の上に「横一列に並ぶように」と、私事を出す。
6人はアイアコスの指示通り、台座の上に横一列に並ぶ。
「この台座こそが、冥界の入り口。これよりお前らを冥界へと送る」
アイアコスは何やら呪文のような言葉をぼそぼそと呟く。
「扉が出るのか? 楽しみだのぅ」
*ベレッタはウキウキしている。
「また歩きとか面倒だな。乗り物とかないかな?」
フミヤはだんだんと冥界に行くのが面倒くさくなっていた。
「姉さんも、フミヤさんも安心してください。何かあれば俺が盾になりますから」
「モキュー」
勝手に雑談を始めるフミヤパーティーにアイアコスはイラっとした。
「お前等、黙って前を見てろ!」
アイアコスは呪文を唱え終わるとフミヤの後ろに立つ。
「おい、何も起こらないぞ。さっきの呪文はなんだ?」
「……」
アイアコスは少し間を開け答える。
「ただの雰囲気作りだ」
「は?」
アイアコスは思い出したように
「そうだ、コレを渡しておかなければ。ゼウス様より預かった物だ」
と言い、懐から取り出した鈴を差し出した。
「おお、綺麗な鈴だのぅーー。 我が持つのだ!」
ベレッタは嬉しそうに、アイアコスから鈴を取り上げた。
「なんだよ、その鈴」
と、フミヤが問いかけるもそれを無視し、アイアコスは黙ったまま遠く暗闇の先を指差した。
フミヤ達が指差す前方を振り向いた直後、
「それでは、行って来い!」
アイアコスは、フミヤのお尻を蹴った。
「な、え……ああああああああああああああ」
アイアコスは続けて残りの5人のお尻を蹴って行く。
「お、おおおおおおおおお」
「えっ? あああああーー」
「モキュ――――」
「あ!」
「おおおおおーーーー」
暗闇で何も見えなかった台座の前は、底が見えない巨大な穴であった。
アイアコスに蹴り落とされた6人はそのまま急速度で落下していく。
「これが、入り口かよ。古典的過ぎだろーー!」
叫ぶフミヤ達にどこからかゼウスの声が聞こえてくる。
「フミヤ達よ! 心してありがたく聞くが良い。そして、大いに感謝するのだ」
「……? なんか急に偉そうな態度になったな」
ふと、フミヤは気付く。
「ふっ、何を言うか。ワシは全知全能の神ゼウス。偉そうじゃなくて偉いのである。ちなみに冥界に行ってしまうと、ワシと交信できなくなるので悪しからずじゃ」
*フミヤはイラっとした。
冥界から人間界へ帰るにはゼウスの持続的なスキルの発動とアイテムが必要になる。そのため、フミヤ達はゼウスに頼らざるを得ない。それを逆手に取り、ゼウスは自分の威厳を示そうとしていたのだ。
(そういう事ね……)
フミヤはなんとなく察した。
「これより冥界のルールを伝える」
「そんなのあるのかよ! 先に言えよ」
「だって言ったら断られそうだったんだもん」
「だもんって。帰ったら覚えておけよ」
「……では、ルールを手短に話す。話しますぞ、フミヤ殿よ」
「おい、お前言葉遣いめちゃめちゃだぞ!」
『冥界の掟(ルール)』
人間界のレベルと冥界ではレベルの概念が異なる。(なぜなら肉体がないから)
冥界では本人の身体能力が精神能力により基礎値が決まる。
元々、自分が培い習得したスキルにおいては使用可能。召喚系スキルは使用不可。(なぜなら冥界には何者も召喚できないから)よって、12神のスキルは使用できない。(召喚能力に近いスキルのため)
冥界では特殊な方法でレベルが上がる。
ひとつ、敵を倒す。
ふたつ、与えられた業を達成(クリア)する。
みっつ、徳の譲渡。
冥界にとって一番重要なのがこの基礎値とレベル。この二つにより業を達成できるか否かのカギとなる。
業とは冥界で受ける罰そのもの、それを達成できし者は徳を取得でき、徳をもってしてレベルを上げる事ができる。
冥界からの帰還方法はゼウスが渡した『輪廻の鈴』を使用する事。鈴を手に持ち、三回鳴らすと発動する。手に持たなければ発動しない。
帰還したい者が複数の場合、互いが手を繋いだまま代表の一人が鈴を三回鳴らせば、手を繋いだ全ての者が帰還可能。
任務はデーメーテールを説得し、デーメーテールと一緒に『輪廻の鈴』を使用し帰還する事である。
尚、デーメーテールの所在は冥界深部のハデス城である。
「では、検討を祈る」
「おい、神スキル使えないって聞いてないぞ!」
「……」
そして、ゼウスの声は聞こえなくなった。
「あいつ絶対最後無視したな」
フミヤ達は奈落の底へと落ちていく。
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