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勇者凱旋
LV169 ビーンデスグリオラの尻尾は……
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「本当に開けるわよ。いい?」
「任せたヴィオラ!」
ベレッタの後ろに隠れたフミヤがヴィオラに告げる。
「お前、何オドオドしてる?」
「いや、普通に怖いだろ?」
フミヤはかなり委縮している。
しかし、ここには世界最強の勇者と太古の魔王がいる。完全体のビーンデスグリオラが復活したとしても、到底何もできない状況なのである。
ヴィオラは鉄の箱をゆっくりと開ける。
「おおおお」
その箱をフミヤはゆっくりとのぞき込む。
「ピクピクしてるな……」
「ピクピクしていますね」
「うむぅ、ピクピクしておる」
ビーンデスグリオラの尻尾は捕獲時と変わりなく生きているように動いていた。
「でも、前より少し尻尾が伸びているような気がするわ」
と、ヴィオラは言う。
「怖い事言うなよ。ヴィオラ」
確かにビーンデスグリオラの尻尾は以前捕獲した時よりも伸びているように見える。
するとベレッタがビーンデスグリオラの尻尾を突《つつ》きながら
「まぁ、格下だが言うても魔王だしのぅ。完全に滅さなければ少しずつ再生していくだろぅ」
それを聞いたフミヤは慌てて
「それじゃあ、すぐに処分しないと」
ベレッタは首を横に振る。
「いいや、コヤツの使ったスキル『無夷《むい》』というスキルは、自分の全細胞を燃焼させる捨て身のスキルでのぅ。超人的な力を手に入れる代わりに反動が大きく、ほとんどの細胞が死滅していくのじゃ」
ベレッタの言う通り『無夷《むい》』というスキルは諸刃の剣であった。使用する魔物は、一定時間究極の力を手にする事できるが、その反動により体は朽ち果て、元の力を取り戻すには相当な時間をかけ再生しないといけなくなる。ビーンデスグリオラが最終形態になった時、皮膚が全て剥がれ落ちてしまったのもその影響によるものである。
魔王の体は常に死滅と再生を繰り返しており、細胞が残っていればいずれは再生し復活する。そして長い何月を経て魔力を蓄積させ新魔王として復活するのだ。だが、『無夷《むい》』はその細胞がほとんど死滅してしまうため再生するのに相当な歳月を費やすことになるのだ。
しかも、残っている細胞が数十センチの尻尾のみとなると、完全体に復活するには百年以上はかかると推測される。
「そう、百年以上もかかるのね」
「ああ、そうじゃ。魔王は長く生きれば生きる程、体内に魔力が蓄積するでのぅ。たとえ復活したとしてもしばらくは赤子同然に弱いであろう。まーたまに例外もいるがな」
「だから、ベレッタは他の魔王より強いのね」
「そう言う事だのぅ」
ヴィオラとベレッタが話していると、フミヤはビーンデスグリオラの尻尾を指で摘まみ上げるとマジマジと見つめる。
「おお、ウネウネしている……」
その時、フミヤはふと閃いた。
「魔王と美味しいのかな?」
「えっ?」
*ヴィオラは混乱している。
*ベレッタは混乱している。
フミヤは不敵な笑みを浮かべている。
「任せたヴィオラ!」
ベレッタの後ろに隠れたフミヤがヴィオラに告げる。
「お前、何オドオドしてる?」
「いや、普通に怖いだろ?」
フミヤはかなり委縮している。
しかし、ここには世界最強の勇者と太古の魔王がいる。完全体のビーンデスグリオラが復活したとしても、到底何もできない状況なのである。
ヴィオラは鉄の箱をゆっくりと開ける。
「おおおお」
その箱をフミヤはゆっくりとのぞき込む。
「ピクピクしてるな……」
「ピクピクしていますね」
「うむぅ、ピクピクしておる」
ビーンデスグリオラの尻尾は捕獲時と変わりなく生きているように動いていた。
「でも、前より少し尻尾が伸びているような気がするわ」
と、ヴィオラは言う。
「怖い事言うなよ。ヴィオラ」
確かにビーンデスグリオラの尻尾は以前捕獲した時よりも伸びているように見える。
するとベレッタがビーンデスグリオラの尻尾を突《つつ》きながら
「まぁ、格下だが言うても魔王だしのぅ。完全に滅さなければ少しずつ再生していくだろぅ」
それを聞いたフミヤは慌てて
「それじゃあ、すぐに処分しないと」
ベレッタは首を横に振る。
「いいや、コヤツの使ったスキル『無夷《むい》』というスキルは、自分の全細胞を燃焼させる捨て身のスキルでのぅ。超人的な力を手に入れる代わりに反動が大きく、ほとんどの細胞が死滅していくのじゃ」
ベレッタの言う通り『無夷《むい》』というスキルは諸刃の剣であった。使用する魔物は、一定時間究極の力を手にする事できるが、その反動により体は朽ち果て、元の力を取り戻すには相当な時間をかけ再生しないといけなくなる。ビーンデスグリオラが最終形態になった時、皮膚が全て剥がれ落ちてしまったのもその影響によるものである。
魔王の体は常に死滅と再生を繰り返しており、細胞が残っていればいずれは再生し復活する。そして長い何月を経て魔力を蓄積させ新魔王として復活するのだ。だが、『無夷《むい》』はその細胞がほとんど死滅してしまうため再生するのに相当な歳月を費やすことになるのだ。
しかも、残っている細胞が数十センチの尻尾のみとなると、完全体に復活するには百年以上はかかると推測される。
「そう、百年以上もかかるのね」
「ああ、そうじゃ。魔王は長く生きれば生きる程、体内に魔力が蓄積するでのぅ。たとえ復活したとしてもしばらくは赤子同然に弱いであろう。まーたまに例外もいるがな」
「だから、ベレッタは他の魔王より強いのね」
「そう言う事だのぅ」
ヴィオラとベレッタが話していると、フミヤはビーンデスグリオラの尻尾を指で摘まみ上げるとマジマジと見つめる。
「おお、ウネウネしている……」
その時、フミヤはふと閃いた。
「魔王と美味しいのかな?」
「えっ?」
*ヴィオラは混乱している。
*ベレッタは混乱している。
フミヤは不敵な笑みを浮かべている。
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