上 下
71 / 293
勇者探索任務~サイテハの洞窟

LV70 新スキル

しおりを挟む
ゼヴィラスの体に当てた手は   淡い緑色にぼんやりと光出す。
フミヤは ボソっと呟くようにスキルの名を口にした。

・・・豊穣《ほうじょう》なる狩猟。
第3の神のスキルが発動する。

ゼヴィラスに刺さった剣の傷口から 大量の木々が生えてくる。

「なんたこれは!」

木々は、ありえない速度で成長していき、ゼヴィラスの体に絡みつく。
「こんな物、焼き払ってやるわ!」
黒炎を放とうとするゼヴィラスであったが、木々に腕の自由を奪われ
呪文を発動できない。
「それなら 力でねじ切ってやる。」

今度は力任せに木々を破壊しようとするが、
ゼヴィラスの体にうまく力が入らない。
「な・・・なぜだ・・・。チ、力が入らない。」

「あんなスキル見た事がない。なんなのあれは?」
イルイルは初めてのスキルを目の当たりにし、呆然としていた。

もがき苦しむゼヴィラスの顔から徐々に生気《せいき》抜けていく。
「こ、これは・・・、力が、抜けていく・・・。」
次第にゼヴィラスが痩せこけていく。
「ああ、や、やめろー。」

そんなゼヴィラスを飲み込むように木々が体全体を覆い、
ついに見えなくなってしまった。
「ぐぅ、出せ。私がこんなところで。」
「お・・おい、おまえら・・・。」
「あ・・グ・・・。」
「あ・・・。」

「なんてすごいスキルなの。」
フミヤの能力に呆気《あっけ》にとられるイルイルだった。

やがてゼヴィラスの声は聞こえなくなり 辺りは静かになった。

「倒したの?」
イルイルが、言葉を発すると同時に
力尽きたフミヤは その場に倒れ込んだ。

「フミヤ!」
それを見てイルイルが駆け寄り、倒れているフミヤの体に耳を当てる。
フミヤの心臓の音が聞こえない。
「心臓が止まってる。」
ヤマダも急いでフミヤの元へ向かう。
「フミヤさん。」
イルイルとヤマダが急いで心臓マッサージを行う。

「ちょっと起きなさいよ!」
「起きてくださいよ、フミヤさん!」
イルイルとヤマダはフミヤに心臓マッサージをする。
「心臓、少し動いたっス。」
二人の懸命な努力により わずかながらフミヤの心臓が、動き始めた。

「メロー。メローーー。」
ヤマダは大声でメロを呼んだ。

事態に気付いたメロはテントから出てフミヤの元へ行くと
大きな口を開け、フミヤを飲み込んだ。

「フミヤさんどうか、元気になってください。
メロ、どうかフミヤさんを治して。」
「モギュ。」
ヤマダの願いに メロは返事をし、頷《うなず》いた。

そして イルイルとヤマダは倒れたサイトウを手当しながら
2日間その場で待機するのであった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
メロ お口で回復中 ヴィオラ・ファリス・ダン・ライガ・ラオ老・フミヤ
今の体長が2mオーバーになっているため テント外で待機中。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

私の家族はハイスペックです!

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:255pt お気に入り:3,197

Fantiaみたいなクリエイター支援サイトを使って小説で稼げるのか?

エッセイ・ノンフィクション / 連載中 24h.ポイント:590pt お気に入り:3

旦那様は運命の人ではありませんよ?

恋愛 / 完結 24h.ポイント:504pt お気に入り:358

殿下、私達は話し合いが必要だと思うんです

恋愛 / 完結 24h.ポイント:71pt お気に入り:887

裏切りの果てに待っているものは……

青春 / 完結 24h.ポイント:28pt お気に入り:0

忘れえぬあなた ~逃げ出しママに恋の包囲網~

恋愛 / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:33

未来への一口

O.K
エッセイ・ノンフィクション / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

処理中です...